連載企画「合掌」 第1回 清水澄子
インカレ女子三人掛けの部での演武。1年間、2人きりの4年生として、そして主務として部を支えてきた清水(文4)の集大成だった。「今回も最優秀賞を取れませんでした。けど、私にとって今まで一番いい演武ができたと思います。悔いはありません」。引退となる大会の後、清水ははっきりとした口調、晴れ晴れとした顔つきで言い切った。その言葉には4年間の苦難と達成感が見え隠れする。
この4年間を振り返ると、清水の少林寺拳法に懸けた日々は苦難の連続だった。最も大変だったのが、同期の少なさだ。通常、ひと学年部員は10人前後いるはずが、清水ら4年生はたったの2人。下級生時代に雑用を2人でこなしてきたのに加え、4年生になってからは主将の土岐(法4)と二人三脚で、大勢の部員を率いていた。「同期が10人いれば、10個の仕事を1人1個やればいい。けど、私たちは2人だけ。10個の仕事を2人でやらなければいけない」。強豪・明治の名を築きあげてきOBの支援・期待に対するプレッシャーの中で、4年生として結果を残せない悔しさと歯がゆさから涙を流す日も少なくなかった。3年次の春には、関東大会の1カ月前の練習で腰を強打し、椎間板(ついかんば ん)ヘ ルニアを患うなど、清水はつらい経験を乗り越えてきた。たとえ練習でも清水には緊張感が漂う 。
少林寺拳法部での怒とうの4年間もこのインカレで幕引きとなった。主務として、そして拳士として部を引っ張り続けて来た清水。「(このインカレで)私の役目は終わりです。思うような成績を残せず、至らないところもありましたが、後輩がこれだけ(辞めずに)残り、このレベルまで上げられました。とりあえず次につなげられたと思います」。つらい4年間を乗り越えてきたからこそ、ほかのものには替えられない達成感を得られる。後輩への新たな希望と期待を胸に清水はバトンを渡した。
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