(1)サーブ(田代雄大 金城光)
田代「速い球を打ちたい時は、ボールをなるべく前方に上げるようにして、真っすぐ打ちおろしています。その上で自分は回転のあるサーブを打つために、相手に背中を見せるぐらい体をひねって回しますね」。
金城(光)「自分は相手に読まれないように、トスをなるべく同じところに上げて打つようにしていますね。ねらうポイントによって、上げ方を変えると相手にバレてしまうんで。他には下半身がまだ甘いから、高く飛ぶように意識しています」。
――初心者にありがちなミスとは。
田代「強く打とうとしがちですね。あまり難しいことを考えないで、ラリーした方が上達できると思いますよ。あと、ボールを上げる時は強く握っちゃう人がいるけど、それは良くありません。高く上げようと思って力んじゃうと、ボールが思うように飛ばなくなるのです」。
――上達するためのポイントはありますか。
金城(光)「まずはサーブが入る感覚を覚えるといいですよ。初めから理論的に考えないで感覚的に身につけて、徐々に速く打とうと意識するべきですね。その中で、先輩やコーチなどから指摘を受けて調整していくことが一番の近道です。サーブが入んなくなって、行き詰まっている人も、今までのサーブの形を忘れて、確実に入れる感覚を手に入れてほしいです」。
田代「それにサーブは一人で練習できるから、量をこなすことができるよ。僕は自主練で1時間くらいサーブをやっています。コートにコーンを置いて、そこに当たるまでひたすら打ち続ける時もあります」。
――サーブが上手くなったきっかけを教えてください。
田代「自分は小学校2年からテニスを始めましたけど、中学までは全然入らなかったです。でも高校からスライスサーブ(※1)を覚えて、速いボールで入るようになりました。今では一番の武器と言えるまでに自信が持っています」。
金城(光)「テニスを始めたころはずっと思いっきり打っていました。高校の時、入れることも意識していたら、正確でスピードのあるサーブが打てるようになりました」。
――セカンドサーブ(※2)のコツは。
金城(光)「セカンドサーブだからといって気を緩めてはいけません。入れるだけだと相手に打たれてしまうので、入れつつ相手に攻撃されない程度にスピードを付けていますね」。
――最後にサーブの魅力について教えてください
田代「自分のリズムから始められるのが魅力。『こういう相手には、このサーブでいこう』とか打つコースを考えて相手に読まれないようにとか考えられるところです」。
金城(光)「相手に触らせないで、そのまま点数が入る時は気持ちいいですね」。
※1 ボールに横回転をかけるサーブ。
※2 1回目がミスした後、行う2回目のサーブ。
速攻プレイヤー
「サーブには絶対的な自信がある」。速攻ゲームを得意とする田代のサーブは、背中を相手に見せるほど、体のひねりからボールに回転をかけることが特徴。その攻撃パターンは回転をかけるポイント、コースの取り方など計8種類あり、使い分けることで相手を惑わせる。
尾崎主将(営4)とダブルスを組み、06年関東新進2位、同ペアで07年関東インカレベスト4の栄光を得た。「尾崎主将と組んでプレッシャーになっていたけど、かえってミスできないという気持ちがいい結果につながっている」。セカンドサーブでも力を緩めずに、一点集中してボールを放つ姿があった。「大舞台に強い男。これからも確実に伸びていく」(尾崎主将)と大きな期待が懸かっている。
◆田代雄大 たしろゆうだい 文2 鳳凰高 175㎝・70㎏
テニスの申し子
高校時に日本一を決める全日本選手権出場と、輝かしい実績を誇る金城(光)は堅実でお手本と言えるサーブが持ち味だ。堅実さのルーツは、両親が共に元テニスプレイヤー、そして兄弟もテニスを志しているというまさにテニス一家が生んだものだ。その環境の中で、一流の指導人から一流の技術を身に付けた。
エリートという言葉が似合うが、決してテニスの楽しさを忘れることはない。「大学になった今でも楽しんでいます。特に強い人に勝った時のうれしさはたまりません。徐々に勝利した実感が湧いてくる時が良いですね」。だからこそ、「頂点を目指したくなるスポーツ」と言える。この先、部の要となることは必至だ。
◆金城光 きんじょうひかる 政経1 沖縄尚学高 172㎝・60㎏
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