宮下怜がベスト8 連戦ながら格上相手に健闘/全日本総合選手権

2023.12.29

 全日本総合選手権(以下、全日本総合)が武蔵野の森総合スポーツプラザで開催された。世界で戦うトップ選手たちが一堂に会する国内最高峰の大会に明大から6人が出場。宮下怜(政経2=埼玉栄)は社会人選手を次々破り、ベスト8まで勝ち進んだ。

 

◆12・25~28 全日本総合選手権(武蔵野の森総合スポーツプラザ)

混合ダブルス

 菊川・高橋組――2回戦敗退

男子ダブルス

 宮下・栁川組――1回戦敗退

男子シングルス

 宮下――ベスト8

 藤原――2回戦敗退

 武田――1回戦敗退

 

 混合ダブルスには4年生ペアの菊川旭飛(商4=聖ウルスラ学院英智)と高橋千夏(商4=甲斐清和)組が出場。ともに初出場となったこの大会が、2人にとっての引退試合となった。1回戦の第1ゲーム序盤、慣れない会場の雰囲気にのまれ、なかなか自分たちのプレーが出せず6-13と大幅なリードを許してしまう展開に。しかしそこから立て直し、5点連取をするなどして挽回。21-19と接戦を制し第1ゲーム先取に成功した。緊張が解けてきた第2ゲームは、普段通りの力を出し切り相手に一度もリードを許すことなく21-15で獲得。「普段と雰囲気が違い緊張していたけど、最後だし楽しんでやろうと考えていた」(菊川)。最終スコア2-0で初戦を勝利で飾った。2回戦では、実業団の選手相手に力の差を見せつけられ0-2で敗れてしまったものの「いい思い出と経験になった。出られて良かった」(高橋)と締めくくった。

(写真:菊川・高橋ペア)

 

 男子ダブルスには宮下怜・栁川蓮(商2=瓊浦)組が出場。日本ランキング3位の相手ペアのスピードのある返球になかなか対応できず、普段通りのプレーが通じない相手に翻弄(ほんろう)されてしまう。試合序盤は何とか食らいつき点を重ねていたものの、次第に攻撃のスキも与えられない厳しい展開に。力の差を痛感させられ、悔しい1回戦敗退となった。

 (写真:宮下・栁川ペア)

 男子シングルスには武田航太(政経3=埼玉栄)、藤原睦月(商1=埼玉栄)、予選を突破した宮下怜の3人が出場した。武田の初戦の相手は日本ランキング3位の奈良岡功大(FWDグループ)。序盤から奈良岡のレベルの高い返球に、1点を獲得するのも大苦戦。長いラリーが続くも、なかなか決めきれないプレーが続いた。第2ゲームは第1ゲームに比べて相手を動かすことができたものの、終始世界レベルの奈良岡に圧倒され0-2で敗れた。

(写真:手ごわい相手に食らいつく武田)

 

 藤原の相手も初戦から実業団の強敵となった。第1ゲームはリードを守り切り獲得した藤原だったが、第2ゲームは相手の粘り強さが光り19-21で落としてしまう。最終ゲームは藤原の技術が光った。プッシュやサイドラインギリギリのクロスヘアピンを連続で決め、客席からは歓声が沸く場面も。21-8で最終ゲームを取り2-1で2回戦へ駒を進めた。2回戦で戦ったのは世界で活躍する常山幹太(トナミ運輸)。相手の巧みな球運びによってコート全体を動き回り体力を奪われていく。第1ゲームは攻撃の機会を与えられず8-21で奪われた。第2ゲーム終盤、相手にマッチポイントを握られてからもがむしゃらに技を繰り出し4連続で得点を決める場面もあったが、力およばず悔しさをにじませた。

 (写真:プレー中の藤原)

 宮下怜は予選からの出場。本戦前に3戦を勝ち抜きダブルスの試合もこなした連戦の中でも、実業団相手に落ち着きを見せストレートで2回戦進出を決めた。2回戦の対戦相手は五十嵐優(BIPROGY)。終始リードを守り21-15で第1ゲームを先取。第2ゲームでは一転相手のペースで高速ラリーが続き、ミスも重なり8-21と圧倒的な差で奪われてしまう。冷静に切り替え第3ゲームは11-8とリードしインターバルに。「自分のリーチの長さを生かして前で取りにいった」(宮下)。何度も緩急をつけた攻撃を仕掛け相手のミスを誘い、2-1で見事2回戦を突破した。続く準々決勝、小川翔悟(ジェイテクトStings)の前に宮下は苦戦を強いられる。第1ゲーム序盤から1―11と突き放される展開に。第2ゲームは中盤までシーソーゲームに持ち込み流れをつかみかけたものの、返球がネットにかかるなど悔しい失点が続き、最終的に15-21で第2ゲームを落とした。「ミスばかりで、内容としては今大会で一番悪かった」(宮下)。36分とあまりに短い幕切れに、宮下は口を結んだ。

 

 明大を背負って出場する最後の試合となった4年生。「最後の最後にこの試合に出られて良かった」(菊川)と晴れやかな表情で試合を振り返る姿があった。躍進の年を引っ張った彼らの姿が、明大の歴史に紡がれていく。

 

[増田杏、橘里多、成田美彩子]

 

試合後のコメント

菊川

――試合の振り返りをお願いします。

 「実業団と大学生の差というか、実際に受けてみて経験値にもなったんですけど、やはりまだまだ通用しないなっていうのが率直な感想です」

 

――明大バドミントン部での4年間はいかがでしたか。

 「卒業したらもうバドミントンはやらないつもりなので、最後の最後にこの試合に出られて良かったです。先輩も後輩も強い人が多い環境で練習できてすごくいい経験になったし、自分たちもそれに乗って結果を残すことができたので、楽しかったなと思います」

 

高橋

――大学最後の試合はいかがでしたか。

 「初出場で、最後はこの大会で終われたことはすごく自分自身にとって今後のいい思い出と経験になって、出られて良かったなと思います」

 

――明大バドミントン部での4年間はいかがでしたか。

 「明治大学に入って良かったなって思うし、入ってなかったらここまで来られてなかったと思うので、明大でバドミントンをやれて本当に良かったなと思います。リーグ戦とか東日本学生選手権とかも思い出には残っているんですけど、この全日本総合に出たのは一番の思い出です」

 

宮下怜

――試合の振り返りをお願いします。

「1、2回戦の試合と比べて自分のプレーや動きが全然できなくて、ミスばかりで今大会の中で内容的には一番悪かったかなと思います」

 

――レベルの高い選手と対戦し、得たものはありますか。

「自分のスマッシュや後ろからのショットは、大学生だけではなく上のレベルの選手にも通用するということが分かったので、それを生かせるようなプレーをしていきたいです」