(6)尾崎将義~競技部との架け橋に~

1999.01.01
 札幌五輪で日の丸飛行隊を世に知らしめた笠谷幸生(昭42営卒)、青地清二(昭40法卒)。また、アルベールビル五輪・金メダリストの三ヶ田礼一(平1営卒)、リレハンメル五輪・銀メダリストの西方仁也(平3営卒)など、数多くの有名選手を輩出してきた本学スキー部。しかし彼らは皆スキー部競技部の出身であり、いわゆるスポーツエリートだった。

 一方、本学にはもう一つ、一般部員で構成されているスキー部・らいちょう(一般部)が存在する。一般部は推薦枠を持たず、大学から本格的にスキーを始めるという選手も多い。そのため競技部との実力差は一目瞭然だ。だが、そんな彼らの中に一際目を輝かせている選手が一人。彼の名は尾崎将義(営2)だ。

 尾崎は高校時代、明大中野八王子高の野球部に在籍。大学に入るまでスキーは趣味で嗜む程度だった。しかし彼は明大進学後、大きな決断をすることに…。

 明大スキー部一般部への入部。尾崎は一般部の監督を務める父親から、ずっとスキー部のことを聞かされていた。「やりたいことも色々あるけど父から一般部の現状を聞き、何とか自分が力になりたいと思って入部を決めた」。そして彼は明大スキー部復興のために動き出した。

 入部して間もなく、合宿所への入寮を決意した尾崎。一般部員の入寮は異例のことであり、彼は周囲を驚かせた。学生スキー界一の厳しさで知られる明大スキー部の合宿所生活。中でも1年生は常に周りを気遣い、生活を送らなくてはいけない。だが彼は「競技部の選手と同じように鍛えたい…」と、あえて厳しい環境に身を投じ、強い心を鍛えた。また、トレーニングやセクション合宿にも積極的に参加。「一般部尾崎の合宿所入りは、お互いの刺激になる事を期待している」(成田総監督)と首脳陣も熱い視線を送った。

 そして迎えたシーズン。初めて公式なスキーの大会に出場。経験が浅いながらもALL明治スキー競技会で2位入賞と鮮烈なデビューを果たした。1年目、絶大な存在感を放った尾崎は今年、さらに前進を目指す。

 「難しいかもしれないが、最終的にはインカレに出られるくらいになりたい」。尾崎の夢追い物語りはまだ始まったばかり。一般部員でも名門・明大スキー部の血が流れていることに変わりはない。今年は競技部だけでなく、一般部で明大スキー部を支える尾崎から、目が離せない。

◆尾崎将義 おざきまさよし 営2 明大中野八王子高出 178cm・76kg