柴田、シニアで初の国内タイトル獲得!/日本学生選手権

 1月6~9日にかけて沼ノ端スケートセンターで行われた今大会で柴田(政経3)がショート3位から見事逆転優勝を果たした。

 ケガのために、トリプルアクセルを跳ぶことを断念し、フリープログラムを変更したのは全日本選手権の直前のことだった。この時点ではまだ、完全に柴田になじんではおらず、冒頭のダブルアクセルを転倒。今回も同じことが起こるのではないかとハラハラしながら見守っていたが、柴田は心配ご無用と言わんばかりに、次々と技を美しく決めていく。演技中の11個のジャンプをすべて成功させステップは力強く、スピンは華麗に決める。最後までスピードが落ちることはなく、締めはやはり柴田の代名詞とでも言うべきビールマンスピンで魅せた。まさしく会心の出来。フリープログラム変更が功を奏し、逆転優勝につながったのは言うまでもない。

 今大会の優勝は柴田がシニアに上がってから獲得した初の国内タイトル。「彼も選手生活が長いからそれに慣れてしまって、勝ちたいという意欲がなくなってしまっていた。スケートに対する執着心とプロ意識をもっと持てるようになれば、まだまだ強くなれる」(川越コーチ)。今後は国体が控えており、今年の秋にはゴールデンスピンという国際大会への派遣も予定されている。「もっと上位を狙って国際大会でも表彰台に上がれるようになりたい」(柴田)。来季はトリプルアクセルをしっかり跳べるようにして、ショート、フリーとともにミスをしないことが目標である。まだまだ進化途中の柴田。今期は大舞台でなかなか思うような成績を残せず苦しんだ。しかし、今までなかった順位に対する執着心が芽生えたという収穫は大きい。明治の柴田が世界の柴田になる日はすぐそこまで来ている。

 一方、今季で選手生活に終止符を打つ田邉フィギュア部門主将(政経4)は7位入賞。直前の公式練習で予想外のケガをしてしまい、テーピングで固めて試合に出場。「ジャンプをまともに跳べるような状態ではなく、持っている力を出し切ることが出来なかった」(田邉)と悔しさをにじませたが、ジャンプを一回ミスしただけで他はノーミスで演技を終えた。観客にケガをしていることをみじんも感じさせない演技で、改めて彼のプロ根性には脱帽した。本人的には満足はしていないかもしれないが、意地でここまで滑れたことを誇りに思ってよい。

 ケガのために全日本出場を逃した鳥居(文2)は、思うような演技が出来ず10位と沈んだ。持病の腰のケガが悪化し足にまで痛みがきてしまっている。全日本出場を逃した時は、悔しくて悔しくてたまらなかった。会場には応援として足を運んだが、どうして自分はこの場所にいないのだろうと覚えた空虚感。あまりの悔しさに年末年始、徹夜で練習に明け暮れた。「今は自己管理をしっかりしないと何も出来ない。ケガを克服してから、初めてスケート云々が言えると思う」(鳥居)。

 今季は彼にとっては挫折と辛抱の年だった。彼のケガはもう完治することはなく、筋力を補強するなどしていくしか方法はない。しかし、その限られた中でどのように彼が成長していくのか、今からそれが楽しみでならない。
 
 女子は萩原(法2)が3位と表彰台入り、望月(情コミ1)が4位入賞と好成績。萩原はショートではノーミスの完璧な演技で観客を魅了。フリーでは彼女にしては珍しくジャンプが1回転になってしまうというミスがしまったが、その後はミスをすることなく、集中力を持続させキレのある演技をみせた。「あまり良くなかったけど表彰台に上がれてうれしい」(萩原)。望月はショート、フリーともに若干ミスは見られたが大幅に崩れることなく、まとめてみせた。昨年の年末に負ったケガのため、十分な練習時間を確保することが出来なかった。そのため、まだ体力が完全には回復しておらず演技後半になると疲れが見えてしまう。「練習でできないものは試合でもできない。練習で手を抜いていたところができないので今後はもっと細部まで注意して練習に励みたい」(望月)。石上(文1)はショートで26位と出遅れ、フリーでは足切りという結果になってしまった。この悔しさをバネにオフシーズンではしっかり自分を見つめ直し、来季へのステップになればこの経験は生きてくる。

 この結果、団体で本学フィギュア部門男子は優勝、女子は2位入賞を果たした。そして男女ともに来年のシード権を獲得。インカレではみな、得たものは多々あるだろう。これからオフシーズンに入るが、しっかり充電して来季に向けて励んでほしい。更なる飛躍を目指して闘いはもう始まっている。