14年ぶりインカレ総合3位! 天海・侑吾体制有終の美/日本学生氷上競技選手権

 日本学生氷上競技選手権(以下、インカレ)の最終日は団体種目である2000メートルリレーとチームパシュートレースが行われ、それぞれ5位、2位と昨年以上の結果を残す。全種目で獲得したポイントの合計は135.5点。この結果、明大は14年ぶりに総合3位に輝き、チームが目標として掲げていた「総合での表彰台入り」を見事達成した。

 

1・5〜7 第96回日本学生氷上競技選手権(高崎健康福祉大学伊香保リンク)

男子2000メートルリレー 明大――5位

男子チームパシュートレース 明大――2位

男子総合 明大――3位

 

 「明治大学行くぞ!」の声が静寂に包まれたリンクに響き渡る。2000メートルリレーのスタート直前、第1走者・水口浩斗(政経2=池田)の咆哮(ほうこう)に沸き立つ明大。2日目までの個人種目では佐藤天海主将(政経4=北杜)や1年生たちが次々と表彰台入り、入賞を果たすなど完全に勢いに乗り、最終日を迎えた。2000メートルリレーで鍵になるのがバトンの受け渡し。「自分は渡す場所が難しい場所なので、安全に行くということで、スピードを普段よりも早く緩めて慎重に行うようにした」(山角蓮・政経3=池田)。無理に攻めず、確実にバトンをつなぐことを意識してレースに臨んだ。4人とも安定したラップタイムを出して5位入賞。タイムは昨年より約3秒縮めるなど、確かな成長を見せた。

(写真:第一走者としてリレーに出場した水口)

 

 本大会最後の競技はチームパシュートレース。2日目の5000メートルで入賞を果たした佐藤天、菊原颯(政経1=市立長野)、佐藤太陽(法1=帯広三条)のトリオが出場。「今日初めて3人で練習したので作戦はなかった」(佐藤天)とほぼぶっつけ本番でスタートしたが、練習不足を感じさせない息の合った滑りを序盤から展開。先頭の佐藤天に後続の二人が置いていかれることなく、6周目までタイムは1位。しかし終盤に逆転を許し、結果は惜しくも2位となった。佐藤太は「天海さんを常に後ろから押すのが目標だったが、残り1周で離してしまい悔しかった」と振り返り、菊原も「1位と0.9秒差で、残り2周で逆転されて負けて悔しい」と思いを吐露した。しかし三位一体で出したタイムはリンクレコードを記録し、3分台まであと0.26と迫る会心の滑り。佐藤天は「後ろの2人は恐らくここ数年で一番うまい押し方だったと思う。その中でもうまくいかなかった部分をすごく悔しがっていて、来年につながるいいレースになった」と後輩へ掛け値なしの賞賛を送った。

(写真:チームパシュートに出場した3選手)

 全競技が終了し、明大は総合で3位。じつに14年ぶりの快挙を成し遂げた。「元々力が1年生を筆頭に、キャプテンの佐藤を含めて揃っていた中で、目標を見失わずに切磋琢磨していけたのが今回の3位につながった」(西山侑吾・政経4=帯広三条)。そしてこの大会をもって4年生はチームを引退する。西山は4年間を振り返って「一言でいうと、すごく辛かった。高校の時結果を残して入学させて頂いて、最後までその期待に応えられなかったのが少し申し訳ないが、自分自身は一生懸命やってきたつもりなので後悔はない」。4年生は西山、そして佐藤天の二人のみ。佐藤天に対しては「彼の活躍にすごく嫉妬していた」という。しかし「結果を残し続けている大変さも感じていたので、後半の方は尊敬でしかなかった。本当にプレーで引っ張ってくれて、最高のキャプテンだなと思う」。西山も佐藤天がチームを離れていた時は「学年に関わらず全員が何か仕事をやれるように、率先したりとか、のびのびとできるようには心がけた」と一人でチームを引っ張り、副将としての責務を全うした。

 (写真:総合3位の表彰を受ける西山)

 明大の絶対的エースとしてあり続けた佐藤天。「4年間は楽しかったかなと思う。スケートはそれなりに充実していたがそれ以上に、さまざまな人と関わって、さまざまなことを経験できたのですごく充実していた」。個人として今年度はW杯にも出場し、インカレ5000メートルでは連覇も果たした。主将として今年度のチームはどうだったのか。「緊張感に欠けるところがある意味良いチームだったかなと思っている。自分がそういう人間だったので、みんなリラックスしていつも以上に力を発揮できるチームになれたなと振り返ってみて思うし、それがキャプテンとしてできたことかな」。チームに帯同する時間が少ない中でも、部員のコンディション管理やミーティングなど、できることをしていった。インカレ翌日からは再びW杯に出場するために1カ月ほど海外へ。忙しい日々は続く。

(写真:主将としてチームを引っ張り続けた佐藤天)

 

 来年度の主将は東海林寛右(政経3=山形中央)が務める。今大会は選手としての出場はなかったが「フォームの確認とかの手伝いだったりをメインでやっていた」と、サポートとしてチームを献身的に支えた。インカレの目標を達成した今、新しく目標を立てるならという質問に対しては「来年新しく入ってくる1年生たちも交えて一致団結して、2位だったり優勝を目指して頑張っていけたら」。役者が揃い始めてきた明大。2006年度以来のインカレ制覇は、現実味を帯びてきた。

(写真:来年度主将を務める東海林)

 

[北原慶也]

 

試合後のコメント

佐藤天

――総合順位は3位で14年ぶりとなりました。

 「自分が1年生として入学してきた時は、正直明大が表彰台に立つことを想像することもできなかったので、そこから4年間で本当に強くなったし、大学の雰囲気も明るくなったというか、良いチームになったと思います」

 

――来年度は東海林選手が主将を務めますがいかがですか。

 「東海林に関しては不安なことしかないので(笑)。不安な部分はありますが、キャプテンになったら頑張ってくれると思うので成長に期待しています。今残っている選手が今回以上に成長して、いずれは優勝できるようなチームを作ってほしいなと思っています」

 

西山

――今大会の1年生はいかがでしたか。

 「高校の時から結果を残してきてくれた子たちがそのまま大学で結果を残してくれたっていうのは、少し自分自身重なる部分、こうなってほしいなっていう願いとかがあったので、そこがちゃんと成長してくれたというか、このまま活躍してくれればいいかなと思います」

 

――来年度のチームに期待することは何ですか。

 「来年とかも今年入賞したメンバーであったりとか、ポイントを獲得したメンバーっていうのは大半が残ってくれるので、そこでチームを引っ張っていけたらこれ以上の成績が望めると思うので、次は2位、そして優勝を目指してほしいなと思います」

 

東海林

――インカレ期間のチームの雰囲気はいかがでしたか。

 「みんなが一本一本レースに集中して、取りに行くっていう気持ちが見えていて、すごい雰囲気は良かったんじゃないかなと思います」

 

――4年生の2人に対してはいかがでしたか。

 「入学してから一番長い時間いたのがあの先輩方なので、ここで3位を取れてよかった部分もありますし、ただ悔しい部分も多分侑吾さんも天海さんも少なからずあると思うので、それを来年自分たちが超えられるように頑張りたいと思います」

 

山角

――来年度のインカレの目標は何ですか。

 「もっと上を目指していかないといけないので、でも2位と3位には差が30ポイントくらいあって、上級生を含めた来年の3、4年生の活躍が必要になるかなと思います」

 

菊原

――パシュートの準備期間が短かった中で工夫したことは何ですか。

 「今の世界記録を出しているノルウェーの動画を見たりとか、イメージトレーニングを前日からしていました」

 

佐藤太

――今年1年を振り返っていかがでしたか。

 「今年インカレで3種目に起用してもらえたのはとてもうれしいです。世界ジュニアの日本代表を目標にしていましたが、それはまだ達成できていないので、来週のジュニアで頑張りたいなと思います」