(女子)住吉総合10位、江川11位 SPから追い上げを見せる/全日本選手権

 全日本選手権(以下、全日本)は24日、女子FS(フリースケーティング)が行われた。22日のSP(ショートプログラム)で17位につけた住吉りをん(商2=駒場学園)は追い上げ総合10位、13位につけた江川マリア(政経2=香椎)が総合11位に入った。

 

122124 全日本選手権(ビッグハット)

 

 『Enchantress』の曲調に合わせ、試練や困難を乗り越え羽ばたいていくストーリーを表現した住吉。冒頭のコンビネーションジャンプは落ち着いて着氷させGOE1.32を引き出し、迎えたのは大技・4回転トーループ。「転倒した瞬間はあまり練習でもない転び方だったので少し焦りもあった。それでも失敗するということに関しては何も不思議じゃなかったし、それ以降立て直すという練習は積み重ねてきていた」。成功させたGPシリーズフランス大会の再現とはならなかったが、その言葉通り魅せる気持ちは切らさなかった。中盤以降は徐々に盛り上がる曲に乗せ、修正力を見せていく。ステップシークエンス、二つのスピンでレベル4を獲得し、加点を重ねた。さらに演技終盤の3連続ジャンプでは予定構成から変更し、ダブルアクセルを組み込んで見事に着氷。「SPで気持ちがものすごく落ち込んだところから、ここまで滑り切れるところまで自分を奮い立たせることができた。そこは自分を褒めてあげたい」と、総合順位は10位。悔しさを交えながらも自身のスケートを精いっぱい表現してみせた。

(写真:演技後、笑顔を見せた江川) 「きれいな曲だけじゃなくて壮大な曲を自分で表現できるようになりたい」。その思いをシルク・ドゥ・ソレイユの『O』に乗せ、ダイナミックなスケーティングで会心の演技を見せた。プログラムの入りは今シーズンここまでやや安定感を欠いていた3回転ルッツを着氷させ、そこからさらに勢いを増していく。力強いスピンを決めた後には、ラテン風の雰囲気に身を任せた振り付けで会場を包み込む。演技後半もコンビネーションジャンプをはじめ、着々とジャンプを成功させた。中でも「終盤乱れてしまう」と、課題であったステップシークエンスでは見事レベル4を獲得。「この今日のフリーではトータルでいい演技ができたので、やっと自分がしたいことが少し出せたかなと思う」と振り返るように、終始笑顔を絶やさない演技が光った。壮大なプログラムを両手を振り下ろすガッツポーズで締めくくると、総合順位は11位に。目標の12位以内を達成した江川は、全日本をにこやかな表情で飾った。

 

 2選手ともSPから順位を上げる演技を見せ、今シーズンの集大成となる大会を終えた。会場では多くの声援が選手の背中を押し、選手はその期待に応えるような思い切ったスケートを見せた。今大会からステップアップし、国内外でのさらなる活躍に期待したい。

 

[橋本太陽]

 

試合後の囲み取材より

住吉

――どのような思いで挑みましたか。

 「昨日は公式練習で、直前で怖くなってしまって、氷に乗ることができないくらいになっていたのですが、コーチからもみんなからも本当にやるしかない、できることをやるしかないということを言ってもらって、ただ目の前にあることを一つ一つやっていくという気持ちに切り替えることができました」

 

――大きな大会に出て環境が変わる中で、プレッシャーもあったと思いますが、全日本に向かう気持ちはどうでしたか。

 「ファイナル(GPファイナル)にも出させていただいたし、そういう強い自分でありたいということを周りからというより、自分に対してかけてしまう、自分に対して期待してしまうという部分がすごくあって、それにSPは押しつぶされてしまって、今日ももちろん完璧にやることができなかったということで、自分の弱さを再確認できたかなと思います」

 

――うれしいこともつらいこともあった2023年だと思いますが、2024年はいかがですか。

 「昨年より強くなれた1年だと思いますが、その強くなった自分を過信していた自分がいるということに今回の試合で気が付いたので、自分に期待し過ぎてしまっていたなっていうように感じていて。まだまだ弱い部分があるというのをしっかり認めて、来年はその弱い部分を一つずつ克服していくような1年にして、それで最後はこの全日本という舞台で笑顔で終わりたいなと思います」

 

江川

――演技後には豪快なガッツポーズが出ましたが、自分で点数を付けるとしたら何点ですか。

 「ガッツポーズに点数ですか? あ、全日本ですか(笑)(全日本ですね)85点で。やはりSPが少し自分の中で力を出し切れなかったのと、まだまだ細かいミスがあるので、その点数です」

 

――残りの15点はどのようにして埋めていきたいですか。

 「15点は、まずはこの演技を自信に変えて、本当にジャンプのクオリティもまだまだ出せると思っていますし、まだ自分の中で粗が目立つなとは思っているので、そういう部分を洗練していけたらと思っています」

 

――ガッツポーズの点数を付けるなら何点ですか。

 「でももう少しかわいくガッツポーズしても良かったかなと思います(笑)」

 

――最後のジャンプを跳び終わってから、良い表情で演技をされていたと思いますが、どのような気持ちで滑り切りましたか。

 「ジャンプを全て着氷したら、あとはステップで、曲調的にもすごく盛り上がる曲ですし、自分の気持ちも盛り上げて、出し切るようなステップをしたいと思っていたので、それをやる番だと思ってステップを踏んでいました」