連載企画「合掌」 第2回 杉田将平
「(少林寺拳法をやっていて)一番気持ちの良いときは、スパーンと相手を倒した時だね」。そう高らかに言う杉田(理工・3)。彼の力は、乱捕りなどの実戦形式で最大限に発揮される。時には、拳一つでフェースガードと呼ばれる安全防具を突き破ったことさえも。現在の少林寺拳法は、演武という演技力を求める競技を主体とする中、杉田が大切にしているのは、古き良き時代の実践重視のスタイル。たとえ演武に出場しても、防具を付けて実際にぶつかり合う。本気でぶつかるからこそ〝リアル〟な演武が作り上げられるのだ。
実力者がそろう3年生の中でも要となる所以(ゆえん)は、豪快な戦闘スタイルだけではない。自分でも豪語できるほど、仁義を内に秘めている。礼儀に対しては人一倍厳しく指導し、思いやりと気配りを与え続けることを忘れない。正規の練習後も自主練習として、後輩に技を教える姿がある。その後、部員たちと食事や飲みに行き、語り合う。「部活をやっていると大変なことがよくあるから、ちゃんと後輩たちの悩みを聞いてやらんと」。そのような行動の積み重ねや人柄に惹(ひ)かれ、「尊敬している。(杉田先輩のおかげで)人間的にも成長してきている」(鉄・政経1)と後輩からの信頼も厚い。一般入部の部員しかいない少林寺拳法部。入部して間もない部員に、不屈な精神を身に染み込ませるのは、杉田の力が大きい。
彼のルーツは中学、高校時代の応援団の経験だ。その経験から仁義の意義を知り、精神力が鍛えられた。応援団と少林寺拳法の顕著な共通点は〝声〟。気合の入った声は聞いた者を圧巻させるほどだ。また、ほかの道場ではさまざまな武道を学び、今年からは自衛隊の予備警察官を経験している。そのような積極的な行動は、すべて少林寺拳法へつながっている。礼儀、技の向上などへと。大会でしか生かせない武道にしたくないからこそ、新たな道に突き進む。
「部を家族のようにしていきたい。大会前日は、神社まで行き、皆がケガをしないように祈っている」。部を思い続け、少林寺拳法を思い続け、杉田の身は真の武道家へとなっていく。
◆杉田将平 すぎたしょうへい 理工3 明大明治高出 167cm・67kg
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