
(3)宮原崇
――階級アップをしたのはなぜですか?
「減量がきつくて試合で体が思うように動かなかった。高校の時は4kgぐらいだったけど、大学に入って体が大きくなったから9kgぐらい落とさなきゃいけなかった」
――1、2年生の時に結果を残せていなかったが、焦りはありましたか?
「成績を残さないとやばいと思って焦ってた」
――74kg級にしてからすぐにインカレ2位という結果が出ました。そのときの気持ちは?
「今まで結果が残せていなかったから、やっぱりうれしかった」
まさかの予備選敗退
66kg級のときは9日で9kgもの減量をしていたという。減量苦という壁がなくなったことで学生2位という栄冠を手にした。このままの勢いでいきたかった内閣総理大臣杯。予備選の相手は格下だった。試合中も余裕を持ち戦っていた。しかし、気の緩みからか、スキをつかれ投げられそのままフォール負け。まさかの結果であった。試合後多賀総監督から「情けない」といわれ、本人も「ショックだった」と振り返った。落ち込んでばかりはいられないと、試合後は会場の隅で練習をしていた。
――内閣総理大臣杯ではまさかの予備選敗退でした。そのときはどのような気持ちでしたか?
「高校で結果を残したあとダメだったけど、インカレで2位と(低迷から)抜け出せたのに、この結果はショックだった。このままキープしたかったけど・・・。(相手が)今までやったことがないタイプだったからやりにくかった」
――試合後練習していたのはやはり悔いが残ったからですか?
「あの時は決勝まで行くつもりだった。だから、このままじゃ終われない!と思ってね。落ち込んでてもしょうがないし、気持ちを切り替えるためにもやった」
1年間での成長
勝ち続けた高校時代とは違い、今までは勝つことができなかった。インカレ2位という結果を手にし、このままいきたかったがまさかの予備選敗退。この経験をから何か得たものはあったはずだ。苦難を乗り越えつかんだインカレ2位。この栄冠を手にするまで、どのようなことを考え、練習してきたのだろうか。
――この1年間でどのようなことを意識してきましたか?
「階級を上げたし、体をデカくしようとしてきた。あとは、攻めのレスリングをすることかな。高校の時はカウンターレスリングだったし、うまくいっていた。だけど、大学に入ってルール変更があったり減量があったりで勝てなくなった。(多賀)監督からタックルを教えてもらい、今はできるようになってきた」
――昨年より成長したと感じる部分はどこですか?
「メンタル面かな。あとは練習に対する姿勢。上級生になったし、自分がやらないと!って思って。上(上級生)がやらないと、そして強くならないと下(下級生)がついてこないからね。だからやらないといけないと思う」
「技の種類や柔軟性かな。どんな体制からでも技がある」
大舞台・天皇杯へ
「自分がやらないと」。その言葉どおり、練習は1時間スパーリングをするなど積極的に行っている。そして、下級生も付いていっている。
宮原にとって、1年時以来となる天皇杯。ハイレベルになることが必至であるこの大会。どのような気持ちで臨むのか。そして、どのような戦い方をするのか。
――インカレ2位で天皇杯出場権獲得しました。1年生のとき以来の出場ですが、何か特別な気持ちはありますか?
「いつもどおりやるだけ。出ることが目標ではないから」
――学生だけでなく社会人も参戦し、ハイレベルな試合になると思いますが?
「強い人たちを倒したい。今の自分の評価はあまり高くないと思うから、評価を上げたい」
――どのように戦いたいですか?
「がむしゃらにやる。とにかく動いてタックルをねらう。パワーで劣るかもしれないが、スピードでカバーする。他の選手は減量がある選手がほとんど。自分はないぶん有利」
――この選手には負けたくないという選手はいますか?
「誰にも負けたくないよ」
――戦ったみたい選手はいますか?
「強い人とやってみたい。自分がどこまでやれるのか」
――天皇杯での目標は?
「みんな強いからきついと思うけど、できれば優勝したい」
ルール変更、減量苦という壁をようやく越えることができた宮原。内閣総理大臣杯での予備選敗退という結果。しかし、試合後に練習をするという今まで見たことのない光景。これは宮原の成長へ大いに期待ができる光景だったように思えた。インカレ2位で自ら手にした天皇杯へのキップ。全日本クラスの大会へようやく宮原が帰ってきた。インカレ2位に続き、“宮原復活”なるか。天皇杯という大舞台での活躍が楽しみだ。
◆宮原崇 みやはらたかし 営4 秋田商高出 173cm・74kg
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