女子部3年越しのFINAL4突破なるか/関東学生リーグ戦プレーオフ展望

 7月7日、5,871人の観客が見守る中、開幕した関東学生リーグ戦(リーグ戦)。9月29日までの3カ月超で5試合を戦いAブロック首位通過し、6年連続のプレーオフ進出を決めた。「もう負けはいらない」(G村田知沙都・政経4=東京女学館)。直近3年間阻まれ続けているFINAL4の壁を乗り越え、8年ぶりのリーグ制覇に向け最強のチームで挑む。

高い組織力 名門のPRIDE
 リーグ戦を4勝1分と無敗で終え、予選を3年ぶりに首位通過した明大。今年度の強さは何といっても〝個の強さ〟だ。日本代表のMD齋藤千暖主将(政経4=新発田)、MD田村葵(農4=大和)、さらにU―20日本代表にもMD竹内晴花(法3=日女体大付)と世代屈指の選手がそろい「どこからでも得点できるオフェンス」(田村)が特徴だ。
 チームとしては、試合ごとに課題を設定し、改善を繰り返してきた。特に進化したのが〝立ち上がりのオフェンス〟だ。立大、東農大戦は、序盤は意図した形がハマらず、リードを奪えず前半を折り返した。転機になったのは4戦目の明学大戦。「最初から100%の力でやるのではなくて『弱、中、強』と、最初は流れに乗りやすいリズムから攻撃を始めて試合にフィットするように徐々にプレースピードを加速させていった」(齋藤)。明学大戦でつかんだ感触は、強敵の早大にも通用し、全Q(クオーター)で先制した。チーム全体として「『変え切るまでやる』という意識がついた」(AT吉田真祐子・農4=菊里) と不安を残さず着実に解決する姿勢が、無敗でリーグ戦を終えた最大の要因だろう。

個が結集 みんなでつくるOF
 オフェンスの要は齋藤。攻守の切り替えでのGB(グラウンドボール)の獲得数が毎試合チーム1位だ。攻撃の起点としても相手陣地に切り込み、ボール保持も長く、東農大戦では勝ち越し点を決めるなど、勝負強さも光る。昨年度から出場し続けているだけに、安定したスキのないプレーが持ち味だ。そんな齋藤が24明治始動時から掲げるのは〝みんなでつくるOF〟。練習後だけでなく試合中にも盛んに意見交換し「誰かだけが点を取るのではなく、いろいろな人に勢いがあって、点を取れるオフェンス」(齋藤)をつくり上げた。そして、ポイントゲッターは田村とAT熊谷和花(商4=多摩)。スピードと体格を生かしてスライドを突破する〝ゴリ1on1〟で得点を量産してきた。また、特に井川裕之コーチがキーマンにあげるのは吉田。「どんな相手にも安定したパフォーマンスができる」と絶賛した。吉田はその秘訣(ひけつ)について 「自分の役割を理解し、自分のできることを最大限でやる」と明かした。ATらしい対人プレーと素早いブレイクに期待したい。


 さらに、コーチ陣を中心に分析されたドローも見どころだ。100通りを超える戦略を駆使して柔軟に対応し、早大戦では失点後でもドローを制してそのまま得点につなげるなど、一方的な展開を防いだ。オフェンスが圧倒的有利とされるラクロス。必ずや主導権を握り、流れをつかみたい。
 一方、井川コーチが課題に挙げるのは「決定力」。東農大戦、早大戦と、数少ないチャンスを確実に決められ失点が重なってしまった。試合後には「シュート力を3週間で随分上げてきたなと思ってもらえたら、自分たちに勝てた、自分たちの課題には向き合えたっていうことだと思うので、シュートにフォーカスしていきたい」と修正点を口にした。プレーオフでは確実にFS(フリーシュート)をモノにし、得点を重ねたい。

(写真:リーグ戦得点王の田村)

攻めて奪うDF 最強の双璧G
 DF八尾可奈子(政経4=明大中野八王子)を中心とした「奪ってOFにつなぐDF」を掲げていたDF陣。「今年は試合を重ねるにつれて奪うというところの意識が上がってきて、実際に奪えているシーンも増えてきている」(八尾)と改善していき、5試合の総失点数は26と同ブロック中、最少で終えた。鍛え上げた対人力、厳しいチェックで、少しでもオフェンスの時間を増やるかがカギだ。
 G(ゴーリー)は、盤石の4年生二枚看板が待ち受ける。昨年度セーブ王の村田が3試合で45%、副将のG野地咲良(営4=平塚江南)が4試合で44%のセーブ率と互角の数字。村田は野地について「4年間切磋琢磨(せっさたくま)してきたと同時に、Gにしか理解できない感情を共有してきた仲間」とお互いにいい影響を与えていると話す。

負けはいらない 4度目の正直
 4年生の代は、入部してから3年連続でFINAL4の舞台で敗北してきた。このプレッシャーにも、選手たちは前向きだ。「FINAL4の壁が、自分たちの重いものになってはいるのですが、自分たちの目標は日本一というところなので、そこに向けた通過点としてやってきたことをしっかり出して、勝ち切る」(齋藤)。と既にその先を見据える。また、取材する選手の口からは皆〝ラクロスを楽しむ〟気持ちが溢れる。「どんな試合状況でも、目の前のワンプレーに集中することと、常に楽しむことを忘れずに臨みたい」(吉田真)。

(写真:得点時は全員で喜ぶ選手)

 20日に対戦するのはBブロック2位の日体大。日本代表であるDF松田涼花、MF小野日菜子を擁する難敵だ。決勝に進出すれば早大と中大の勝者と対戦し、全日本大学選手権に出場が決定する。チームスローガンの『PRIDE』を体現し、8年ぶりの〝時代の覇者〟に輝けるか。準備は万端、紫紺の絆を見せつけろ。

[杉田凜]

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齋藤、吉田 オフェンス編

八尾、村田 ディフェンス編