
(男子)インカレ3位 チーム全員、全力でつかみ取った表彰台/日本学生氷上競技選手権
日本学生氷上競技選手権(以下、インカレ)での優勝を目指した明大。7日は男子7、8級から大島光翔(政経3=立教新座)、菊地竜生(政経1=目黒日大)、松井努夢(政経4=関西)がFS(フリースケーティング)に出場し、大島が個人総合4位、菊地が8位、松井が24位。男子団体は3位となり優勝には届かなかったものの、それぞれがチームのために全力を込め滑り切った。
◆1・4~7 日本学生氷上競技選手権(ALSOKぐんまアイスアリーナ)
全体の2番滑走で登場した松井。今大会が12月の都民体育大会以来の滑りとなる松井にとって、FSでは体力面が最も心配な点だったと話す。「演技の構成を元々組んでいたものでいくか、後半のジャンプをダブル(2回転)にしてまとめていくかを朝の公式練習が終わった後も結構悩んでいた」。部の先輩にも相談し、出た答えは「インカレでダブルばかり入っている演技はかっこよくない」。スケーターとしての誇りを胸に、万全の状態でない中でもできる最善の演技を目指し一歩一歩ターンを踏んでいった。冒頭の3回転トーループからの連続ジャンプを成功させると、続く3回転サルコーも着氷。またコレオシークエンスで美しく披露したイナバウアーに歓声も上がった。後半、体力が厳しくなるステップシークエンスの前には、直前に会場に間に合った大島が走って応援に駆け付け「頑張れー!」と大きな声援を飛ばす姿が。「ここからステップか、ちょっと力が、となっているところで光翔の『頑張れー!』が聞こえてきたので、そこでまた力が入り、気合を入れ直して最後まで滑り切れた」と大島の声援に力をもらい滑り切った。最後は「ステップのところからとにかく楽しんで滑れた」と、大好きなプログラムだという『ファンタスティック・ビースト』に万感の思いを込め、学生ラスト試合を締めくくった。
(写真:最後の試合に思いを込め滑る松井)
前日に、SP(ショートプログラム)で新プログラムを披露しいきなり自己ベストを更新した菊地。しかしFSではジャンプのミスが続き、演技後は悔しげな表情を浮かべた。中盤の3回転ルッツからの3連続ジャンプはキレのある美しい着氷を見せるも、演技全体を振り返り「いい出来ではなかったというのが率直な感想。ジャンプが失敗したからというわけではなくて、全体的な演技が良くなかった」とジャンプだけでなく振りも曲に合っていなかったと振り返った。しかし、収穫もある。「下の点(演技構成点)は前に比べてすごく出るようになった」。要素のつなぎの部分に注力し、クロスの本数もなるべく少なくする。また上下の体の動きを意識するなど、演技構成点の面でも成長を見せた。次に控える国民スポーツ大会冬季大会(以下、国体)では「失敗したジャンプや、スピンでレベルが取れなかったところを修正してしっかり結果を残したい」と意気込んだ。
(写真:国体でのリベンジを誓った菊地)
明大男子最後の登場となったのはSPノーミスの演技で勢いに乗る大島。この日も松井の演技中に応援に駆け付けるなど、仲間の応援も欠かさなかった。リンクに入り名前がコールされると、大島からの応援を返すかのような、この日一番の歓声に送り出される。冒頭に挑んだ4回転ルッツには「試合で締めるのが1年、2年ぶりだったのですごくドキドキしたが、本当にいい感覚でできた」と転倒するも好感触。その後も全てのジャンプを着氷させる。こらえた着氷の3回転ルッツからの連続ジャンプも、2本目の3回転トーループで美しく着氷。その後の3回転フリップから連続ジャンプでも、体勢を崩しながらも意地の3回転サルコーを付けた。「妥協せず、甘えずに攻めの演技を最後までしよう。3回転を絶対つけるという気持ちで2本目を跳んだ」と気迫のこもる3回転のコンビネーションジャンプが大島の演技に懸ける思いの強さを物語る。曲がクライマックスに近づく中で、リンクを大きく使い、心に染み渡る情感あふれる滑りを披露。会場全体を大島の作り出す世界観一色に染め上げる、まさに‶スタァ〟のごとく輝きを放った。
(写真:圧巻のFSで自己ベストを更新した大島)
選手それぞれが「明大を一つでも上の順位へ」と意気込みチームのために全力で滑り切った。その結果、明大男子は団体3位で表彰台へ。また今大会を印象づけるのは、他大の選手にも大きな声援を送り、手を合わせジャンプの成功を祈るなど、大学の垣根を越えて精力的な応援を見せた大島だ。この応援ができる理由を「ちっちゃい頃からみんなと一緒にやってきて、本当にみんなのスケートが大好きなので。一人一人個性があって、どのスケーターも自分にとって大好きなスケーター。ライバルっていう前に、みんなでいい演技してすごくいい大会にしたいという気持ちが強い。本当に心の底から頑張ってほしいって思うのが応援につながっているのかな」。大島の、スケーターへの思いのこもった応援は、会場の雰囲気も温かく柔らかいものにしたはずだ。インカレならではの空気感も大切に、来年度は明大のインカレ優勝を奪還したい。
[布袋和音]
試合後のコメント
松井
――どのような気持ちで演技に挑みましたか。
「あまりに緊張して『緊張する』を連呼していたけど、明治の先輩方には『何緊張してんだよ、楽しまないと』と言ってもらって『楽しむ楽しむ』と呪文を唱えるかのように自分に念じました。緊張し過ぎて演技中の記憶がないけど、最初の3本さえ跳べればあとは気合だという気持ちでやって3本なんとか締めて跳べたのでそのあとちょっとコロコロやっちゃいましたけど、楽しめたかなと思います。全部ジャンプが終わった後のステップのところからとにかく楽しんで滑れました」
――インカレで『ファンタスティック・ビースト』を滑ることができた今、どのような思いですか。
「『ハリーポッター』と『ファンタスティック・ビースト』がとても大好きな曲なので、大好きな曲で最後滑ることができてうれしいです。『ファンタビが一番似合うのは松井君』とファンの方に言っていただいたことがあってその言葉がすごくうれしかったので、ラストインカレで滑ることができてすごく感謝しているし、内容や結果がどうであろうと笑顔で終わることができるなと思います」
菊地
――演技を振り返っていかがですか。
「いい出来ではなかったなっていうのが率直な感想です。やっぱり4回転を入れてないのでもっとジャンプは安定させて跳べるはずなのにミスが出てしまったこともそうですし、振りもあまり曲に合ってなくて、自分の中でジャンプを失敗したからっていうわけではなくて、全体的な演技が良くなかったなってすごく感じています」
――どのような演技をしようと考えていましたか。
「そうですね。やっぱり順位を一つでも上げられるような演技をと思っていました。朝の公式練習ではすごく調子が良くて、転倒は少なくてずっとちょっとステップアウトするくらいだったんですけど、今日の本番はステップアウトとかがたくさん出てしまって、まともに降りたジャンプが一つしかなくて。今後の課題は、しっかり体力をつけて、他のジャンプもしっかり伸ばせるようにということかなと思います」
大島
――ただジャンプを成功させるだけではない、それ以上に観客の方も巻き込むような感動の渦があったように思いますがいかがですか。
「ジャンプを降りることによってより盛り上がってくれた部分もありますし、ジャンプ以外の自分らしさっていう部分も今日は存分に発揮できたと思うので、それがジャンプとどちらも出せたのはすごく良かったなと思います」
――大島選手のどんな時も変わらない声援、選手からするとすごく安心するものになるのではと思いますがいかがですか。
「本当に自分の番の時に、やっぱり他の選手だったりお客さんだったりがすごく応援してくださって、すごい自分自身助けられているので、恩返しじゃないですけど、本当にどの選手もみんなでいい演技して、みんなで応援し合って、すごくレベルの高い試合になればいいなと思っているので。でも自分としては、応援してもらった分、本当に恩返しっていう気持ちで全力でみんなを応援しているという感じです」
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