学生とOBのつながり

1999.01.01
学生とOBのつながり

 強い明治を築いてきた陰にOBの支えあり。OB離れが加速する昨今の体育会で、拳法部は強固な結び付きを見せている。

 5月18日に本学OBの根本幸治氏(平14法卒)が結婚式を挙げた。その披露宴では拳法部が作成したビデオレターが上映され、うたげの席を大いに盛り上げた。製作を手掛けた主務の發知(法4)は「OBへの日ごろの感謝の気持ち」から作ったという。このようなOBへの働き掛けの裏には、「OB会がなければ拳法部は成り立たない」(發知)現状がある。

物心両方の援助
 現在約200名が属するOB会は、その活動理念として『物心両面の援助』を掲げる。会員の8割が「部への愛着、そして学生に対する強い思い」(清水監督)から自主的に会費を払い、その一部は学生の防具代、遠征費、合宿費などの部の活動費にあてられる。昔は学生自身が企業に広告を取りに行ったりしなければならないほど「(以前は)活動費が足りなくて苦しかった」(清水監督)状況が続いていた。そんな状況にOBたちが奮起し、現在の援助システムが確立された。『物』の充実の面で「金銭面のサポートはとても助かる」(内山主将・法4)と学生の負担を和らげている。

 また、『心』の面でもOBは学生をサポート。練習や合宿に多くのOBが参加、指導してくれることによって「気の抜けない環境が生まれるので心強い」と發知は語る。大会にもOBは応援に駆け付け、試合前後には細かなアドバイス、激励の言葉を送る。「試合前に鼓舞してくれるのは励みになる」(内山主将)と精神面でも支えを果たしてきた。

 OB離れが叫ばれる近年の体育会。清水監督は「ほかの部では、学生とOBとのつながりが希薄化し、頭を悩ませている部も多い」と体育会の現状を嘆いた。そんな中でも拳法部はOBからの恩恵を受け、精力的に稽古に励むことができる。学生が拳法に集中できる状況に「今当たり前となっている環境は、すごく特別なこと」(發知)と感謝の気持ちを忘れない。

 昨年度は成績が振るわずに苦難の1年を強いられた拳士たち。「結果を残すことがOBへの一番の恩返し。今年こそは負けられない」(内山主将)。感謝の思いを拳に乗せ、インカレ王座奪還を強く誓った。

真心こもったビデオレター
 ビデオレター製作は發知の主導の下、「コーチを祝福したい、学生時代を思い出してもらいたい」ということで作られた。部員たちの感謝の気持ちがこもったビデオレターは、笑いあり涙ありの作品に仕上がる。その内容は練習風景や根本コーチの業績がふんだんに盛り込まれたもの。出来は、泣きだす人もいたほど素晴らしいものだ。「おかげで式が盛り上がった」(根本コーチ)と二人の挙式に花を添えた。