女子単複優勝! 女子部史上初タイトル獲得/関東学生トーナメント7日目

2024.05.19

 連日の激しい熱戦を勝ち抜き、ついに頂上決戦の舞台を迎えた。明大女子からはシングルスに鈴木渚左(国際4=野田学園)主将、ダブルスに鈴木渚・五十嵐唯愛(政経3=四日市商)組が出場。なんと単複両方で勝利を挙げ、関東の頂点に立った。

[女子シングルス決勝]
〇鈴木渚 2{6―1、7―5}0 沼野(亜大)

[女子ダブルス決勝]
〇鈴木渚・五十嵐唯組 2{6―4、6―0}0 小畑・平田組(早大)

【女子シングルス決勝:鈴木渚VS 沼野菜海(亜大)】

(写真:バッグハンドを打つ鈴木渚)

 鈴木が春関女子シングルスの頂点に輝いてみせた。優勝を懸けた決勝の相手は、昨年度の関東学生選手権(夏関)決勝と同じ亜大の沼野。夏関では悔しくも敗戦を喫し、準優勝という結果に終わった。「去年はすごく悔しい思いをしたので、本当に絶対負けないという気持ちで試合に臨んだ」。気合い十分にコートに入った鈴木は、立ち上がりからその強さを見せつける。第1ゲームを難なくキープし、迎えた第2ゲーム。両者一歩も譲らぬ攻防を見せ、互いに得点を重ねていく。そして6度のジュースの末、先に相手のミスを誘い鈴木がこのゲームをブレーク。そのまま勢いに乗ると次々にゲームを重ねていき、第1セットを6―1で獲得した。「応援の声を聞いて、少しずつ自分のリズムを上げていこうというふうに組み立ててやっていたら、相手のミスを誘えたのでファーストセットは簡単に取り切ることができた」。

 第1セットの流れのまま、第2セットも相手を圧倒していきたい鈴木であったが、そう簡単には試合を運ばせてはくれない。「どんな時でもしつこく粘り強くプレーしてきて、チャンスがあったらどんどん前に来るのがすごくプレッシャーに感じた」。互いにラインぎりぎりの深いボールを打ち込んでいき、相手のミスを誘い合うラリー戦を展開。どちらかがブレークするとすぐさまブレークバックし返し、実力が拮抗(きっこう)した試合を見せる。それでも「気持ちで絶対に引かないで、相手に先に展開されるより先に自分から展開していこうと思った」と、スピンやスライスなど多種多様なボールを用い相手を崩しにいく。その戦法がはまり、ゲームカウント5―5で迎えた第11ゲームをブレークに成功する。その後のサービスゲームも危なげなく得点していき、最後は相手のボールがサイドラインを越えゲームセット。ストレートで決勝戦を制し、勝利の拳を満点の青空へと突き上げた。

【女子ダブルス決勝:鈴木渚・五十嵐唯組VS小畑莉音・平田葵組(早大)】
 鈴木がシングルスで優勝を果たした喜びもつかの間、女子ダブルス決勝が行われた。「気持ちでは絶対負けないで(五十嵐)唯愛と優勝したい」(鈴木)。「(鈴木)渚左さんがシングルスで優勝して、もうあと1試合だったので、自分は単複優勝に貢献することだけが仕事だと思っていた」(五十嵐)。目指すは頂点へ。2人は新たな歴史を作りにコートへと足を踏み入れた。

 試合は第1ゲームから4度のジュースを繰り返す接戦に。アドバンテージを許すも、息の合った冷静なプレーで焦ることなくキープに成功。2ゲーム目もブレークし、上々の立ち上がりを見せた。その後は互いのレシーブゲームを取り合う両者拮抗(きっこう)した試合展開を繰り広げる。5―4で迎えた第10ゲーム、またもやジュースゲームでの攻防戦にもつれ込む。「気持でもプレーでも引かないことを心掛けていた。自分はフォアサイドでストレートを打って、(五十嵐)唯愛もバックのストレートを綺麗に決めることができた」(鈴木)。メンタル的にも体力的にも厳しい中、集中力を切らさず8回ものジュースを取り切り、このセットを制した。勢いに乗った鈴木・五十嵐組は前に積極的に打ち込み、プレッシャーを掛けてくるような相手のプレースタイルを完全に攻略。6―0とストレートで第2セットを獲得し、圧倒的な実力で優勝をつかみ取った。

 今試合、ジュースにもつれ込んだのが6ゲームと、競った試合展開が多かった。しかし、鈴木・五十嵐組はそのすべてのゲームを取り切っている。「迷った時に絶対に強気な選択をすること」(五十嵐)がその勝因であろう。昨年度の夏関からペアを組み始めて約半年、試合を重ねるごとに2人のコンビネーションを高めてきた。鈴木が安定したストロークと鋭いコースで甘い球を誘うと、五十嵐が虚を突いたボレーでチャンスを確実にモノにする。互いを信頼しているからこその息の合ったプレーで着実に勝利を重ね、関東の頂点に上り詰めて見せた。しかし「この大会はあくまでインカレ(全日本学生選手権)予選」(五十嵐)。さらなる高みを目指し、2人はすでに次戦を見据えている。

 なんと単複優勝は2005年の女子部創部史上初となる。まさに歴史的快挙を成し遂げた明大女子硬式庭球部。次は8月にインカレ、9月に関東大学1部リーグ戦が控える。全国の頂を目指して。今年度の明大硬式庭球部の大躍進は誰も止めることができない。

[久保田諒、井手満菜]

試合後のコメント
鈴木渚
――シングルス優勝という結果を振り返っていかがですか。
 「優勝目指してやってきたので、こういう結果を残すことができたのはうれしいです。自分だけの力で優勝できたわけではなくて、毎日ケアをしてくださっていたトレーナーさんであったり、女子部男子部のみんなも声を掛けてくれたりメッセージくれたり、絶対いけるよって言ってくれて、本当にみんなの応援のおかげで頑張ることができたなと思います」

――試合を終えて今のお気持ちはいかがですか。
 「率直にうれしいです。去年はベスト8で負けてしまって、今年は去年よりも一本でも多く勝ちたいって思っていて、ベスト4を最低限の目標としていました。そこでベスト4に来られたことは成長を実感できるし、すごくうれしいです」

――鈴木渚・五十嵐唯組の強みは何ですか。
 「試合を積み重ねてきていくうちに、2人のツーアップの形がはまってきました。お互いの位置をちゃんと把握して動けるようになってきたので、そこのツーアップは強みだと思います」

――五十嵐唯選手の強みを教えてください。
 「(五十嵐)唯愛は今回すごくボレーが良くて、前にボールが来た時も今までは少しつなげちゃっていたところをストレートに相手にぶつけられるようになっていたところです。あとバックのストレートです」

五十嵐唯
――今試合の相手に対する戦略を教えてください。
 「相手の1人が自分の高校のダブルスのペアでした。お互いの得意なことは知っていたので、お互い対策を練っていたと思います。自分たちの方がもう1人に対しての対策ができていたのが勝因の一つだと思います」

――鈴木渚・五十嵐唯組の強みは何ですか。
 「相手がどんなプレーをしてきても話し合って考えて対応できるということが自分たちの強みだと思います」

――鈴木渚さんの強みを教えてください。
 「シングルスもなんですけど、前に入って打つのがうまくて、ボールも速いのでそれは相手だったら絶対嫌なので、そこが(鈴木)渚左さんの強みだと思います。普通の人が打たないコースに打てるのと、足が速いことも強みです」

上原真吾監督
――春関を終えて、総括をお願いします。
 「全体総括としては冬からやってきた底上げというのは発揮できたのかなと思います。それぞれ勝ち負けはありますが、例年よりも粘り強く戦えていたっていうのが一つ印象です。それは毎月100キロランニングをやったりだとか、そのような取り組みが少しずつ結果に出てきてるのかなと思います。選手の顔付きが、やれるのかなというような表情になっていることをすごく感じます。今回女子は優勝しましたけど、これはまだ途中の過程で、これからが本当にあと2カ月が勝負です。いい目安ができたので、そこに向けてのチームの再構築をしっかりやっていきたいなと思います」

――鈴木渚・五十嵐唯組の強みについてどのようにお考えですか。
 「五十嵐は元々シングルスプレイヤーなんですけど、ダブルスで特にネットプレーを練習してきたので、そういう意味で楽しんでやっていると思います。その思い切りの良さが、ゲームを支配できる部分があるなと。鈴木の方は安定したストロークやショットの精度が高いので、コラボレーションできているかなと思います。お互いのやるべきことがしっかり明確になっているので、ブレないでやれていました。試合の組み合わせが良かったことも彼女たちの頑張りがその運を導いてくれたのかなと思っています」