(3)ボレー(酒井正利 佐藤誠悟)

1999.01.01
 汗を飛び散らし、ラケットでボールを跳ね返す。さわやかで熱いスポーツであるテニスは、大学でも広く親しまれています。サークルなどで大学からテニスに触れ、うまくなりたいと感じた人も多いでしょう。そこで、06年インカレベスト8や07年関東ベスト4と、今、昇り調子の明大硬式庭球部に技術向上への秘けつを聞いてみました。上達することで、さらにテニスの魅力に取り付かれて行くはずです。

第3回は初心者の方でも気軽に習得できるボレー編です。

―ボレーの中でも得意としているものは?
酒井「フォアボレーです」。
佐藤「バックボレーですね」。

―お互いのボレーの印象は?
佐藤「(酒井は)ミスをしない。決める球を持っていて、冷静に打ち分けられている」。
酒井「速くて威圧感がある。(威圧感があるため)相手がミスしてくれるからうらやましい」。

―いつごろからボレーが得意となったのでしょうか?
酒井「大学に入ってダブルスを良くやるようになってから。シングルスよりダブルスの方がボレーを使うので」。
佐藤「高校の時に足もとを良く狙われていて、それに対応するためにボレーの練習をよくした。その時は体重移動や相手の球のスピードを利用することを意識していたね。大学に入ってからダブルスを通してさらに良くなっていったと思う」。

―打つときに意識している点は?
酒井「手首を返さないようにしていることと、体制をきちんと作る点。構える時は体を低くしている」。
佐藤「準備と予測。できるだけボールを上の方で打つようにとらえている。高いところから打った方が、勢いよく下へ落とせるからね」。

―ボレーを打つときに狙っている所は?
酒井「ベースラインの1mくらい手前を狙っている」。
佐藤「相手の嫌がるところに低い球を打つようにしているよ」。

―初心者にありがちなミスは?
酒井「振りすぎや手首の返しすぎによるラインアウト。ラケットの面にきちんと当てる必要があるよ」。

―ボレー上達のためには?
佐藤「ボールを恐がらず、ボールのくる方向を見極めることと、ひざを曲げてすぐ前方に踏み込めるようにしておくこと。ボレーの後はあまりラリーが続くことはないので、打つときは前方へ進んだ方がいよ」。
酒井「前といっても少し斜めの方へ進むべきだね。あとは低く構えることが多いから、下半身の筋力が大事かな」。

―ラケットの持ち方は?
酒井「ラケットを立てる感じ。手とラケットをちょうど90~100度ぐらいにするといいね」。

―どういった練習方法が効果的ですか?
佐藤「ラリーの練習の時などに積極的にボレーを取り入れること。ラリーではついストロークばかりやる人が多いからね」。
酒井「ストローク対ボレーもいいですよ。ボレー対ボレーだと長続きしないので、相手にストロークしてもらえば、たくさん打てます」。

―ボールを狙った方向へ飛ばすためには?
佐藤「打点が大事。クロスに打ちたいときは打点を前に、ストレートに打ちたいときは後ろに。後は足の踏み込む強さでパワーを調整」。

―ハーフボレー(ボールの位置が低い時に打つボレー)を打つときのアドバイスは?
酒井「腰を落として打つ。ポイントを決める打ち方ではないからゆっくりと丁寧に返すこと」。

―最後にボレーの魅力を教えてください
酒井「力がなくても決まるところだね」。
佐藤「相手を動けなくさせることができる点。ボレーができれば体をあまり動かさなくすむから、生涯スポーツとして一生テニスを楽しめるところかな」。

精密な前衛プレイヤー
 的確なボレーを武器とする酒井。その技術を見込まれ、本年度は野口(商3)のパートナーを務めた。「無駄なショットをできるかぎりなくし、基本に忠実なプレーを目指した」。その正確な戦いをするためにリーグ戦の前では誰よりもボレーを練習し、一日中ひたすら打ち込む時もあった。
 しかし、リーグ戦の途中から不調となってしまう。「入替戦に照準を合わせることができなかった」。その中でも、コートの外からプレイヤーへいつもより大きな声を送り、チームを盛り上げる。プレイヤーとしてベンチとして、常に自分の置かれている場所を認識した上で部のために戦ってきた。
 酒井の目標はもちろん「1部昇格」。それは入部当初から抱いていた夢でもある。彼のひたむきな姿勢を持って、来年こそはその悲願を果たしてほしい。
◆酒井正利 さかいまさとし 営2 静岡市立高出 174cm・64kg

流れを変えるムードメーカー

 今年のリーグ戦、入替戦を通じて佐藤は全試合に出場して無敗。春の関東インカレでもダブルス8位と、本年度は目覚しい活躍を見せた。パートナーである長島(農3)とは去年のリーグ戦から組み、二人の息はばっちりだ。「長島さんがどこに打ってくれるかも分かるので、試合の組み立てもうまくできる」。
 彼の情熱のあるプレーは周囲を大きく盛り上げている。リーグ戦中では誰よりも声を上げ、劣勢の中でも彼の響き渡る声により、試合のムードを変えさせてきた。入替戦においては一進一退の攻防が続く中、3セット目まで持ち越し6-6となる。そして1点でも落とせない状況の中、見事勝利を果たす。その時にはラケットを落とし思わず涙を流す姿があった。
 「ダブルスをもっと中身の濃いものにして来年のリーグ戦も負けなしでいきたい」。今年は歓喜の涙と悔し涙の二つを味わった佐藤。その思いを胸に、次こそ明治を1部へ導かせる。
◆佐藤誠悟 さとうせいご 政経2 法政二高出 180cm・75kg