
学生がつくり上げたアイスショー 暖かな空気に包まれて/明治×法政 on ICE 2024
2月23日、ダイドードリンコアイスアリーナにて明治×法政 on ICE 2024(以下、明法オンアイス)が開催された。明法オンアイスは、学生が主体となってつくり上げるアイスショーで、今回の開催で6回目となる。ビデオメッセージやグループナンバーなど、観客を大いに楽しませる工夫が凝らされていた。4年生にとっては大学卒業前の最後の舞台であり、スケート人生最後の演技となった選手もいる。パフォーマンスや企画で会場を盛り上げ、現役生と卒業生それぞれの感謝の思いが伝わるアイスショーとなった。
◆2・23 明治×法政 on ICE 2023(ダイドードリンコアイスアリーナ)
[現役生、ゲストの演技]
明大のトップバッターは元榮愛子(商1=目黒日大)。ゆったりとしたピアノの音に溶け込ませるように、3回転サルコー、2回転トーループの連続ジャンプを決める。終盤にかけてもしなやかなスケーティングでつなぎ、曲調に合わせたスピンも光った。
次に登場した佐藤駿(政経2=埼玉栄)は新プログラムとなる『Rise』をお披露目。冒頭、湧き上がる音楽にキレのある腕の動きで見事に合わせると、一斉に観客の手拍子を引き起こす。ボーカルも相まってよりクールで艶のある印象を与えつつ、華麗に着氷した4回転トーループによってダイナミックにも魅せた。「踊りを見てほしい」と話していたように、今シーズン進化を証明した表現力を存分に発揮する演技となっていた。
明大からの現役生最後に、堀見華那(商3=愛知みずほ大瑞穂)が青を基調とした衣装でにこやかに登場。シルクドソレイユより『Everything』を鮮やかに表現し、明るさを前面に出したプログラムを見せる。中でも、一気に盛り上がる曲調に合わせた、両手を2度大きく押し広げる振り付けがプログラムを彩った。
BIGBANGの『Fantastic Baby』が流れると、堀義正(商4=新渡戸文化)、松井努夢(政経4=関西)が先導する形で全体に広がり、リズミカルな曲調に対して手拍子を求める。耳に残るサビの部分では、首をかしげる特徴的な振り付けで魅せた。また、終盤には松井と平金桐(法大)が息の合ったダンスリフトで歓声を起こし、見どころ満載のグループナンバーとなった。
ゲストには依田茉里紗(日大)、佐藤由基(日大)、さらには、白岩優奈(関大)、木科雄登(関大)が出演。スケートに懸ける思いをかみしめながら、それぞれが堂々の演技を披露した。
[卒業生の演技]
卒業生の演技に移ると、明大からは岡部季枝(法4=新渡戸文化)が1番手を務めた。江川マリア(政経2=香椎)と恩師からのビデオメッセージを受け取ると『フォレストガンプ』の軽やかさに身を任せ、現役最後の滑走が始まる。映画での羽がひらひらと舞うシーンを基にしたという、白の映える衣装で表現。さらにアンコールを求められると、2018年から2021年にSP(ショートプログラム)で使用した『素敵なあなた』でその声援に応える。手拍子が巻き起こった小気味良いステップシークエンスでは、持ち前の笑顔あふれる所作で会場を明るく包んだ。夢を実現するための難関試験に向け、学業と両立させながら歩んできた明大での4年間。希望に満ちあふれた演技で魅了し続けた岡部は、次のステージに向かってさらなるステップを踏み出した。
(写真:軽やかな演技を見せる岡部)
明大からの卒業生2人目は松井。演技前には大島と佐藤から、さらに恩師からのメッセージが届いた。凛々しい滑りと共に松井の世界観を演出したのは『This is Mine』。冒頭の3回転サルコーを着氷し、手足の振りを存分に生かしたステップでは滑らかさが際立つ踊りを見せた。アンコールがかかり、続いて披露したのは『ファンタスティックビースト』。昨シーズン、今シーズンのFS(フリースケーティング)で慣れ親しんだプログラムであり、壮大な流れに乗せてイナバウアーで観客を魅了した。「今まで滑ってきた中でもかなり気に入っている」と話す両プログラムを自身の集大成に添えた松井。演技後観客席へ深くお辞儀をし、思いをかみしめながら現役生活を締めくくった。
(写真:お気に入りのプログラムで締めくくった松井)
卒業生の演技、明大のラストを飾ったのは堀。ビデオメッセージでは大島光翔(政経3=立教新座)から、さらに先輩たちと恩師から暖かいエールが届けられた。そんな中『My Way』が流れ、サルコー、トーループの軽快な連続ジャンプを音に乗せる滑り出し。しかし、ここで音源が止まってしまうトラブルが発生。再び始めからとなったが、堀はそんな中でも観客をあおる手ぶりを見せながら、笑みをこぼしていた。その裏には「いつもと変わらない気持ちで臨めた」と、堂々とした滑りで終えるという気持ちが潜んでいた。その後のアンコールに選んだ楽曲は『Evermore』。この曲には深い思いを抱えており「インカレで靴ひもが切れてしまって悔しくて号泣したときのプログラム」であった。そういった思いも含めて、現役最後を表現豊かな滑走で示した。今後については「将来フィギュアスケートに貢献できるように、自分の夢に向かって頑張りたい」とにこやかに語る。今季は主将として明大を引っ張った堀が有終の美を飾った。
(写真:観客の歓声を受ける堀)
[引退生からのメッセージ、フィナーレ]
明法オンアイスの最後は、ゲストの4選手と卒業生から一言ずつメッセージが送られた。それぞれが今までのスケート人生を振り返り、今後について明るく話す様子も。会場全体がゲスト、卒業生を優しく包み込む時間となった。最後には再び出演者全員が登場し、フィナーレを迎えた約2時間のアイスショー。スケーターと観客が手拍子で一体となり、盛大な締めくくりとなった。
2019年から始まり、明法オンアイスは今年で6回目の開催となった。明大、法大の学生主導で毎年開催されているこのショーは、多くの演者、裏方の力で支えられている。会場設営から運営まで、懸命に舞台をつくり上げた学生たちの努力が観客にも伝わったに違いない。また、それと同時に観客も選手たちを支えている。演技中の手拍子では会場を一体にし、演技後にはタオルやグッズを掲げたり、席を立ち上がって選手をたたえる光景がある。明大、法大、ゲストの方たち、さらには観客も含めて、改めてフィギュアスケートという競技の奥深さと暖かさが感じられる時間であった。
[橋本太陽]
4年生のコメントはこちらからご覧ください。
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