茂木大輔「チームのためにできること」
第4回では明治のBK陣のキーマン、SH茂木大輔(営4)に話を伺いました。
――明早戦を振り返ってみて何を思いますか。
まず、考え方として明治の哲学を貫こうとしたがそれができなかったです。あの敗戦には多くの原因が考えられます。敗因は1つではなくいろいろな要因が挙げられます。1つだったらあんなに点差(=7-71)は開かなかっただろうし、試合中に修正できたはず。それでも一番感じたのは、グラウンド上にいる早稲田の選手15人全員が一生懸命だったことです。もちろん明治もグラウンドに立つ選手は誰だって一生懸命だが、15人全員で早稲田と戦う術がなかった。1対15のような状況で戦っているようなものです。だからパニック状態に陥り、自分たちがやろうとしたゲームプランが崩れたんです。モールでトライを狙うだとか1対1で圧倒するなど、これまで明治がこだわってきた部分やプレーができなかった。早稲田に対してそれが出せる練習が普段からできていなかったということ。それが考えられる大きな敗因だと思います。
――自分たちのラグビーができなかったから、負けたということですね。
はい。あと感じるのは、コーチ陣に頼りすぎていたと思います。頼ることは良いけど、指示待ちの練習で指示待ちになってしまい、グラウンド上で選手が判断することができなくなってしまいました。
――グラウンドで茂木選手はパニックになることなく動いているように感じましたが。
試合中、ボールは触れていたから僕がボールを持ったら、スペースに走りこむよう指示しましたが、うまくいかなかったです。僕だけが動いているように見えたのは選手に指示をしたりしていたからだと思います。スペースに走りこむなど、普段の練習からやってきたことができなくなってしまったのは、疲れている選手もいただろうし、精神的にやられている選手やパニックに陥っている選手もいたからだと思います。そんな選手たちを落ち着かせたり、うまく動かしたりすることができなかったのは僕にも責任があると思います。
――前半20分までは明治のペースで試合ができているように思いましたが。
いいえ、違います。最初、良かったように見えたのは明治の流れがあったというより、運が良かったことだと思います。トライも運よく取れたようなものです。一次攻撃で取れれば狙い通りと言えますが、二次攻撃で取れたトライだったから運が良かったと言えます。試合では流れが自分たちにある時、相手のプレッシャーを感じないものです。でも、正直あの時間帯からスクラムでもモールでも接点で早稲田のプレッシャーを感じていました。
――試合中に明治と早稲田の差を感じた瞬間は具体的にどのようなところですか。
あのような試合の場合、勢いでトライが取れることもあるので、それが続けばと思いました。でも、試合の鍵を握るセットプレーで負けて早稲田の流れになりました。早稲田は15人全員が勝負のポイントを分かっている気がしました。1つのプレーに対して15人で対処することが徹底されているように感じました。早稲田はセットプレーに勝つために何をすべきかを15人全員が理解できていたと思います。
――試合終了後、茂木選手はベンチで座ってなかなかロッカールームへ向かおうとしていませんでしたね。ノーサイドの瞬間、何を考えていたのですか。
試合会場に来てくれた人みんなに申し訳ないと思いました。単に「悔しい」の一言では済ますことのできない複雑な感情が交差していました。単純な悔しさ、なぜ直前にケガをしてしまったのかという怒り、4年間手を抜いてこなかったのになぜ?という疑問、良いトレーナーに恵まれたのに結果を出すことができなかったという情けなさ…。一言では表すことのできない感情でした。
試合後は整理できなかったが、単純に早稲田に勝つ実感を持てないまま試合に入っていたと思います。現実に起こりうることを想定し、対策し切れず、15人で意識を共有することができなかったのです。それらができなかったことには自分に甘さを感じました。
――大学選手権も始まりましたし、残された時間は少ないですが、今後の目標やプランを教えて下さい。
残された期間は少ないからできることが限られているのは事実。チームとして成功につなげるためにやっていきます。決勝で早稲田に勝てないという人が多いけれど、僕は勝つつもりだし勝つことに全力を尽くします。早稲田にリベンジすることしか考えていない。まだみんな明早戦のキズを抱えている選手もいるが、意識を高く持つように呼びかけることなど普段から言っていることをこれからも言っていくつもりです。上野のチームの一員として自分にできることを全力でやっていきます。今は早稲田に勝つことしか見てません。
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