まずは順調な立ち上がり/関東大学対抗戦

1999.01.01
 対抗戦初戦の青学大戦が秩父宮ラグビー場で行われた。初戦を白星で飾って勢いをつけたい明治は、最後に青学大にトライを許したものの失点を“5”に抑えて圧勝し、まずはいい形でシーズンをスタートさせた。

今年はFWとBKが一体となった「オールラウンドラグビー」を目標とし、FWだけでなくBKでも得点を取れるようなチームを目指す。「オールラウンドラグビー」は実現するのか、それとも理想で終わるのか。明治の熱い秋が始まった。

 前半のホイッスルが吹かれた。明治は初戦とは思えない立ち上がりを見せた。前半6分、『ラインアウトからモールトライ』という昨年の明治の“お決まりパターン”で趙(商4)が早々とトライ。勢いにのったFWの攻撃は止まらない。12分には宇佐美(文4)のタックルを受けても倒れない正面突破から、23分にはモールから上野主将(法4)がトライを決めた。28分にはFW陣のトライに触発されBK陣が目覚めたのだろうか、武田(営2)の俊足を生かしゴールライン手前までゲイン、山口(政経2)とつなぎ左隅へトライ。BKでの初トライで「BKがチャレンジしようとする気持ちの表れが出ていてよかった」(山口BKコーチ)とその成長に手ごたえをつかんでいる。その後もトライを量産、青学大を圧倒し攻撃のスキを与えず、前半を完封で折り返した。

 後半に入っても明治は攻撃をゆるめない。11分に敵ボールスクラムからターンオーバーから宇佐美がボールを持ち出して50m独走トライを決め、さらにBKも16分に日永田(商4)がトライを決めるなど、FWとBK合わせて後半に6トライと奮起。しかしこのまま完封で勝利するかと思われたロスタイム、青学大にターンオーバーされたボールを横に展開されて、最後の最後で失点を許してしまう。結局はそれがラストプレーとなってノーサイドを迎えた。

 試合を通して奪ったトライ数13のうちFWは8つ、BKは5つであった。FWでのトライにこだわった昨年とは明らかに違い、BKのトライの多さに初戦ながらもオールラウンドラグビーの片りんを見ることができた。しかしこれからがシーズン本番、次戦の日体大戦に向けて今週から5日間、『東京合宿』と呼ばれる八幡山での厳しい集中練習も行われる。取り組み始めたばかりのオールラウンドラグビーを明早戦までにどれだけ完成させることができるかが、対抗戦優勝そして大学日本一への大きなカギとなるはずだ。

~試合直後のコメント集~
藤田ヘッドコーチ

「ラストプレーの失点は不満足。プレー自体は満足しているが、自分たちの仕掛けが足りない。これからはチャレンジしない選手は使わないつもりでいる。夏合宿の成果はまだ出ていないが、今出るとも期待していない。早明戦に向けて徐々にスキルアップしていく。八幡山でも集中練習が行われるが、どんどん追い込んでいくつもりだ。まだまだフィットネスは不足している。収穫は多少のミスがあったもののチャレンジしたこと」。

黒崎シニアコーチ
「今日の出来は70%。課題としてはスクラムの反則(アーリープッシュなど)の修正、モールの強さ、ブレイクダウンだろう。まだチームとして敵を圧倒できていない。これから集中練習を行うが、走りこみやコンタクト、モールを徹底的に練習する。特にモールは「明治にモールで押されたらもう勝てない」といわれるほどの力を付けていきたい。(FWコーチとして)BKはボール回しも速いし、必死にチャレンジしていてよかったと思う」。

成国ストレングスコーチ
「もう少し点数を取れたのではないかと思う。(ストレングスコーチとして)BKは体重を維持させたまま筋力を上げさせたい。例えるなら軽自動車がその大きさのまま排気量を上げるみたいな。これから行われる集中練習は「ラグビー力」を鍛えるものになるだろう。FWはセットプレーとブレイクダウンで圧倒、BKには速さを求めていきたい」。

山口BKコーチ
「(夏合宿での成果が出たかと言う質問に)今の段階ではまったく出ていない。しかしBKのチャレンジ精神は評価できる。初戦でチャレンジしようとしていることが分かったことは収穫。「成果が出る」ことと「成果を出すためにチャレンジする」というのは別問題であると思う。そのチャレンジ精神を持ち続け明早戦までに成果が出るように、ステップアップしなければいけない」。

上野主将(法4)
「勝利については嬉しいが質が悪く足が止まったことがよくない。すきのないような試合をしたい。 そのために一体となってコミュニケーションをとりたい。これからは圧倒の質を高めたい」。

川俣(政経4)
「開幕戦としてはまずまず。後半疲れが出てしまい、前3人も相当きつかった。まだ細かいミスやペナルティが多いから修正していきたい」。

茂木(営4)
「プラン通りにはいかなかった。まだ初戦と言うこともありなかなか雰囲気がでなかった。最後の最後でとられた1トライは気持ち次第で抑えられたと思う」

武田(営2)
「緊張もなく全体的にまぁまぁできたと思う。最後は集中力が足りず、とられてはいけないところでとられてしまった」。

宇佐美(文4)
「練習でやってきたことはそれなりにできたと思うが、もっと点は伸ばせたはず。自分には突破力しかないから、個人的にやるべきことはできたと思う」

梅原(農4)
「最所のほうは相手のペースに合わせてしまい、ブレイクダウンができていなかった。あと汗でボールが滑ったこともあったが、もったいない反則が多かった。後半はもう少し得点を取りたかった。これからフィットネスと意識両方を高めていきたい」。

雨宮(商3)
「試合終了直前まではよかったが、ハーフのミスでトライを取られたことが一番だめだった。まだまだまとまっておらず、自分でやりたいことができなかったので収穫はなかった」。

杉本(晃・政経3)
「FW全体として接点が甘かった。もう少しスクラムトライを取りたかったのだが、青学大のスクラムは組みづらく、向こうから崩してくることもあった。FWとしての「圧倒」は、要所でよいところはあったがあまりできなかったと思う」。

趙(商4)
「まだまだスクラムが甘い。青学大が落としてきてスクラムが組みづらかったのもあるが、それは後半に少し修正できたと思う。ミスをなくしていき、一つのプレーの精度を高めていきたい。(全体の得点として)50点くらい」。

星野(政経4)
「前半も後半ももっと攻めて点が取れたと思う。相手のプレッシャーがきつかったわけではないが、相手に合わせてプレーをしてしまい、やってきたことが出せなかった。(前半のトライについて)前に出る機会が少なかったので、ボールが来たら前に出ようと思っていた」。

山口(政経2)
「BKは前半かたくなってしまいミスが目立った。ハーフタイムに山口コーチから「もっとシンプルに攻めろ」ということを言われ、それは後半になって修正できたと思う。まだまだFWとの連携は不十分なので、もっと高めていきたい。そしてBKも次の試合は立ち上がりから攻めていきたいと思う」。

奥田(政経3)
「走りこんでパスをもらうなど、練習でやったことが出来なかった。前半はみんな動きがかたく、後半の最後の青学大に取られたトライは余計だった。次の試合はスタメンで出られるようにがんばる」。