
一部昇格特集/関東大学春季リーグ戦
続く第2セットは、序盤から点を取っては取られる苦しい展開。互いにリードを許さぬままセットが進行していくものの、終盤国武大に連続得点を決められ、徐々に引き離され始める。さらに自らのレシーブミスでマッチポイントを取られると、そのままこのセットを奪われセットカウント1-1とされる。
落とすことができない第3セット。関、廣本(商3)らの攻撃がさえ、序盤からのリードを最後まで守りきって、セットカウントを2-1とし再びリード。そのままの勢いで一気に勝負を決めたい第4セットだったが、再び序盤から相手を引き離すことができない苦しい展開。競った展開のまま終盤に突入するも、サーブやスパイクを決めきれない場面が続いて相手にリードを許すと、そのまま追い付くことができず4セット目を落とした。
後がない5セット目、ここで本学は勝利への執念を見せ、序盤から5連続得点で一気に相手を引き離す。その後も得点を許さず、最後は7点差をつけて相手を圧倒。見事勝利をものにした。
この勝利によって、見事7年ぶりとなる1部昇格を決めた本学。「1部昇格が決まったことは素直にうれしい。この後もリーグ戦は続くので全勝優勝を目指してやっていく」(深町主将・政経4)。次からはいよいよ上位リーグ戦に突入。残る3試合も油断することなく、このままの勢いで完全優勝での1部昇格を決めてほしい。
本学と入替戦
本学と1部2部入替戦の関わりは深く、4年前(平成16年)の秋季リーグでの専大戦に始まる。この時は1部校を前にストレートで惨敗。初めての1部校に力の差をかみしめた一戦となった。翌年の春季リーグでは法大と対戦し、セットは取りつつ取られつつの接戦となり、ファイナルに持ちこすも、あと一歩及ばずデュースの末に敗北した。
以降1年間入替戦には出場できなかったが、平成18年の秋季リーグ以降3季連続で出場した。18年秋季・19年春季リーグでは国武大と対戦し、またもフルセットで敗北(18年秋)、19年春も20点台で善戦するものの及ばず、せっかくのチャンスをものにできず苦汁をなめ続けた。昨秋リーグではほぼ無敗で入替戦に望んだが、法大を前に及ばず敗れた。
そんな本学に今季リーグでの1位2位は自動昇格できるという特別施行(北京オリンピック開催による一部校の選手不在のため)は願ってもいないチャンスだった。「リーグ戦全勝で1部に望む」(深町主将)と選手たちの気合いはこれまでにないものだった。1次リーグ戦最終戦、降格してきた国武大との雪辱を果たし、ついにつかんだ1次リーグ戦全勝でつかんだ1部への切符。選手たちは実感なさげではあったが、その思いはたしかに1部へと向かっていた。リーグ戦前から1部へ向けての体力作りや1部校との練習試合を重ね、その成果は今季ほとんどセットを落とさず全勝するという結果にも出ている。1部リーグでも本学らしい「つなぐバレー」で新たな明大バレー部の歴史を紡いでいってほしい。
佐々木監督のコメント
「(試合内容は)あんまり良くはなかったけど、結果的に勝てたことは良しとする。(国武大戦は)フルセットまでもつれ込んだけど、よく粘れた。ベンチ外の選手たちも一生懸命応援ができていたので良かったと思います。でも今日みたいな試合だと1部ではまだ通用しない。試合前の準備からしっかりやって、スロースタートではなく、きっちりスタートダッシュをして1部に臨みたい。今日の試合は5セットの序盤にリードできたこと、それで焦らずにプレーできたことが勝因につながったと思います。チームとしては、悪いなりにもつまらないミスは減ったと思います。まだサーブミスは少しありますが、ミスの中できちんと我慢してプレーできるかが大切です。まだまだ満足はしませんが、今日はとりあえず勝てたことを評価したい。秋のリーグ戦に向けては、1部に定着できるように夏合宿や実業団との練習を積んでいきたいと思います」。
がんばった選手紹介
#1 深町勇太
◆ふかまちゆうた セッター 政経4 福岡大大濠高出 175cm・67kg
コートに立つ唯一の4年生。主将として、司令塔として、チームを7年ぶり1部昇格に導いたセッター・深町主将。 その正確なトスは攻撃の要。スーパーエースの関が繰り出すスパイクや豪快なバックアタックを得意とする廣本の攻撃が相手コートにたたきつけられるのも、彼の冷静な判断で上げられるトスがあってこそだ。
1次リーグ、最終戦。相手は今まで入替戦で勝つことのできなかった壁・国武大。フルセットまでもつれ込むという苦戦を強いられる試合であったが、本学が粘りの強さを見せ見事勝利し1部昇格を決めた。この試合で見られたのが、国武大の勢いに押され本学の攻撃が乱れ始めたとき、深町主将が声やサインを出し、焦る選手たちを落ち着かせようとしていたことだ。セッターは試合全体を見渡し、どの攻撃が有効な戦術かを瞬時に判断し伝達するポジション。深町の主将、司令塔としての冷静で的確な指示とトスがあるからこそ本学は1部昇格を果たせた。
「一度は1部で戦ってみたかった」と語るように深町主将は4年生。今季で勝たなければ1部で戦うことはできない。そこにきて2部1位、2位は自動昇格というビッグチャンスが訪れた。深町主将にはコートに立つ誰よりも昇格のチャンスをものにしようという執念があった。
1部昇格を果たした今、次なる目標は秋季リーグ戦1部残留。そして、来年の自身が引退した後の春季リーグ戦を1部で迎えること。深町主将の挑戦は続く。
#15 廣本遥
◆ひろもとよう レフト 商3 崇徳高出 183cm・75kg
「明治のバレーはチームプレーを大事にしている。とにかくチームに貢献したかった」。フルセットにまでもつれ込んだ国武大戦に勝利したあと、こう語ったのはエース・廣本だ。廣本が繰り出す力強いスパイクは、エースとしてチーム全体を引っ張っていこうとする勢いが感じ取れる。しかし今試合では、足をつってしまいコートから一時ぬけることもあり、「思うようにプレーができなかった。情けない」と試合後ふりかえって悔しさをにじませる場面もあった。対国武大戦を制したことにより決定した1部昇格だが、廣本は常に前を見据えている。「今の状況で満足していたら1部リーグで勝つことはできない。もっと気持ちを高めて頑張っていきたい」廣本の1部リーグへかける思いは強い。チームへの熱い気持ちと勝利への執着は他のメンバーにもいい影響を与えているであろう。「チームプレーの明治」をこれからも引っ張っていく廣本に、今後も注目していきたい。
#10 山田崇史
◆やまだたかし センター 営3 五所川原工高出 191cm・86kg
明治最高の高さを誇る山田。不動のセンターとして相手の目の前に立ちはだかり、ことごとくスパイクを打ち返していく。また時にはその高さから強力なスパイクを打ち込み、攻守で活躍を見せる。さらに不規則な回転を持つサーブも武器だ。山田の存在は今や明治になくてはならないものとなっているが、ここまでの道のりは長かった。
2年生の春まではベンチにも入らず、雑用に追われる日々。モチベーションも低下し、苦しい時期が続いた。しかし夏頃から調子を上げ始めると、秋には見事開幕戦に選ばれる。以後はレギュラーの座を確保し、本学の大きな力となった。「下級生の時は自分のことだけ考えれば良かったけど、今は全体を見てプレーでも引っ張っていかなければいけない」と山田。技術的にも精神的にも成長を遂げた証が「昇格」という結果で表れた。次は「1部」という新たなフィールドで、更なる成長を期待したい。
#11 渡辺宏彰
◆わたなべひろあき レフト 文3 下田南高出 188cm・70kg
本学の主戦力として戦ってきた選手の一人、渡辺(宏)。ポジションはレフト。188cmの長身を生かした高いブロックや鋭いスパイクを放ち、今回の1部昇格に貢献してきた。試合中に見せるそんなプレーとは反対に、ふだんは優しい表情をしている。練習中も常に笑顔で明るく、チームの雰囲気をよくしている姿が見られた。今季リーグでは「試合を重ねるごとに調子が上がってきた」という彼は、1部昇格について、「初めての挑戦なので、慣れつつもいい成績を取れるように頑張りたい」と語る。バレーに対して前向きで真面目な姿勢の渡辺、今後の目標は東日本インカレで好成績を収めることと、秋季リーグで1部になんとしても留まること。彼が得意とするインナー(角度を付けたクロスへのスパイク)で得点を重ね、これからもチームを支える一人として活躍していってほしい。
#18 田辺祐也
◆たなべゆうや センター 法2 東亜学園高出 188cm・72kg
スパイクやブロックが決まると誰よりも大きなガッツポーズ、喜びを表現する主力の一人、田辺。試合ではここぞという時にクイックやブロックを決め、チームを盛り上げてきた。「学年が上がり後輩ができたことで、自分自身も再スタートを切ろうとやってきた」と今季を振り返る。「リーグ期間中は毎週試合があるが、むしろ毎週あることでモチベーションが下がることはないし、試合が楽しい」という。1部での試合は今まで以上に厳しいものになるだろうが、「上がるからには降格しないように、自分の得意とするブロックの能力を高めていきたい」という。これからも試合を誰より楽しみながら、チームを引っぱる存在へと、活躍していってほしい。
#19 関裕也
◆せきゆうや ライト 文2 岡谷工高 185cm・70kg
チームの軸である廣本に代わり、今季からライトで出場する関。廣本と同じ、サウスポーだ。その左腕から繰り出されるスパイクは鋭い角度で相手コートをたたきつける。彼の活躍なくして今季のリーグ優勝はなかったにちがいない。
1次リーグ最終戦、国武大との試合では廣本が15本というアタックポイントに対して関は19本。中には相手の意表をつく巧みなスパイクもあった。「ここぞという時に決めなくちゃならないポジション。関はいい感じに決められている」(廣本)。
一見クールな関だが、ポイントを決めた時は大きな声で喜び、コートを駆けまわる。「全勝優勝したい。1部に上がるからには上位を目指す」と普段の冷静な印象とは裏腹に、勝ちに対する気持ちは本物だ。
1部で強豪校とやりあうため、新チームが目指す「全員バレー」。 その可能性を切り開くのは関のスパイクだ。
#23 芳賀広大
◆はがこうだい リベロ 営2 岡谷工高 168cm・68kg
本学の持ち味であるコンビプレー。この起点となっているのが芳賀のレシーブだ。
1年次からリベロとして後方からチームを盛り上げてきた。強打に対する反応、ボールに対する執着心は誰にも負けない。「打ち手がしっかり打てるように意識している」。今リーグ戦中も何度も粘りのプレーでチームを奮い立たせてきた。また、安定感のあるレシーブ力に加え、コート内でのレシーブにおけるリーダーシップなど深町主将からの信頼も厚く、時には練習についての相談を持ちかけられることもあるほどだ。
入学時から目標としていた「1部昇格」を実現した今、彼が見据えるのは「1部残留」の4文字。芳賀のレシーブが明治活躍の起爆剤となることは確実だ。
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