(28)勝利はチームのため…江端勇人/日本学生選手権

 1年生の時からレギュラー起用され、試合に出場していた江端勇人。決して感情を表に出さないが、持ち前のスピードとキープ力で相手を交わしゴールへ突き進む姿は舌を巻くほど。現在ではセンターとして得点を引き出し、早くもチームになくてはならない存在となっている。

 彼が明治入学を意識したのは、地元の釧路で開催されたインカレ決勝戦(第77回大会の明大対東洋大)を見たとき。「この試合で見た明治の強さに圧倒されて、それから(明治で)プレーすることを夢見てたんだ」。しかし昨年度のインカレ決勝戦では6連覇を目前に涙を飲んだ。「まだ自分たち(2年生)は日本一を味わっていない」と冷静な彼も悔しさをあらわにした。

 今年、リーグ戦で3位という結果に終わった明治。その中でも「(法大戦は)気持ちがあまり入っていなくて、プレーも軽かった」。今まで勝っていた法大に敗れ、バラバラになったチームは幾度もミーティングを敢行。チーム全体の意識向上を図った。しかし早大戦は勝利を収めたものの、決勝戦に明治の選手たちの姿はなかった。「技術が劣っているわけではなくてただ『勝ちたい』って気持ちが弱かったのかな」。 現在のチームは4年生が少ない分、勝つためには「俺らが引っ張っていかなくてはいけない」状況で下級生も中心となる必要がある。「自分が(調子)悪くても、チームが勝てばそれでいい」。
 「インカレは優勝しかない。やってやろうって気持ちはある」。春からチームの仲の良さが持ち味だった今年のチームだが、春も夏も秋もタイトルを取れないでいる。だからこそインカレに懸ける思いは強いのだ。年末は札幌で調整をした明治。「みんなひとつの目標に向かって同じ方向を見ている。俺もかなりいい調整ができているよ」とチームも江端も好調だ!気持ちを新たに挑むインカレ。“チームが勝利すること”を胸に江端は今日もパックを追い続ける。

◆江端勇人 えばたはやと 法2 釧路江南高出 174cm・74kg

<明大アイスホッケー>

 今年も2008年1月6~9日にかけて北海道苫小牧で日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)が開催される。本学は前大会で決勝戦まで駒を進めたものの、東洋大に完敗して6連覇の夢が絶たれ、また秋も3位と振るわずに幕を閉じた。昨年の秋を最後に、タイトルをつかめずにいる明治。最後の大会であるインカレで彼らの逆襲劇を見ることが果たしてできるのであろうか。

 今回は明スポ紙面の第332号でアイスホッケー部門が2冠を達成した時の記事を紹介します。

(4)才能溢れる男達が演出した2冠物語は終わりなく続く

 決勝前夜、ホテルの廊下を痛々しいほどに足を引きずる曽山(政経2・現王子製紙)の姿があった。準決勝で負った左大腿部の筋断裂。「明日は痛み止めを打ってでも絶対出る」。何かに駆り立てられるかのように言った。まともに歩くこともできないのに何故――。

勝利の原点
 昨年、7季ぶりのインカレ優勝を果たした本学、次もいける!!そう臨んだ翌春の関東選手権。しかしチームは思わぬ惨敗を喫する。「インカレはフロックだったんだ」。アリーナに広がった屈辱的なため息と冷笑。周囲は王者に絶対的な強さを求め、勝ち続けなければ納得しない。最もシンプルで最も難しい課題。ただし、答えが出るまでに、そう時間はかからなかった。秋のリーグを圧倒的な力で8季ぶりに制す。打って、走って、当たる。本来のホッケーに徹した結果だった。

伝説の過程
 03年1月、インカレ決勝の相手は昨年と同じ法大。早大・東洋大と強豪校を撃破して勢いに乗っている。静かに始まった第1ピリオド、その勢いを前にしても本学のペースは崩れない。そして、ここから怒とうの第2・3ピリオドが幕を開けた。
 飯村(商3・現日本製紙)に先取点を奪われたのを機に、眠りかけていた法大が目を覚ます。一気に2-1まで逆転すると、その勢いはスタンドにまで飛び火する。法大びいきの地元少年達の「法大!!法大!!」という声に乗り、明治ゴールをめがけて突っ込んでくる。飲み込まれそうな空気を打破したのは先制弾も叩き込んだ飯村だった。さらに、石岡(政経1・現SEIBUプリンスラビッツ)が続く。3点目、4点目と追加点を奪うと、腕を大きく振りながら、所狭しとリンクを駆け回る。流れは完全に明治のものになっていた。最終スコアは5-2。実力で押し切った連覇だった。
 パックを追いかけてフェンスに突っ込んだ鈴木(雅)(政経1・現王子製紙)。最後まで誰よりも大きな声で「集中!!」と叫び続けた川村(政経4)。ケガを押して出場した曽山はベストDF賞に選ばれる活躍を見せた。絶対に試合に出る。絶対に勝つ!その意味は――。
「去年はまぐれって言われた。でも連覇したら誰も文句言えないでしょ」(曽山)。

現在と未来
 伝統校と呼ばれる明治。かつて黄金時代を築いた先人が未来へ種をまいた。やがて、その種も大きく育ち新たな常勝伝説を始める。一連のストーリーに終わりはない。来季から副将を務める木元(政経3)が語った。「強い明治があるから、入りたい子が増える。それが伝統校なんだと思う。そういう風に下が続いたら嬉しい」。

【担当・穴井佑・平16卒】

 明治から巣立っていった先輩選手たちの想い――それは後輩たちの勝利そのものだった。これまで築いてきた“伝統”そのものが今の“明治”を作っている。身を挺してまで試合に出場し、結果を残せたのは「絶対に勝つ!」という純粋な気持ちでした。
 今年は連覇という重圧もない。王座奪還を目指す“挑戦者”という今までと違う立場で戦います。「勝ち方を知っている」。確かに勝ち方知っているのかもしれません。しかし昨年は明治の栄光にすがりすぎて決勝戦で敗北してしまいました。一番大切な“勝ちたい”気持ちをどこかに忘れてしまっているのではないでしょうか。
 いまだタイトルを取れずにいる今年。伝統ゆえの“驕り”を切り捨て“絶対に勝つ”という勝利への思いを強く持てばおのずと結果はついてくる。
 遂に明日開幕するインカレ。笑って最後の舞台を閉めてほしいです。

~試合日程~
さあいよいよ王座奪還を懸けたインカレが始まる!
明治はシードで2回戦から出場します。
1月7日 VS関西学大と大東大の勝者
      VS札幌大と日体大、東北福祉大と関西大学の勝者
1月8日 準決勝
1月9日 決勝・3位決定戦

※いずれの試合も苫小牧市白鳥アリーナが会場です。

<インカレ特集前後のページ>

1.畑中理/歴史~インカレ篇~
2.寺島悠介/黄金世代の最終戦
3.梁取慎也/秋季個人成績
4.江端勇人/才能溢れる男達が演出した2冠物語は終わりなく続く

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