(女子)江川がSP1位通過 元榮は8位、堀見は12位でFSへ/東日本選手権

 12月の全日本選手権(全日本)への出場が懸かる重要な試合。大会初日のSP(ショートプログラム)に明大からは3人が出場し、江川マリア(政経3=香椎)が1位、元榮愛子(商2=目黒日大)が8位、堀見華那(商4=愛知みずほ大瑞穂)が12位につけ、27日に行われるFS(フリースケーティング)へと進んだ。

◆10・25~27 東日本選手権(テクノルアイスパーク八戸)

 昨シーズンから継続の『River flows in you』を滑る江川は、優美な衣装の裾をひらめかせながら静かにリンクに立った。冒頭、流れるような滑りから繰り出した3回転ルッツを美しく成功させる。その後、氷のくぼみにつまずく場面があり「足がどうなっているか自分でも分からなくて、一瞬焦った」と振り返ったが、すぐに切り替え集中力を途切れさせることなく、得意の3回転トーループの連続ジャンプを確実に決めた。「今回はまとまった演技をしたい」という思いから、確実に決める構成を選んだ戦略は功を奏し、続く高さのあるダブルアクセルも余裕の着氷を見せた。回転軸のしっかりとした高速スピンではレベル4を獲得。軽やかな足取りで魅せるステップでは、ふんわりと広がるスカートが美しい弧を描き、会場の視線をくぎ付けに。ミスのない安定感のある演技を笑顔で締めくくった。

(写真:SP8位の元榮)

 「東日本に来れるとは思えないぐらい結構まずい状況だった」と振り返る元榮は、昨シーズンから継続の『ピアノ協奏曲第2番』の演技に臨んだ。東日本学生選手権(東インカレ)に出場してからここ1週間ほどは「痛いところが少し増えてしまった」と不安を抱えての出場となったが「せっかく来たから頑張ろう」と緊張を力に変え挑んだ。序盤から体を大きく使った表現力豊かな振り付けを披露。冒頭の3回転サルコーと2回転トーループのコンビネーションを決めると、長い手足を生かした伸びやかな滑りでリンクを駆け回る。3回転ルッツではバランスを崩す場面があったものの、転倒せずこらえた。最後のジャンプのダブルアクセルを美しく決め、丁寧な滑りでゆったりと大きなステップシークエンスを展開した。畳みかける音楽に合わせて高速の美しいスピンを繰り出し、演技で会場を沸かせた。FSに向けては「せっかくフリーまで来れたので、のびのびと思い切ってやれたらいいな」と意気込んだ。

(写真:SP12位の堀見)

 白地に淡い色のグラデーションが入った衣装に身を包んだ堀見は、ゆったりとした壮大な動きで『エデンの東』を表現。「今まで応援してくれた人たちに感謝の気持ちを伝えられるような演技をこの舞台でしたい」という思いを胸に、指先まで感情の込もった表現で魅せた。冒頭の3回転ループを着氷させると、流れるような優美なスケーティングで会場を魅了。コンビネーションジャンプも転倒することなくこらえ、最後のダブルアクセルまでしっかりと決め切った。曲の盛り上がりに呼応した雄大な音楽との一体感あふれるステップでは、東京選手権から意識して取り組んできた深いエッジを存分に見せつけた。「今日は結構落ち着いて、地に足を着けて演技ができたという印象で、最後のステップとかもすごく気持ち良く滑れて楽しめた」。古傷の痛みもありながら、最後のスピンまで丁寧に一つ一つ表現し切った演技に、会場から大きな拍手が送られた。

 仲間たちの応援の声が響く中、それぞれが力を尽くしたSP。全日本に進めるのはFSを終えた時点の上位5人のみとなる。日本最高峰の大会に向け、最高の演技を目指す。

[増田杏]

試合後のコメント
江川

――今回どのような気持ちでこの大会に臨みましたか。
 「自分は全日本に出ることがゴールではないと思っているので、 全日本にしっかりとつなげられる試合にしたいという思いで演技しました」

――東京選手権から何をブラッシュアップしましたか。
 「一つ一つのジャンプもそうですが、一番はスピンとかステップのレベルを取って、確実に点数を積んでいくということを一番練習したかなと思います」

――東インカレからどのように調整してきましたか。
 「東インカレは自分の感覚としてそんなに調子が悪いわけでもなく、結構いい調子で試合に臨んだんですけどうまくいかなくて。そこからまた少し反省して、しっかりこの試合に合わせてこられたかなという実感はあります」

元榮
――今日の演技の振り返りをお願いします。
 「ルッツが少し失敗してしまったけど、一応こけたりせずになんとかまとめられたかなと思います」

――スピンが難しいとおっしゃっていましたが、今日はいかがでしたか。
 「フライングキャメルは着氷するときに失敗して止まりそうでしたが、 他はそこまで悪くはなかったなと思います」

――ケガの調子はいかがですか。
 「ここ数日、1週間ぐらいは痛いところが少し増えてしまい、まずいかなと思いましたが、今日本番はもうそれは忘れられたので、良かったと思います」

堀見
――東インカレからどのように調整してきましたか。
「まずジャンプの確率を上げるというのと、今さらこの2週間ですごく上達するっていうわけでもないので、 体の面もそうですが、気持ちの面をうまく試合につなげられるように、少し実家に帰ったりとか気持ちの面でリフレッシュっていうのをしていました」

――ケガの調子はいかがですか。
 「腰は全然大丈夫ですが股関節とかいろいろ、足首が痛くなったりとかします。多分今までの古い傷みたいなことで、あちこち毎日どっかが痛かったりするんですけど、ケアしながら向き合ってやっていくしかないですね」

――FSに向けて意気込みをお願いします。
 「FSも今日みたいに練習してきたことを信じて、楽しんで滑れたらいいなと思います」