課題を見つけて更なる高みへ(全日本選手権)

 全日本選手権の初日、男子ショートプログラムは本学の柴田(政経3)から幕をあけた。全日本という大舞台の第一滑走のプレッシャーが大きかったのか、柴田は最後まで演技にキレがなかった。冒頭のジャンプは成功するも、その後はミスが続き得意のスピンにも元気がなく演技を終えた柴田。キス&クライでは目に涙を浮かべ、終始うつむいていた。二番滑走の田邊フィギュア部門主将(政経4)は、「本番に強い」と豪語することだけあり、ノーミスの演技で終えた。

 二日目と行われた男子フリー。柴田は昨日の悪い流れを引きずっていないか危惧されていたが、そんな心配は杞憂だった。冒頭のダブルアクセルは失敗したものの、その後のトリプルジャンプのコンビネーションもクリーンに降り、最後までスピードが落ちることはなかった。最後は男子でも柴田にしか出来ないビールマンスピンを華麗に決めて拍手喝采。キス&クライでは昨日とは打って変わる満面の笑み。Vサインまで飛び出した。会心の演技だっただけに冒頭のジャンプ失敗が悔やまれるが、本人は「最初の失敗があったから、その後スタミナ切れすることなく最後までスピードを保って演技することができた」と言う。今後はスタミナをつけてトリプルアクセルを跳べるようにすることが課題と語った。「柴田が世界の壁を超えるにはやはりトリプルアクセルが出来なきゃいけない」(伊東フィギュア部門監督)。柴田は自分でもそのことがよく分かっている。来シーズン、一皮向けた彼の姿を見るのが楽しみだ。明治の柴田が世界の柴田になる日までそう遠くはない。一方、田邊はフリーで若干ミスは出たものの無難にまとめてみせた。今年でスケート生活にピリオドを打つ彼にとって、全日本で納得のいく演技ができたことは大きな糧になることだろう。

 女子ショートプログラムは望月(情コミ1)、萩原(法2)の順に演技。望月は大会前、ケガのため思うような練習が出来ておらず「焦りを感じていた」(望月)。悪い予感は的中し、演技終盤のスピンで転倒。しかし、得意のスパイラルは美しく決めてみせた。萩原はノーミスで演技を終え、東日本一位の実力を発揮した。

 フリーでは第一滑走となった望月。緊張もあり、勢いに乗ることが出来ず、ジャンプの転倒が目立った。対する萩原もフリーではミスが目立ち、ショートが良かっただけに悔やまれる結果となってしまった。しかし、笑顔を絶やさず、演技後もいつもと変わらぬ愛くるしい笑顔を振りまいていた。

 望月はハイレベルな争いとなった東京選手権で中野友加里(早大)や武田奈也(早大)に交じり三位入賞を果たした実力者。ケガがなければ今大会の結果は変わっていただろう。スケートは一日休んだら取り戻すのに三日かかると言われている競技。だが、彼女はまだ大学一年生だ。これからまた一からやり直すつもりで練習に励んで欲しい。萩原も東日本選手権では優勝する実力を持っている選手。ジャンプがもっと決まるようになれば、さらに上を目指してていけるだろう。

 今大会で本学の選手はみな、個々で課題を見つけた。6日から北海道で行われるインカレは今回とは代わり、団体戦となる。全日本には残念ながら出場が叶わなかった鳥居(文2)や石上(文1)も出場する。彼らもまた、全日本に出られなかった悔しさを胸に日々練習に励んで来たことだろう。インカレでまた一歩成長した彼らの姿を見られることが楽しみだ。

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