東北の地にて慶大との接戦制す/招待試合

2024.05.26

 山形県での開催となった伝統の明慶戦。会場には多くのラグビーファンが駆け付け、温かい雰囲気に包まれながら試合が行われた。前半から互いに勢いある攻撃を見せトライを取り合う展開が続くと、後半もその流れは変わらず、実力が拮抗(きっこう)したシーソーゲームに。後半終盤にFWの強さが光り、点差をつけた明大がそのままリードを守り切り、5645の接戦を制した。

◆5・26 招待試合(NDソフトスタジアム山形)
▼対慶大戦
〇明大562821282445慶大

 先に試合を動かしたのは慶大。「慶大の激しいタックルもあっていつも通りのプレーができていなかった」(菊池優希・政経3=山形中央)。前半4分、フィールド中央から相手BKに次々とボールをつなげられると、そのまま空いたスペースへと走り込まれ先制トライを挙げられる。BKを強みとする慶大らしい得点パターンでいきなり出鼻(でばな)をくじかれた。すぐさま追い付きたい明大は、13分に慶大と同様BK陣でパスをつなぎ左サイドへ展開。ラストパスを受けたフルバック山川遥之(営3=尾道)がそのままインゴールへと走り込み同点トライを決めた。このトライを皮切りに、16分には敵陣22メートルライン付近でのモールから左へ展開すると、最後は右センター山田歩季(商4=京都成章)がグラウンディング。続く25分には左フランカー木戸大士郎主将(文4=常翔学園)が、27分には左プロップ檜山蒼介(情コミ2=尾道)がそれぞれトライを決め追加点を挙げた。「しっかりフォローについてずっと声を掛けてたので、トライ取れてよかった」(木戸)。点差を広げ勢いに乗ったかのように思えた明大だったが、前半終了間際に連続で2トライを献上。慶大に追い上げを許し28―21の1トライ差で試合を折り返した。

 慶大の追い上げムードを断ち切りたい明大だったが、後半開始早々から相手の猛攻に苦しみ、3トライ連取を許し逆転されてしまう。しかし明大も抜群の修正力を見せると、後半12分、17分に連続2トライを挙げ返しすぐさま逆転。「しっかりトークして取り切れたいいトライだった」(木戸)。両者点を取り合うシーソーゲームを見せ、拮抗した試合展開が続く。試合が動いたのは、明大が3点ビハインドの状態で迎えた29分。50:22で獲得した敵陣深くでのマイボールラインアウトからモールを展開し、徐々に前へと相手を押し込んでいく。そして、インゴールへと入り込んだところで金勇哲(営4=大阪朝鮮)がグラウンディング。「ディフェンスから味方がペナルティーを取ってくれて、ラインアウトからいいモールを組めてトライを取れたので、非常にチームとして良かったトライだった」(金勇)。直後の33分にも同様の形から金勇がインゴールへボールを置き、決勝点となる連続2トライを挙げて見せた。試合終了間際には、慶大が意地を感じさせるフェーズを重ねた攻撃を見せるも、明大がそれを防ぎ切りノーサイド。最終スコア56―45で明大が接戦を制した。

 今年度、東北の地で行われることとなった難敵・慶大との一戦。開催地となった山形県出身の選手も出場した。「サッカー観戦とかでよく来ていて、とてもいいグラウンドで自分にとっていい経験になった」(菊池)。次なる決戦の場は新潟県。宿敵である早大との伝統の一戦が6月2日に控えている。「春の大一番になるので、しっかり勝ち切っていい雰囲気のまま春シーズンを笑顔で終わりたい」(右ウイング安田昂平・商4=御所実)。意地と意地がぶつかり合う激しい一戦となるに違いない。

[久保田諒]

試合後のコメント
木戸主将
――今試合振り返っていかがですか。
 「得点差でも表れているように、ディフェンスがあまり良くなかったなって思います。アタックに関してはいいところも悪いとこもあったので、いいところは伸ばして悪いところは修正していきたいです」

――慶大のディフェンスの印象はいかがでしたか。
 「ディフェンスはすごくラインスピードが速くプレッシャーを掛けられて、アタックはキックを使いこなしててうまかったので、そこに苦戦しました」

安田
――拮抗(きっこう)した試合展開となりましたがいかがでしたか。
 「しんどかったです。すごくしんどかったですけど、僕らもどのくらい決定力があるかどうか自分たちの力を再確認、もしくは課題を明確にできたので、その課題をあとは乗り切るだけかなと思います」

――ハーフタイムにはどのようなことを話されましたか。
 「みんな少し焦りすぎていたので、焦らずにまず自分たちは強いキャリーで、一発一発でトライを挙げにいこうとしていたので、モメンタムを持ってもっと自分たちの強みを生かそうという話をしました」

金勇
――セットプレーはいかがでしたか。
 「スクラムは結構課題が残るところが多かったと思います。ラインアウトも前半は少し安定しなくて、後半は良かったんですけど、これからもっと成功率を上げていきたいと思います」

――ベンチから見ていて前半の雰囲気はいかがでしたか。
 「ラインアウトとかあまりうまくいってなくて、アタックも自分たちのいいプレーができていない印象でした。相手にペナルティーを取られたりしていたので、結構しんどい状況だなというふうには考えていました」

菊池
――山形県で好きな場所はありますか。
 「ここっていうのはないですけど、温泉が好きなので、山形の温泉は東京に比べても結構いいと思います」

――これからの意気込みをお願いします。
 「この試合が初めての紫紺で、Aチームの紫紺の重みを知れたので、Aチームに絡めるように課題をしっかり修正して、これから頑張っていきたいと思います」