思うように駒を進められず/天皇杯全日本選手権
1日目の初戦、安西は金光(拓大)と対戦。第1ピリオドで相手を翻弄(ほんろう)し順調に点を重ねていく。そして終盤、相手は足を負傷し途中棄権となったため、安西が無事2回戦へと進んだ。
続く2回戦は坂本(自体校)と対戦。相手のタックルにより場外へ出され1ポイントを与え、第1ピリオドを失う。迎えた第2ピリオドはバックを取られてからリズムをつかめず、相手に大量にポイントを与えてしまい、時間内に終了。「相手のパターンにはまってしまい、自分のスタイルが壊れてしまった」(安西)。こうして安西の最後の試合が幕を閉じた。しかし安西の顔に曇りはない。「自分がレスリングを最初に見た試合に最後出られて良かった」と自らの成長を称した。
2日目、青木主将は松本(日体大)を初戦に迎え撃つ。相手のタックルをうまくかわすなど粘りを見せたが、場外に出されて1ポイントを与え、第1ピリオドを取られる。続く第2ピリオドはなかなか相手に攻めることができず、あえなく4ポイントを取られて完敗。「疲れた。体力が足りなかった」(青木主将)。それ故次の試合まで期間があるので「しっかりと体力をつけたい」と次を見据えた。
宮原は社会人で力のある長島(おおたスポーツ学校)と対戦。第1ピリオド、相手のスキを突いてポイントを奪取し流れをつかむ。だが第2ピリオドは攻撃を封じ込められ逆に奪われてしまう。勝負の分かれ目の第3ピリオド、守りにも限界がきてポイントを奪えずに終了。相手の「学生っぽくないレスリング」(宮原)の勢いにのまれてしまった。「タックルに入る瞬間の速さなど見習う点が多かった」と試合後にビデオを見て冷静に振り返った。
北京五輪代表を選考する大切な試合で、どの選手も一段と意気込みを見せハイレベルな戦いとなった。3人共に負けはしたものの、それ以上に得たものは大きかったはずだ。安西はこれで本当に引退となってしまったが、青木主将と宮原はここから勝負の1年が幕を開ける。
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