箱根を駆ける(1)/第84回箱根駅伝

1999.01.01
ーー学連選抜での練習を振り返って
 関東学連選抜の練習は合宿を入れて3回行いました。1回目はやっぱり緊張したけどすぐ溶け込むことができましたね。合宿では最後みんなで相談しながら練習できました。あとは当日でどれだけそれぞれの目標に近づけるかですね。他大の選手と一緒に練習するとかってめったにない機会なんでチームでは得られない体験ができたし、こういうのも大切だと思います。学連選抜のチームのみんなとは仲良くなりました。アドバイスとかはお互いにしなかったですね。みんな自分が走ってチームに貢献してやるって意識の高い人ばっかりです。

ーー箱根での目標は

 学連選抜での目標は3つあって、1つ目は学連選抜でシード権を取ること。シード権が取れれば予選会枠が1つ増えて自分たちにはプラスになる。他大の選手もその気持ちで臨むのでこれはチームみんなの目標ですね。2つ目はやっぱり明治として箱根に出場しててもやっぱり区間順位っていうのは気にするので、何番になれるか、やっぱり少しでも上の順位で走ってチームに貢献したいです。3つ目は与えられた区間で自分の力を発揮すること。先頭との差をいかに縮められるか、後ろとの差をいかに広められるかっていうのが大切になってくるので…。悔いを残さないように走りたいですね。

ーー前回の箱根駅伝と比較して気持ちの変化は
 前回の箱根駅伝っていうのは何もかもが初めてで緊張とワクワクだけでした。不安とかはなくて、憧れの舞台で走ることが楽しみで仕方なかった。想像するだけでワクワクしたし走れるだけでうれしい、出られることに意義があるって思ってました。でも今年は箱根駅伝で結果を残すことに意義があるって思ってます。去年に比べて貪欲になりましたね。箱根の経験者として練習を引っ張る回数も増えました。去年は全日本大学駅伝やそれぞれの駅伝の予選会などすべて経験し、それらの経験っていうのはすごく大きかった。それを伝えていかなくては、引っ張っていかなくてはと思ってます。

ーー自己ベスト更新について
※12月2日に行われた日体大記録会で10000mの自身のベストタイムとなる28分58秒41という好記録を出した石川。学連選抜のメンバー選考会ともいえるこの記録会で実力を見せつけた。

 記録会っていうものは練習の流れで出るんです。でも今回の記録会は選考会で、いつも記録会っていうのはタイムとかあんまり狙わないんですけど今回は違いましたね。それなのに1週間前に崩れてしまって、正直調子は良くなかったです。それでも29分30秒以内で走るという個人の目標を達成できれば自信になるなと思って臨んだ記録会でした。難しかったし、工夫しながらやった記録会だったけど、やっぱり箱根駅伝はインカレや予選会よりも走りたかった大会なので諦めずに走りきった結果だと思ってます。それで自己ベストが出せたということは自信になりました。


ーー東野について
 東野さんにはまだ勝てないなぁと思いますね。自分は諦めの悪い男なので(笑)、走ってるときとか「抜いてやろう」とか思って走ってるんですね。そういうことばっかり考えてる男なんですよ(笑)。でも東野さんは一緒に走るとすぐに諦めちゃいます。あー勝てないなぁって。やってることが1枚も2枚も上なんだと思います。生活とかも全部含めて。自分は負けず嫌いなんですけど、今は(東野さんに比べると)力がまだまだですね。
ーー箱根への思い
 箱根は1年のスタートラインです。前回は1年の締めだと思って、箱根が終わった瞬間リセットしてしまい、それで今年は春先がだめでした。箱根で1年が終わりなんじゃなくて、箱根が終わって次にどう繋げるかが重要だと思います。高校生からずっと箱根に憧れてきたけど、箱根で結果出たら人生が変わるか?と言われたらそれは違うと思うし、箱根にすべてを注ぎたくない。でもすべてを注いでしまう魅力のある駅伝だと思います。大学生活は4年間しかないから残り2年、全部出てやる勢いでやっていきたいです。

 どんなに大きな大会でも、調子が万全でなくても安定した走りでチームを引っ張る石川。練習では誰よりも真面目に取り組み、他の部員から一目を置かれている。石川の机の前には西駅伝監督の「反省しても後悔はするな」という言葉が貼られている。「箱根予選会はたくさん反省したし、後悔もしてしまった」(石川)。2度目の憧れの舞台、箱根で納得のいく走りをし、来季、チームを勢いづけてくれることを期待したい。

◆石川卓哉 いしかわたくや 政経2 豊北高出 172cm・57kg