(女子)住吉が総合3位で表彰台入り 江川も総合4位で収穫の一戦に/木下トロフィー争奪大会

 8月3日、4日に行われた木下トロフィー争奪大会の選手権女子に明大からは2人が出場。SP(ショートプログラム)で2位だった住吉りをん(商3=駒場学園)が総合3位で表彰台入り。江川マリア(政経3=香椎)はSP、FS(フリースケーティング)ともに4位となり、総合4位。本格的なシーズンに向けて弾みをつける大会となった。

◆8・3~4 木下トロフィー争奪大会(木下アカデミー京都アイスアリーナ)
▼選手権女子

 「一つミスはあったが、全体の流れが途切れることなく、見せたいなと思うものがある程度できた」と住吉。壮大な曲調に始まると、女性の力強さを表現し『Un homme qui me plaît』の世界観をつくり上げる。冒頭のダブルアクセルを決めると、続く3回転フリップと3回転トーループのコンビネーションジャンプではGOE1.06の加点がつく出来を披露。しかし、3本目の3回転ルッツは「降りたかなと思ったが、抜けてしまう形で転んでしまった。アクアカップもルッツで失敗したので悔しかった」と振り返った。それでもスピンは三つ全てでレベル4を獲得。手足の長さを生かしたスピード感あふれる演技でPCS(演技構成点)は30.70と高く評価され、SPを2位で終えた。

(写真:新衣装でFSに臨んだ住吉

 FSでは実戦で初となる新たな衣装を身にまとった。冒頭のコンビネーションジャンプをしっかりと決めると、疾走感あふれるスケーティングを見せる。2本目のジャンプは、アクアカップで初めて組み込んだトリプルアクセルを4回転トーループに変更。回転不足となったが転倒することなく着氷した。この1ヶ月間「一つ一つ丁寧にきれいなエッジで踏むことによってスピードも出る。だから、より滑ることに力を入れてきた」とか語った住吉は、壮大な音楽に合わせ伸びのあるスケーティングを披露。後半のステップシークエンスでは恵みの雨によって植物が成長していくテーマを笑顔で表現した。

 ジャンプだけでなく、スケーティングや表現面でも成熟度の高い演技を見せFS、総合ともに3位で今大会を終えた住吉。「今年は早いうちにプログラムを作ることができたので、かなり滑り込むことができていると思う」と手応えをつかんだ。一方「曲自体にテーマがないので、シェイ=リーン(シェイ=リーン・ボーン)と一緒に『植物の成長を表そう』と話をしたが、自分でうまく飲み込んで表現するという部分では、まだもう少し時間が必要かなと思う」と自身の演技を振り返った。

(写真:今シーズン初めて実戦でSPを披露した江川)

 「去年の踊りを見てもまだまだ表現の部分で磨けるところがあると思った」と昨シーズンのSP『River Flows In You』を継続した江川。ピアノの柔らかい曲調に合わせて「指先だけではなく、背中から演技をするように心掛けている」と上半身を最大限に使う表現力を披露する。冒頭のコンビネーションジャンプを華麗に決め、2本目の3回転ルッツも着氷。3本目のダブルアクセルも成功させ「落ち着いて最低限のことはできた」と振り返った。ステップシークエンスでは表情でも曲の世界観を表現。最後はレベル4を獲得したレイバックスピンで締めくくり、SP4位につけた。シーズンに向けては「(ジャンプの)構成をもっと上げて臨んでいきたい」と意気込んだ。

(写真:豊かな表情で世界観を表現する江川)

 「シーズンが始まってすぐということで甘い部分も多いが、(シーズン)初めの方にしてはいい演技ができたと思う」。江川がSP、FSともに実戦に臨んだのは今シーズン初めてだった。3回転ループで転倒するも、その他のジャンプは全て着氷。演技後半のコンビネーションジャンプも加点を得た。ジャンプだけでなく、終盤の二つのスピンはどちらもレベル4を獲得する安定感のある滑りを見せる。「(今大会までの1ヶ月間は)FSを中心に練習した。最後までスピードを落とさず、ステップでは体全体で曲の盛り上がりを表現できるように滑り切るというのを大事にしてきた」。ステップシークエンスではレベル4を取り、GOEも1超え。フィナーレの壮大な曲調に合わせ『トゥーランドット』を表現した。得点は、前回のアクアカップから約10点アップした118.49点。FS、総合ともに4位で今大会を終えた。

 今シーズンの実戦2戦目となった今大会は、手応えと収穫があった一戦となった。住吉の次戦は8月10日から開催されるサマーカップ。江川の次戦は8月31日、9月1日に開催される東京夏季大会だ。短い間隔での実戦が続くことになるが、調整を経てさらなる進化を遂げるに違いない。

[髙橋未羽、堀口心遥]

試合後のコメント
住吉
――アクアカップからどのように調整してきましたか。
 「プログラムを手直ししてもらったところは、たくさん滑り込んできたり、スピードの部分に関しても、一歩でどれだけスピードを出せるかというところで、クロスを力強くやろうとか、この一歩で強く押そうというところを意識してやってきました」

――パリオリンピックが開催されている中で、オリンピックの刺激を受けたりはしていますか。
 「大学でゼミが同じ子で、体育会の射撃部で野畑美咲(商3=由布)ちゃんという子が出ていて、本当に身近な存在からオリンピックに出たので、今までも樋口新葉ちゃん(令5商卒・現ノエビア)が北京に出た時もすごく刺激になりましたけど、自分もそういう場に行って、勇気を与える人になりたいなというのはさらに思いました」

――FSの衣装はどのようなイメージですか。
 「自分自身も届いてすごくびっくりしたんですけど、植物の成長という、本当に壮大な難しいテーマを表す何とも言えない色だったり柄だったりというところがすごく気に入っているし、なんだか分からないけれどきれいという感じが表現されている部分も気に入っています」

――今後に向けてまず着手したいところはどのようなところですか。
 「SPもFSも大技以外のところでのルッツの失敗であったり、スピンでも失敗があったので、そういうところがないようにしっかり詰めていって、すぐにサマーカップがあるので、次は大技を回避して、プログラム全体の完成度を見せて、どのぐらいの点数がもらえるのかなというのを見ていきたと思っております」

江川
――シーズンに向けてどのように仕上げていきたいですか。
 「今シーズンはもっともっと技の精度もそうですし、演技全体を見てもスキのない演技を目指して頑張れたらなと思っています」

――明大の部練の雰囲気はいかがですか。
 「毎年毎年新入生が入ってくるという中で、楽しい気持ちで練習できるのでずっと続けていけたらいいなと思ってます」

――FSの演技を振り返っていかがですか。
 「ループですごく派手な転び方をしてしまって、うまく軸に入ることができなかったんですけど、それ以外は落ち着いてできたかなと思います」

――本戦に向けてどのようなことに力を入れていきたいですか。
 「スピンの取りこぼしもあると思うので、しっかり点を取れるところで取っていくというのをまずは練習しなくてはいけないかなと思います」