インカレ前哨戦 3種目で表彰台に立つ/全日本学生選手権トラック

2023.07.04

 トラック種目の学生日本一を決める今大会。タンデム・スプリントの野中龍之介主将(営4=法政二)・吉田唯斗(政経2=学校法人石川)ペアが2位に入る。さらに鈴木澪(政経1=松山学院)がスクラッチで2位、吉岡優太(政経4=取手一)がスプリントで3位入賞。各種目に8月末の全日本大学対抗選手権(以下、インカレ)への期待を感じさせた。

 

7・1~2全日本学生選手権トラック(伊豆ベロドローム)

タンデム・スプリント

野中・吉田――2位

スクラッチ

鈴木――2位

片岡――4位

小池――14位

吉房――15位

海老島――16位

小久保――予選敗退

男子スプリント

吉岡――3位

ケイリン

野中――5位

男子マディソン

明大A(小池・海老島)――5位

明大B(片岡・小泉)――9位

1kmタイムトライアル

小泉――8位

 

 2人乗り用の自転車に乗って周回タイムを競うタンデム・スプリント。学生間の大会に限って行われるレアな種目だ。明大からは野中・吉田ペアが出場した。予選を3位で通過し、以降2ポイント先取制の準決勝では日体大と対戦。1回戦を先制するも「不意を突かれてしまった」(野中)と2回戦を落とす。それでも勝負の3回戦は「僕たちの得意の展開に持ち込めた」(吉田)。残り2周から一気に相手を引き離し、そのままゴールへ駆け抜けて決勝に進出した。しかし、中大との決勝戦は一転して「相手の方が一枚上手だった」(野中)。1、2回戦で立て続けに相手のポイントを許し敗北。試合後、目標の優勝は惜しくも逃したが「インカレに向けてもう一度頑張り直す」(野中)と、今大会を前向きに振り返った。

 

 ゴール時点の着順によって順位を争うスクラッチ。明大からは6名が30キロを走行する決勝に出場し、中でもルーキーの鈴木が躍動した。レースは中盤、片岡遼真(法3=福井県立科学技術)を含む先頭集団が人数が集まるメイン集団に1周差をつける。鈴木はそれに数周遅れて先頭集団に追い付き、ここから順位争いは先頭集団の7名に絞られた。終盤にかけては「ラストに備えて脚を貯めること。残り4週は先頭で固めようと思っていた」(鈴木)。そして先頭集団を維持して迎えた最終ラップ。鈴木がスプリントを仕掛けて、最終コーナー時点でトップに躍り出る。ただ、ゴール寸前で車輪一つ分を相手に抜かれて惜しくも2位。それでも1年生ながら堂々たる走りを見せて表彰台に登った。本間滋監督も「臆することなく勇気を持って飛び出してくれた」と太鼓判を押す。高校時代には国民体育大会でスクラッチ優勝の経験もある期待の新人。今後の明大自転車部を支える存在となるに違いない。

 

 スプリントに出場した吉岡は予選を3位で通過し、準々決勝も堅実に突破。しかし準決勝は「自分の展開にできなかった」と、相手の脚力に苦しめられた。1回戦を先取され、後がない2回戦も相手がわずかに上回り敗北。それでも3位決定戦は「準決勝で負けて、もう少し思い切った走りをしようと思った」。その言葉通り1回戦はリードを取り続けて勝利。2回戦も残り2周で一気に相手を引き離しそのままゴール。2本を先取してストレート勝ちで3位入賞。1年前の前回大会で負った腰のケガからの復活を、表彰台に立つことで証明した。

 

 「インカレ前の一番大きな大会になるので、各種目で自分達の立ち位置を理解する意味もあった」(本間監督)。8月末のインカレに向けた前哨戦とも言える今大会。優勝こそ逃したものの、多くの種目で上位に入る活躍が見えた。インカレに向けては「総合優勝できるように、しっかりとチームとして取り組んでいきたい」(野中)。最後に真の日本一へ、チーム野中がいよいよ集大成を迎える。

 

[長崎昇太]

 

試合後のコメント

本間監督

――トラック班の活躍はどう評価されますか。

 「トラックの中でも中距離が前半に結果を残してきていたので、マディソンなどは期待していた部分はありました。ベースの力はあるので、見込みがあります。今回はスプリントの吉岡が3位に入って非常にいい傾向です。故障が続いていたところが治ってインカレに向けてもいいところが目指せると思います」

 

野中

――今大会を振り返っていかがですか。

 「正直、この大会は優勝しか狙っていませんでした。予選で1位を取って、全部ストレートで優勝という目標として2人で頑張ってきました。しかし予選が思うようにかみ合わなくて3位でスタートしました。そして日体大を倒して、中央もこの調子でやろうって感じだったのですけど、実力不足で負けてしまいました。それでも他大との力の差を感じる大会になったので、インカレに向けてもう一回頑張り直そうかなというのが今の感想です」

 

吉岡

――今大会の結果はどう捉えますか。

 「(準決勝以降の相手は)全員がスプリント優勝経験者だったというのもありますけど、素直に嬉しいという気持ちと、もっとできたなと思いました。でも、大学に入ってから4年目で個人種目で表彰台ということなので、すごく嬉しいです」

 

吉田

――インカレに向けて意気込みをお願いします。

 「この競技はこのペアで出るか分からないですけど、それぞれの個人種目で優勝して、総合優勝していきたいと思います」

 

鈴木

――明大に進学した理由をお聞かせください。

 「元々、大学の練習が自由だなというイメージがありました。自分は自主練習が結構好きなので、自分でメニューを組んで、自分のメニューをやるということをやりたいなと思って明治に入りました」