優勝特集(4) 優勝を裏から支えた主将の声/平屋慶四郎

1999.01.01
 優勝に貢献した選手をクローズアップする秋季リーグ戦優勝特集。最終回は1年間、常勝明大卓球部を率いてきた平屋慶四郎主将(営4)に迫る。

 31度目の優勝。その瞬間、チームのことを第一に考え、行動してきた平屋(慶)主将の涙があふれた。さまざまな出来事が彼の頭によぎったのだろう。

 平屋主将がリーグ戦3年間で積み上げた勝ち星の数は16。4年生になり、1部リーグ戦で20勝すると与えられる特別賞受賞まで残り4勝。彼が受賞するのは確実とみられ、80年の歴史ある関東学生卓球リーグ戦に名を刻むはずだった。だが今春リーグ戦、オーダー表には平屋主将の名前はなく、力のある池田(法1)、軽部(営1)という1年生の名前があった。それでもベンチから身を乗り出し、必死に選手を勇気づけた。
 明治に入部する選手は高校時代、インターハイに出場し、活躍しているのが普通。だが平屋主将はベンチで応援している立場だった。しかし、大学入学後は1年春からリーグ戦に出場。そのため「試合に出る側と出ない側を経験し、両方の気持ちが分かる」。試合に出場できず、悔しい気持ちが少なからずあるにもかかわらずベンチから大きな声を出し、選手を後押しする。「背中でチームを引っ張っていた」(高山コーチ)の言葉通り、彼の姿は選手たちを奮起させ、優勝の隠れた原動力となっていた。
 「自分は幸せ者だ」。早大に勝ち、優勝を決めた瞬間こうつぶやいた。平屋主将がチームを率いる立場になってから団体戦で常勝明治は2度も早大に負け、主将としてふがいない気持ちを抱えてきた。けれども、大学最後のリーグ戦でリベンジを果たし、優勝を決めた瞬間、涙は止まらない。リーグ戦終了後は「後輩には今度こそ3冠をとってほしい」と終始チームのことを口にし、最後まで彼の口から特別賞受賞についての後悔の言葉は出なかった。チームに対する熱い思いは、明大卓球部の歴史においても彼にかなう選手はいないだろう。

◆平屋慶四郎 ひらやけいしろう 営4 仙台育英高出 178cm・65kg