(4)チームの熱き大黒柱・黒田主将

1999.01.01
 昨年、史上最強の拳士・中栄前主将(なかえ・平19政経卒)に導かれ、団体インカレ3連覇を果たした本学。中栄メイジから黒田(営4)メイジへと移り変わった今年は4連覇の懸かる大事な年であり、それ故、主将の重圧は計り知れない。運命のインカレを目前に控えた黒田主将に迫る。
拳法は楽しんで
 「モットーは楽しんでやること」と語る黒田。私生活でも笑顔は絶やさない。「将来の夢は2分間に500万円が降ってくる世界に住むこと」。われわれの取材にも笑いを交えながら、常に気さくに応じてくれた。
 そのモットーは拳法に対しても変わることはない。明るい主将でいることを目標とし、主将としての1年間で部員たちへの積極的な声出しやスキンシップを図るなどして、楽しみながら拳法に取り組める雰囲気づくりに励んできた。「明るい雰囲気でやれていて今が一番楽しい」。そのかいもあって下級生も「今年の雰囲気が一番好き」(長江・政経3)と練習に意欲を燃やす。「みんながリラックスして拳法ができるように心掛けている」。黒田の拳法に対する姿勢は着実に下級生にまで浸透している。

 だがそんな黒田も、明治での厳しい拳法生活の中で常に楽しんで拳法に取り組めてきたわけではない。入部当初は「雰囲気になじめなくて、監督に辞めたいと言ったことがある」。そんなときに支えてくれたのは同期であった。「同期がいたからここまで続けてこれた」。黒田にとって同期の存在は大きく、そのきずなは深い。
そして黒田の“楽しむ拳法”についてきてくれる後輩たち。彼らの存在も「頼もしい。試合でもそれ以外でもサポートしてくれる」と、黒田が明るい主将たる原動力となっている。

復調、そして最後のインカレへ
 「みんなの前では冗談ばかり言うが、勝利に対しては1番執念深い」(吉田・政経4)。笑顔の裏に隠された、勝利への深き執念。勝ち気な黒田であったが主将になってから、そのプレッシャー、そして腰を痛めたことも重なりスランプに陥ってしまう。勝負どころで勝ち切れない自分にいら立ちを隠せず、時には怒りをあらわにし、時には悔し涙を流した。「チームの出来はいいが自分の調子が整っていない」。だが10月28日、名古屋で黒田はついに復活を果たす。「動きが戻ってきた」と今までのスランプを感じさせない闘いぶりを見せ、個人インカレで堂々の3位入賞。大会を終えた黒田の表情は頼もしく、自信に溢れていた。

 残る団体インカレは黒田にとって最後の試合となる。自身の拳法部での4年間を「楽しかった。厳しい環境でやっていく中で、自分と自分の拳法を見つめ直すことができた」と振り返る。同期、後輩、明大拳法部に支えられてきた黒田は「身内だけでこれだけ(拳法に)盛り上がれるとこはほかにない」とチームに誇りを持つ。その誇りを胸に、1年間の集大成ともいえる大会を今年も歓喜のうちに終え、有終の美を飾れるか。前人未到の4連覇を達成し、明大拳法部が学生王者と呼ばれ続けるゆえんを大阪府立で証明する。そして本学の大黒柱・黒田主将が勝利の雄たけびを上げ、笑顔で長き明大拳法生活の幕引きを迎えられることを願ってやまない。

◆黒田健 くろだけん 営4 大阪高出 173cm・78kg