
住吉が連覇 江川も5位入賞で手応えつかむ一戦に/東京夏季大会
8月31日、9月1日に三井不動産アイスアリーナ船橋にて行われた東京夏季大会に明大からは5人が出場した。SP(ショートプログラム)を2位で終えた住吉りをん(商3=駒場学園)が総合1位につけ連覇。江川マリア(政経3=香椎)はSPを6位、FS(フリースケーティング)を3位で終え、5位入賞を果たした。
◆8・31~9・1 東京夏季大会(三井不動産アイスパーク船橋)

「全体を通してすごく自分が見せたいという思いがしっかり表せる演技ができたかなと思う」と確かな手応えを感じた住吉。厳かなピアノの曲調に合わせた丁寧な滑りで演技に入った。冒頭のダブルアクセルでは着氷後の流れまで華麗に決める。続く3回転のコンビネーションジャンプは回転不足の判定となるも、3本目の3回転ルッツではGOE(出来栄え点)1.38を記録。演技後は大きく頷き、笑顔を見せた。「最近少し調子が下がっていて、どのぐらいの演技ができるか少し心配だったが、逆に肩の力を抜いて軽く滑ることができたので、演技終わりはすごく安心した気持ちになった」。得点は68.54点を記録し首位と同点につけるが、TES(技術要素点)のわずかな差でSPは2位発進となった。

FSでは今シーズンから挑んでいる新プログラム『Adiemus』を披露した。大技・4回転トーループでは着氷が乱れるも、冒頭のダブルアクセル、3回転トーループ、演技中盤の3回転フリップ、3回転トーループの連続ジャンプは降り切った。しかし「ルッツからの3連続が得点源になるのでそこで少し力んでしまい、いろいろと考え過ぎてしまう自分の悪いクセが出た」と後半に集中力を欠いてしまったことに悔しさをのぞかせた。
ジャンプではミスが生じたものの植物の成長をイメージした新プログラムの世界観を、独特の振り付けや演技終盤のステップシークエンスで表現。「心を込めて滑り切ることができた」。圧巻の表現力で魅了し、順位をS Pから一つ上げ見事優勝に輝いた。今シーズンの照準はここまで悔しさを味わってきた全日本選手権。本格的なシーズン開幕に向けて、実戦を重ね自身の課題点は明確になっている。さらなる練習を重ね、全日本で恵みの雨を受けられるか。今シーズンの住吉の活躍に注目だ。

「試合になったら何か空気が違うというのはもちろんあったが、(普段と)同じ氷で滑れるというのはすごく大きい」。ホームリンクでの大会に挑んだ江川は、柔らかな曲調に合わせ繊細な演技を披露した。冒頭の3回転フリップで転倒するも、2本目のコンビネーションジャンプと3本目のダブルアクセルはしっかりと着氷させる。前の大会ではレベル2であった足替えコンビネーションスピンは、今大会ではレベル3を獲得。ミスの後も冷静にリカバリーし、安定感のある滑りを見せSP6位に。演技後には「もっと迫力のある演技を目指したい」と語った。昨シーズンから継続となっているプログラム『River Flows in You』にさらなる磨きをかける。

FSには赤を基調とした高貴な雰囲気の新衣装で挑んだ。迫力のある冒頭の曲調に合わせ、上半身を大きく使う所作を見せた。前半のダブルアクセルでは回転が抜けてしまい、シングルアクセルの回転不足といった判定に。「アクセルが抜けてしまったというのは練習でもほぼしないことで、一瞬何が起こったか分からなくなってしまった」。しかし、その後はしっかり持ち直し、ダブルアクセルを含めた3連続ジャンプをしっかりと着氷。壮大な曲調に合わせダイナミックに踊り切った。『トゥーランドット』は多くの名だたるスケーターたちが滑ってきた楽曲である。「一人一人全然違う『トゥーランドット』になっていると思うので、自分だけの『トゥーランドット』にできるように頑張りたい」。繊細さとダイナミックさを持ち合わせた唯一無二のプログラムを見せてくれるはずだ。

プリンスアイスカップ後にぎっくり腰になってしまったという堀見華那(商4=愛知みずほ大瑞穂)。ジャンプを本格的に跳ぶ、久しぶりの実戦となった。演技冒頭のジャンプと2本目のジャンプでは転倒したものの、3本目のダブルアクセルは見事に着氷。それでも「(ダブルアクセルの出来は)自分の中では70点ぐらい。もう少し後ろに流れたりしたかった」と振り返った。演技終盤には『エデンの東』の壮大な曲に合わせたダイナミックな動きのステップシークエンスで世界観を表現。最後のレイバックスピンではレベル4を獲得するなど「今できるベストは尽くせた」という演技でSPは38.45点を記録。16位につけ、FS進出を果たした。

FSは「最後までやり切れるかというところで、もうすでに不安だった」という。冒頭『La La Land』の繊細な協調に合わせコンビネーションジャンプと3回転ループに挑んだが、惜しくも回転不足に。ジャンプは調整不足もあって思うような結果を残せなかった。しかし、演技中盤のフライング足替えコンビネーションスピン、演技終盤のレイバックスピンではレベル4を獲得。演技最後には『Someone In The Crowed』の軽快な曲調に合わせ、笑顔でステップシークエンスを披露した。「全然練習できていないので『やってやるぞ』という気持ちよりも、まとめるというところで、意外と力を抜いて試合に挑めた。そういう部分は良かったと思う」と東京選手権(ブロック)直前の大会で手応えを感じた。「後がないシーズンなので、全力で楽しんで、自分のベストを毎試合毎試合更新できるように頑張りたい」。これまで以上に思いを乗せた堀見の演技は今後も多くの人を魅了するに違いない。

実戦2試合目となった元榮愛子(商2=目黒日大)は昨シーズンのSPを継続し『ピアノ協奏曲第2番』を披露。前回の大会では「ジャンプはあまり跳ばずにダブルだったので今回は(3回転)ジャンプを入れようと思った」と2本目で3回転ルッツに挑んだ。しかし、回転不足となり「前回の大会と同じ感じになってしまった」。3本のジャンプでいずれもミスが出てしまい、納得のいく演技とはならず。それでも「(昨年から)ステップやスピンが結構変わっていて難しくなっている」と磨きをかけたプログラム。全身を最大限に使った迫力のある演技で自身の世界観をつくり上げた。FSに進出できる順位には一歩届かなかったが、ブロックに向けて価値のある一戦となった。

今大会が明大スケート部として初の実戦となった山﨑舞美(商1=釧路湖陵)。「コールされた時に明治大学と言われるのが一番うれしかった」と語った。ピンクと黒の衣装で、今シーズンのSP『素敵なあなた』を披露。明るい曲調に合わせ跳ねるような滑りで演技に入る。冒頭の3回転サルコーで転倒し、その後のコンビネーションジャンプも回転不足の判定に。3本目のダブルアクセルも着氷が乱れ「ジャンプは三つとも納得のいく出来ではなかった」と振り返った。今大会の自己評価は50点と厳しい結果になったが「楽しく滑ることが目標だったので、楽しく滑れたことは良かった」とプラスに捉える部分も見られた。次戦のブロックに向けジャンプ、スケーティングをともにブラッシュアップしていく。
今大会はブロック前最後の比較的大きな大会。現在の実力や手応えをつかむだけでなく、今後の課題や修正点など収穫も多い一戦となったに違いない。残りの短い期間で調整を行い、初戦のブロックではさらなる進化を遂げたプログラムを披露してくれるはずだ。
[冨川航平、堀口心遥、髙橋未羽]
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