岡部、ミスのない演技で17位の大健闘/NHK杯

1999.01.01
 北京五輪出場権を懸けた最後の大会が、岡山桃太郎アリーナで開催された。2次予選を22位で通過した岡部(文2)は、いかに自身が納得できる演技をできるかが勝負となった。
 この2日間、何より注目したいのは段違い平行棒。長い間公式戦ではノーミスの演技ができていないだけに、この種目にかける思いはひとしおだった。

 1日目、ゆか、跳馬と岡部は順調に演技を進め、迎えた段違い平行棒。なんとしても成功したい種目だったが、演技の途中に足を床につけてしまうミス。点11.700、暫定順位23位と伸び悩んだ。「心のどこかにまた失敗するんじゃないかという気持ちがあった。それが原因かもしれない」。NHK杯という試合の緊張感、そして苦手を克服しなければという重圧が岡部に重く圧し掛かっていた。4種目目の平均台では14.000とこの日の自身最高点を出したものの、「明日は段違い平行棒を頑張る。それだけです」と、2日目に課題を残す結果となった。

 大会2日目。「うまく気持ちの切り替えができた」と語る岡部は、まずはゆかで前日を上回る演技を見せる。そして応援に駆け付けた部員の「紗季子ガンバー」という声を背に、挑んだのは段違い平行棒。演技開始から最後の着地まで、気の抜けない緊張の演技が続く。そして演技終了。ミスのない演技をやり遂げた。

 「やっと通せた。今はほっとしている」。全ての演技を終えた岡部はそう言って頬をゆるめた。「ミスをしないでいくことの大事さを学んだ」と岡部にとって重要な試合となり、今後は演技の難易度を上げるという新たな目標も見付かった。
 次に控えるのは17~18日の団体戦。「しっかり演技をして、足を引っ張らない
ようにしたい」ともう次の舞台での活躍を誓う。

☆OB塚原氏も大健闘!岡部にエール☆
 岡部が現在も練習拠点としている朝日生命所属であり、そして明大体操部の先輩でもある塚原氏(平12卒・現朝日生命)は4大会連続の五輪出場を狙ったが、惜しくも代表になることはできなかった。しかしその演技は会場に駆けつけた体操ファンに大きな感動を与え、本人も大会終了後は「全力で取り組んで、それで駄目だったら悔いはない」と晴れ晴れとした表情だった。
 そんな塚原氏に岡部の魅力を伺ったところ「スタイルがいいからすごく見栄えがする選手。あとは力をつければもっと良くなる」と語ってくれた。それに対し岡部も「塚原さんにそう言われたら、がんばろうって思える」。ここから岡部がどう成長していくのか。今後も岡部の活躍からますます目が離せなくなりそうだ。