
何も出来ず早稲田に完封負け/春季オープン戦
こんなはずじゃなかった。本当なら、半年前の国立での屈辱を晴らすはずだった。互いにメンバーは大幅に替わったとはいえ、あの時の借りを返す絶好の機会であったに違いない。しかし、何も出来なかった。させてもらえなかったのではない。出来なかったのだ。
試合開始直後から、いつ降りだすか分からない天候をそのまま物語るようなプレーが続く。開始わずか1分でトライを奪われると、それからは防戦一方。スリッピーなボールとグラウンドコンディションにハンドリングミスが目立ち、確実に仕留めなければいけないタックルにも精彩を欠いてしまう。その場の動きを止めることはできても、捕まえることができない。何度も立ち上がられ、大幅ゲインを許してしまう。風雨が激しくなりだしたその後もトライを奪われ続ける。まるでファンの気持ちをそのまま代弁しているかのようであった。そのまま何も出来ないまま前半は終了した。
必ずや立て直してくるであろうと信じた後半も何ら変わりはなかった。モールやスクラムでも押されてしまっては、手の打ちようがない。相手陣内に攻め込んでも安易なミスからターンオーバーを許し、トライに結びつけられてしまった。浅いディフェンスラインは早稲田のパスワークと個人技に簡単に破られ、点差を縮めるどころかさらに広がっていく。もはや今の明治にいったん勢いづいた早稲田の流れを止めることは出来なかった。結果は0-57。記録にも記憶にも深く刻みつけられる屈辱の完封負けとなってしまった。
試合後には涙を流す選手もいた。宿敵ワセダ相手にこれでもかというほどにやられた上にノートライ、無得点とあれば、このようになる気持ちになるのはごくごく自然なことであっただろう。選手たちは本当に悔しかったはずだ。
「あの負けから全てが始まった」。
相手指揮官がかつて発したコメントに倣うわけではないが、実際彼らはその言葉のもとに団結し、わずか1年で大学ラグビー界のトップに返り咲いた。明治もこの屈辱の敗戦からチームを立て直し、また秋に今日には見られなかったあの大きな、たくましい姿で戻ってきてほしい。そして、その言葉を誇らしげに発してほしい。紫紺ジャージーをこよなく愛する多くの明治ファンが、彼らの再生を待ち望んでいる。
~試合後のコメント~
松浦ゲームキャプテン(商4)
「圧倒するつもりが圧倒されてしまった。受けに回ってしまったのが全てにおいて失敗だった。姿勢が早稲田に完敗だった。今まで春にやってきたことがどれもできていない。ノートライに終わったことに関しては屈辱の一言。もう一度ゼロからやり直したい」。
仲西(政経4)
「今日の試合では自分たちがやりたいと思っていたことを全て早稲田にやられてしまった。試合前にチームで決めた1対1で勝つということができていなかったし、個人的にも体を張り切れなかった。今はまだ全然チームが完成しきれてなく、練習の成果も試合に出せていない。次の試合に向けて出直していきたい」。
土井(政経4)
「何もかも自分らのラグビーができなかった。ディフェンスで受けに回ってしまった。1からやり直さないといけない。スクラムは回されたが押していたしゲットもしていた。課題はディフェンスで受けに回らないこと。捨て身で体を張らなきゃいけない。アタックでも練習でやったことを生かせなかった」。
山本(政経4)
「ただ試合をこなしてるだけになってしまった。気持ちが入っていない。練習からやり直さなくてはいけない。夏に向けゼロから練習を変えていかなきゃいけない」。
田原(政経4)
「(練習の成果は)ボールを散らそうという意識があるができていない。(感想は)これが実力の差。受け止めなきゃいけない。細かい技じゃなく勝ちに行くという貪欲さ、気持ちの面で負けていた。(縦横無尽のラグビーは)前半はやろうという部分があったが後半出来ていなかった。攻めているのに守りをしている感じがした。考えられなかった」。
田村(文2)
「早稲田と慶應はディフェンスがそろっている。前半逃げていた。どんな練習をやっていても試合で最後まで出せなければ練習をやっていないのと同じ。ゲインとかはできていた。何がだめのかみんな気付いていない。自分で気がつかないといけない。優勝が目標だとは今いえる立場ではないので体を張って頑張る」。
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