
男子部 連覇達成ならず 無念のベスト8/全日本大学対抗選手権
前年度王者という肩書きに満足することなく、明大ソフトテニス部初の大会連覇を目指して挑んだ全日本大学対抗選手権(インカレ)。昨年度の優勝を経験した実力者をそろえて挑むも、結果はベスト8に終わった。追われる立場として戦うことの難しさを痛感させられた大会となった。
◆9・14~15 全日本大学対抗選手権(沖縄県総合運動公園テニスコート)
<男子>
<1日目>
○明大3―0金沢大
○明大3―0天理大
○明大3―1中京大
<2日目>
明大2―3日体大〇
男子部は昨年度全国2冠を達成し、今年度の東日本大学対抗選手権(東日本インカレ)でも優勝を果たしている。その圧倒的実力を見せつけ、初戦の金沢大戦、第2回戦の天理大戦は危なげなく勝ち進んだ。大学対抗1日目最終戦の相手は中京大。1番手の金山勇波(営4=霞ヶ浦)・大辻伸彬(農4=尽誠学園)ペアは金山の力強いストロークと、大辻のスキを与えないスマッシュやボレーで着実にポイントを重ねる。雷雨により試合が中断するハプニングにも見舞われたが、明大を勢いづかせる一勝を挙げ1番手としての役割を完璧に果たした。2番手の岡田侑也(農2=とわの森三愛)・中村悠峰(営2=能登)ペアは昨年度のインカレ、今年度の東日本インカレで優勝を決めたペア。前衛同士という特色を生かし、2人とも鮮やかなボレーやスマッシュを繰り出し相手を圧倒して勝利を重ねた。3番手には大将である米川結翔主将(商4=尽誠学園)・上田泰大(商2=尽誠学園)ペアが出場。「去年優勝したプレッシャーから背負うものが大きかった。普段考えないようなことを考えてしまったりして、プレーの質が落ちてしまった」(上田)と振り返るようにミスが目立ち、相手にポイントを与えてしまう。「去年の優勝校である自分たちに、相手が向かってくる勢いがすごかった。それに少し押されて、こちらが受けてしまう場面も少なからずあった」(米川)と、コースを突いたサーブやストロークにも苦しめられ、1ゲーム差で惜敗。流れを中京大が握ったまま、準々決勝への切符を懸けた戦いは2次戦へ。「中京大にもいい選手がたくさんいるとは知っていたが、大将ペアが負けてきたのは驚きだった」(金山)と予想外の戦いを迎えることとなった金山・大辻ペア。しかし「最後のインカレということもあり取り組み方や試合に対する思いが、個人的にはいい仕上がりにつながったと思う」(大辻)と優勝への強い思いを持ち合わせた4年生ペアが、疲労を感じさせない熱いプレーを見せた。正確さが光る大辻のボレーや金山のストロークで相手を翻弄(ほんろう)し、流れを再び明大が引き寄せる。大将撃破の勢いに乗っている中京大も粘り強くポイントを重ねるが、最後は大辻のスマッシュで明大が勝利を収めて準々決勝へ駒を進めた。
準々決勝の舞台で明大を待ち受けていたのは、今年度王座を獲得した日体大。この試合では1番手として米川・上田ペアが出場した。「ここで一勝を挙げて、チームに勢いづけたいと思っていた」(米川)。その言葉通り、ボレーや相手のスキを突いたショットを積極的に仕掛け、着実にポイントを重ねていく。相手とのラリー戦も耐え抜き、見事に先勝してみせた。2番手の岡田・中村ペアは一転して苦戦を強いられる。「相手にリードされる展開で焦ってしまった」(岡田)とネットやオーバーのミスが目立つ。何とか食らいついて1ゲーム返すも、7回にわたるデュースを制し切ることができずに敗北。「負けられないと思うとミスが怖くて、踏み切れなかった」(中村)と結果だけでなく、その内容にも悔しさが残る一戦だった。2勝目が求められる3番手を担うのは金山・大辻ペア。「挑戦者という気持ちと、相手が格上だと思う気持ちは似ているようで全然違う。自信と、向かっていく気持ちという精神的な部分がもっと強気でいけたら良かった」(大辻)。日体大のエース格である片岡・黒坂ペアの勢いに押し負けるような時間が続く。好プレーを何度も繰り返しポイントを重ねる場面も見られたが、日体大の方が一枚上手だった。金山・大辻ペアも敗れ、2次戦が幕を開ける。任されたのは米川・上田ペア。第1ゲームから米川のサーブやストロークがさえ渡り、先に流れをつかむ。しかし日体大もそう簡単に勝たせてはくれない。あと1ゲーム取れば、というところで猛攻が始まった。ボレーやスマッシュ、ライン際への正確なショットに苦しめられ、3―3まで追い付かれてしまう。緊張の第7ゲーム目、上田のボレーで明大が先制。その後は一進一退の展開が続くも、明大がリードを守り抜いて勝利をつかみ2勝2敗に追い付いた。そして勝負は3次戦へともつれ込む。明大の命運は連戦となる大将の米川・上田ペアに託された。対する日体大は片岡・黒坂ペアが出場。「この2人に勝つためには、とにかく先に勝負をするしかないと思っていた」(上田)と、強気なプレーで第1ゲームを明大が先取。その後は交互にゲームを取り合う白熱のシーソーゲームが繰り広げられた。同大会のダブルスでは4ゲーム差で敗れた片岡・黒坂ペアに対し1ゲーム差と食らいつくも、1歩及ばず。3時間を超える大熱戦の末、明大はベスト8でコートを去った。
王者だからこそ見られる景色も、王者として挑戦者を迎え撃つ難しさも知ることとなった男子ソフトテニス部。この経験は誰しもができるものではない。今大会で味わった悔しさを糧に、紫紺の戦士たちは再び全国の頂を目指し始める。
[春田麻衣]
試合後のコメント
米川
――最後のインカレとなりましたが、振り返っていかがですか。
「あっという間でしたね。連覇に届かなかったので悔しい思いが大きいですが、主将として1年間やり切れたかなという清々しさもあります。あとは後輩に優勝と連覇を託して頑張ってほしいなと思います」
大辻
――4年間を振り返っていかがですか。
「一瞬でした。日本一になるという目標を持って進学して、一応達成できましたけど、高校の時とはまたちょっと違う戦い方や戦術など、自分の知らない競技の奥深さを4年間ですごく学べたと思います。結果にはつながりませんでしたが、テニスをより好きになって、自分がやってきたことが間違ってなかったなと証明できた4年間だったのかなと思います」
金山
――後輩へ一言お願いします。
「ポテンシャルが高い選手がたくさんいるので、うまくいけば絶対優勝できると思っています。後悔がないように、全力でやり切ってほしいです」
上田
――大学対抗の結果はどう受け止めていますか。
「連覇を目指していたので悔しいという一言が正直なところなのですが、そこで終わらせてはいけません。ベスト8という結果を受け止めて、これからの秋リーグや来年度の東インカレに向けて、またチームでもう一度目標を確認して優勝を狙っていくために切り替えもしていかないといけないと感じています」
岡田
――4年生から学んだことはありますか。
「ダメなところはしっかりダメって言ったり、キャプテン(米川主将)のように背中で見せてくれるところを真似したいと思っています」
中村
――今後に向けて強化したい部分はどこですか。
「一番はフットワークと体力面です。技術はもう毎日練習するしかないので。1年間トレーニングもよりしっかりしていかないといけないと思っています」
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