
往路は23位に沈む 復路で追い上げられるか/箱根駅伝往路
「総合8位でシード権獲得」という目標を打ち立て、昨年度の苦い敗戦から必死に這い上がってきた明大。しかし本戦はさらなる高い壁が立ちはだかる。1区の大湊柊翔(情コミ1=学法石川)が1年生ながら区間8位と素晴らしい走りで襷をつなぐも、2区を任された児玉真輝(文4=鎌倉学園)がまさかの大失速。総合順位は22位まで落ち込んだ。その後は3区の杉彩文海(文4=鳥栖工)が区間11位と粘りの走りを見せたが順位を押し上げることはできず、往路終了時点で総合23位。目標達成への道は非常に険しいものとなった。
◆1・2 第100回東京箱根間往復大学駅伝往路(大手町読売新聞社前~箱根町芦ノ湖駐車場入口)
▼23位 明大 5時間37分21秒
箱根駅伝(以下、箱根)事前インタビューでは周囲から調子の良い選手として名前を挙げられており、自身でもそのことを実感していた大湊。希望通りの1区を任され、プレッシャーに打ち勝ち期待に応える走りをしてみせた。スタートから駿河台大の留学生が先頭だったこともあり、ハイペースなレース展開となった。集団走が大半となる1区では位置取りが重要。大学初駅伝ながら大湊は序盤から2位集団の中で走りやすい位置に付け、淡々とレースを進める。幾度となく集団の形が変わっても冷静さを欠くことなく対応し、自身も強みだと語る安定感抜群の走りを貫き通した。最後までその集団から離れずに、7位とわずか1秒差につけた8位で児玉に襷をつないだ。そのタイムは1時間1分37秒で1区の明大記録を6秒更新。さらに箱根の1区を走った日本人1年生の中で歴代1位に輝き、鮮烈な大学駅伝デビューを飾った。
花の2区に抜てきされたのは、明大の絶対的エースである児玉。大湊の好走と児玉の実力があればこのままシード圏内でレースを進められるかと思われた。だが、いつも通りだった表情がわずか数キロ過ぎたあたりで曇り始めると、ずるずると失速し始めて集団から離れていく。懸命に腕を振って前を目指すが、権太坂は19位で通過。その後も苦しそうな表情のまま走り続け、区間順位は23位に沈んだ。総合順位も22位まで下げた状態で襷を杉に託すことに。昨年度の箱根では7区で区間賞を獲得した実力者である杉も、活躍が期待されていたエース格の一人だ。襷を受け取ると同時に勢いよく飛び出して巻き返しを図る。最終学年としての意地を見せ、粘りの走りで区間11位と奮闘し、前の集団とのタイム差を縮めたものの総合順位は上がらず。3区終了時点で8位との差は約4分、シード権までは約3分。希望は4区と5区の世羅高出身コンビに託された。
4区を任されたのは、明大の若きエースと言われてきた森下翔太(政経2=世羅)。昨年度の箱根は1年生ながら3区で区間4位、また今年度の全日本大学駅伝では日本学連選抜として出走するなど、折り紙付きの実力を持つ。しかし森下も本来の走りができず、区間順位は22位。平塚中継所では24秒だった21位の学校との差は小田原中継所で約2分にまで広がっていた。この時点でシード圏内までは約6分。厳しい展開の中で襷は5区を走る吉川響(文2=世羅)につながった。昨年度は上手く走れなかった山登りのリベンジに挑んだ吉川。3.5㎞地点では区間8位と快調にレースを進めるが、その後じわじわと山に苦しめられていく。後半に入ると後ろを走っていた日体大に抜かれ、23位に後退。吉川も必死に前を追ったものの、明大はそのまま往路を23位で終えた。
明大は明日の復路を一斉スタートで始めることになる。8位までは約9分30秒、シード権まで約7分と目標達成への道は険しいと言わざるを得ない。だが復路にも箱根で走ること、箱根で結果を出すことを目指して努力を続けてきた選手たちが控えている。彼らが自身の実力を遺憾なく発揮する姿、そして紫紺の襷が選手たちの手で最終走者までつながり、大手町に飛び込んでくる姿に期待したい。
[春田麻衣]
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