(4)「自信を持つことが結果につながる」――大塚裕貴

1999.01.01
 卓球界ではレベルが高い人ほど、始めたきっかけは親の影響という選手が多い。だが大塚は違った。「親はそれほど強い選手ではなかった」という彼は、いわゆる英才教育とはあまり縁がなかった。卓球に興味を持ったきっかけは温泉にあった卓球台。「小学3年の時、やってみたらおもしろくて、はまった」。その後クラブチームに入り、卓球人生を歩み始める。

名門明治へのあこがれ

 中学も地元の公立へ通い、同じクラブチームに所属し卓球を続けた。ただし続けてはいたものの強くなることに特別な意識はなかった。そんな彼に訪れた千葉経大附高入学は大きな転機となった。千葉経大附高は、県ベスト8レベル。飛びぬけて卓球が強いわけではないが、それでも大塚は入学を決める。現在明治のコーチも務める渡辺コーチの言葉が決め手となった。「頑張っていい成績を出せば、明治に行ける」。尊敬する選手も多い名門・明治には、高校入学前から強いあこがれがあった。

ラン決でつかんだもの

 高校3年間の成績が認められ、明治へ入学。高校ではトップレベルだった大塚も、「明治には自分より上の人がいっぱいいた」と、想像以上に厚い明治の壁に苦しんだ。弱点となったのは精神力のなさ。入学当初は試合で「緊張してしまって、遠慮が出てしまう」ほどで、「大学の名前に負けてた」と感じることもあった。

 そんな彼に自信を与えるきっかけになったのは、昨年10月、全日本学生選手権だった。この大会でのベスト16は一つの強さの目安となり、翌年の大会でのシード権に大きくかかわってくる。そのランク決定戦、いわゆる“ラン決”での対戦相手は1年生ながらリーグ戦でも活躍する中大の瀬山。大塚はセットカウント2―2、10―7で勝っていたセットを落とし、惜しくもランク入りには届かなかった。だが、あと1点が遠かった試合を「声を出すことにより、いい試合ができるというのが分かった試合」と大塚は振り返る。緊張しやすいタイプである大塚には、声を出して緊張をほぐすことが自分のゲームをする上で効果的であり、勝利につながるとこの試合で確信した。

 全日学以後、試合内容は良くなり経験値も積んだ今年は大きなチャンスとなる年だ。今必要なのは「印象に残る結果を出すこと」。これがなければ、いくら実力があっても評価とはならない。「この1年にかなり懸けてる」という強い決意は、現在だけではなく将来の進路をも見据えた言葉だ。実力と自信を合わせ持ち、今年は背水の陣を敷く。

 その第一歩となる可能性が高いのが、7日から始まる春季リーグ戦。「試合に出て勝つことが目標。そのための準備はしっかりとしてきている」と気合は十分だ。間近に迫ったリーグ戦という大舞台でも、大塚らしい卓球ができることを願っている。

◆大塚裕貴 おおつかひろき 商3 千葉経大附高出 169cm・57kg
<戦型>右・シェーク・フォア裏、バック裏・ドライブ型