1部昇格、秋へ向け筋力強化/関東学生春季男子1部・2部入替戦

1999.01.01
 昨年の秋季リーグ入替戦で敗れた国武大に対し明治が勝利。ついに念願の1部の座へと返り咲いた。「2月からやってきたことに成果とともに結果もついてきた。正直ほっとしている」と語るのは今年の2月から新たにコーチに就任しチーム改革の柱を担ってきた松本勇コーチだ。チームを1部昇格へ導いたカギは松本コーチの指導したディフェンス力にあった。

 昨年の秋季リーグ入替戦で2部降格が決定、チームはどん底に突き落とされた。しかしそんな時、以前から「明治のコーチとしてチームを立て直してほしい」と松本監督がラブコールを送り続けていた人が松本コーチだった。松本コーチはハンドボールの実業団だった中村荷役を優勝へ導いた敏腕コーチ。それまで、腰をあげなかった松本コーチも2部降格の知らせを聞き、ついに立ち上がった。

 就任してから、松本コーチが最初に取り組んだのは基礎からの建て直し。そこでまずは、ディフェンスを3:2:1の布陣に変更。1対1で守るこの布陣はパスカットもしやすく、速攻攻撃もしかけやすい。これを極めればディフェンスだけでなくオフェンス能力も向上する。しかし、「全く違うことをやり始めてすぐには定着しないし、チームワークが必要」(松本コーチ)なため、春休み中は他大との練習試合をこれまでよりも多くこなし実践形式で慣れさせ形にしていった。そうして挑んだ今季リーグ戦ではディフェンスをうまく機能させることで勝利を掴んでいった。

 しかし、勝ち進む中で油断も生まれた。中大との入替戦を目標に練習を続けてきた本学【青学大戦を参照】だったが最後の2部優勝決定戦でまさかの関東学大に敗戦。気持ちを新たに昨年の屈辱を果たすべく国武大戦へ臨んだ。

 昨秋の国武大戦での敗因を「ディフェンスをそれまでの固定のメンバーではなく入れ替えてしまった」(松本監督)ことから今季はこれまで出場し続けてきたメンバーで挑んだ。また、今季リーグでは初めて試合前にミーティングを行い、士気を高めたという本学。技術も精神も万全に思われた。が、それとは裏腹に試合が始まると全体的に動きが固く、ミスも連発。また、ポイントゲッターである杉本(営1)や吉野主将(商4)得意のサイドシュートも決まらない。流れが国武大に傾きかけるもなんとかディフェンスを崩さないことで点差を開かせることなく守りきった。

 そして迎えた後半戦。そこでは前半の固い動きが消え、普段通りのプレーを取り戻した。杉本(営3)を筆頭に次々とシュートを決めていく。試合の流れを掴み返した本学は、ディフェンスでも活躍。1対1のディフェンスで「自分からしかける」(松本勇コーチ)ことで相手に圧をかける。相手のディフェンスの足が完全に止まると、そのまま点差を開き最後は余裕を見せ勝利を収めた。選手たちも安堵の表情を見せ、駆けつけた選手の家族も拍手で1部昇格を讃えた。

 春季リーグではディフェンスの基礎を定着させ新たなスタートに立った本学。しかし秋季からは1部でも通用するレベルへディフェンスの精度もあげなければならない。そのために、毎年秋季リーグまでの間に本学が出場するミニミニカップには出ず、練習に励む。特に1部でのディフェンスを想定し、当たり負けしない体づくりを目指す。また「秋まではオフェンス面も鍛えるために筋トレを増やす。下半身を強くしフットワークを鍛える」(松本コーチ)。今まで週1回だった筋トレを2回に増やし、全体的なチームの底上げを目指す。

 近年、1部に在籍し続けてきた本学はつねに入替戦に出場、追いかけられる立場だった。しかし、今年は久しぶりに追いかける立場を味わった。追いかける気持ち、それは1部にあがりたいという向上心。1部に残りたいという気持ちとは違うものだ。秋季リーグでも、追いかける気持ちそして挑戦者の気持ちを忘れずにいてほしい。