
東日本に敵なしの大会9連覇 形の部は山田太が優勝/東日本大学選手権
後期最初の団体戦となる東日本大学選手権は今年度も明大の独壇場だった。7人制の今大会で明大は試合ごとに出場選手を少しずつ入れ替えて、初戦と準決勝は6-1と相手を圧倒。決勝では昨年度苦戦した中大相手に7―0と完勝し、見事に大会9連覇を達成した。形の部では山田太粋(法1=岩槻)が王者に輝いた。
◆10・6 第35回東日本大学選手権(慶大日吉記念館)
▼男子の部
明大――1位
▼形の部
山田太――1位
今年度もディフェンディングチャンピオンとして臨んだ明大。初戦では越智通友(営4=明大中野)が副将として遂に復帰を果たした。試合は越智の前までに5―1と既に準決勝進出が決まった状態で出番が回り「最初は試合感を取り戻すために長めに試合をしようと思ったが、一本を取られて、そんなことを考えている場合ではなくなった」。試合開始後すぐに胴突きを決められるも、そこからは武器である組み技で相手を倒し、そこから鮮やかに二本を奪取。約1年ぶりの試合を見事勝利で飾った。
準決勝では大将に井上晴陽主将(法4=三井)ではなく、森川征那(文4=三井)が起用された。主将が大将として出場することが多いが「『こだわりはないか』と監督に聞かれた時に、ずっと大将で使われるよりはいろいろなところで使ってもらって、いろいろな人に大将の経験をさせるのも一つじゃないかなと思った」(井上主将)。一方の森川は監督から「とりあえず『どうせ勝つでしょ』ということで、ちょっと勘弁してほしかった(笑)」と苦笑いだったが、実力は折り紙付きの2人。井上は45秒で面へ二本を決め、森川も一本は取られたものの「焦らないようにしっかり攻めていけた」(森川)と、最後は得意の組み技で大将対決を制した。
決勝戦の相手は今年度も中大。昨年度は優勝の行方が大将戦までもつれ込んだが、今年度は違った。先鋒には井上が任され「主将が最初に行って流れをつくって、勢いある勝ち方をすることによって、チームがグッと(優勝に向かえるように)なる」。その言葉通り、突きで二本を連取すると、次鋒には総合選手権王者の土屋泰生(文1=関西福祉科学大)。試したい技を決勝で試してみるなど、度胸の強さがうかがえたが先に一本を取られ「めちゃくちゃ焦った。得意な技で逃げてしまおうと思って、逃げてしまった」(土屋泰)。胴突き二本で勝利を挙げ、その後の2人も勝利。この時点で大会9連覇を確定させた。
5番手に越智が登場。段数が上の相手だったが、過去に対戦経験があり「タイミングがつかみやすくて、それでやりやすかったのはある。あとはぶっちゃけ運」(越智)。組み技で先に一本を取り、さらに直後に面への膝蹴りを決めた。副将戦は土屋賢生(法3=関西福祉科学大)が「いつもの自分とは全然違ってスイッチが入っていた。絶対負けたくないと思ってやっていた」とわずか24秒で二本を取る会心の試合運びを見せると、最後は森川が逆転の二本連取でスコアは圧巻の7―0。東日本最強の証を存分に見せつけた。
形の部では山田太粋(法1=岩槻)がエントリーし、見事な火流の形を披露。予選は出場選手唯一の90点台を獲得して首位通過。決勝戦でも審判5人による判定の結果5―0で優勝した。「かなり緊張して手も足も震えてしまったが、結果的にきれいな形にまとまったかな。大きなミスもなく良かったと思う」(山田太)。形の試合自体が初めてだったが、堂々とした立ち居振る舞いだった。
ここまで団体大会3つを制した井上メイジ。残る全日本学生選手権(府立)を制覇し、グランドスラムを達成することが目標である。「府立は圧倒的に優勝して、グランドスラムを達成して有言実行できるように。みんなグランドスラムを達成したいというのは言ってくれているので、思いは一つになっていると思う。今日勝ったこととかは自信にはなっていると思うが、鼻の下を伸ばさずにしっかり地に足つけて、また一からみんなで頑張っていきたいなと思う」と井上主将。有終の美へ向け、目指す場所はただ一つだけだ。
[北原慶也]
試合後のコメント
井上主将
――個人としては最優秀選手賞を獲得されましたが、いかがですか。
「いや、納得いってないです僕は。1回戦の戦い(開始すぐに胴蹴りを決められた)があるので、僕じゃないやろなと思ってましたし。後輩たちの方がいい試合はしてくれてたので、後輩たちかなと思ってたのですが、まさかの俺かって感じでした」
越智
――試合後に監督やOBの方から言われたことはありましたか。
「前回引き分けで終わってしまった相手に対して、勝ち切れたのはすごい良かったなと思いました。自分的にはたった1試合ですごい体力を消耗してしまったので、名古屋(全日本学生個人選手権)に向けて、1日に何試合もやるので、もっともっと体力つけていきたいなと思います」
森川
――準決勝の一本目は倒れてから転がり、体勢を変えて取りました。
「僕も相手も柔道経験者で、少しでもうまい方が勝つ試合になったので。技術的には 2人とも一緒くらいだと思っているのですが、最後は自分のパワーだったかなというところです。ぎりぎりでした」
土屋賢
――最後に一言お願いいたします。
「今日の最優秀選手賞って俺ちゃうん?井上じゃなくて俺やろ」
土屋泰
――総合選手権王者としてのプレッシャーはありますか。
「めちゃくちゃあります。会う人会う人に『余裕やな』と言われることもすごいプレッシャーですけど、それも楽しんでいけるようになりたいなと思います」
山田太
――形の難しさはどこにありますか。
「試合は自分のスタイルで構えたり、打ったり蹴ったりというのはできると思うのですが、形は見本だったり正解がある中で、自分のスタイルにどう落とし込むかがかなり難しくて。自分の形でやりすぎても、周りから見てよく評価されなかった部分があるので、自分がうまく評価されつつ、形として成立させつつ。自分のスタイルに落とし込むのが難しいところですかね」
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