(2)4年生引退インタビュー 副将・安藤彩葵

2023.12.24

 6人と少数精鋭ながらもチームを引っ張り続け、今年度のチームスローガン『一丸』の体現に大きく貢献してきた4年生。引退から1カ月がたち、ヨット部での活動を振り返り、改めて何を思うのか。本インタビューでは、今年度のヨット部4年生部員全員の声をお届けする。 

 

第2回は安藤彩葵(商4=塩釜)のインタビューをお届けします。

 

(この取材は12月8日に行われたものです)

 

――引退して1カ月経ちますが、今の率直な気持ちはいかがですか。

 「いよいよ引退の実感が湧いてきたぐらいです。(今まで)正直実感が湧いてなくて、長期オフに入ったような気持ちでいました。でも後輩の活動報告とかブログとかを見て、私がいない中でも下級生たちで部活が回っているっていうのを見て、実感してきているような状況です」

 

――ヨットはどのようなきっかけで始めましたか。

 「きっかけは、高校から何か新しいスポーツをやりたくて、高校の部活動に(ヨット部が)あったんですけど、元々海が好きだったということです。(ヨットは)みんな大体スタートラインが一緒で、高校から始める人が多い競技がいいなって思っている中でヨット部を見つけたので、楽しそうと思って入りました」

 

――高校のヨット部の活動はいかがでしたか。

 「高校はやはり顧問の先生を主体にして動くので、今考えたら厳しさは(大学よりも)高校の方があるんですけど、でもその分先生がいろいろやってくれるので、大学生になってありがたかったなっていうのをより実感しています」

 

――明大に進学することになったきっかけを教えてください。

 「(高校の)顧問の先生からお話をいただいて、私の選択肢の中に浮かんだんですけど、明大ヨット部は結構一般生を主体としていて、スポーツ推薦だけの構成ではないっていうところにすごい魅力を感じていました。他大学の強豪校は結構スポーツ推薦が主力になるんですけど、明治は一般生も活躍していて、文武両道をちゃんと意識しているというのを吉田優監督から伺っていて、すてきだなと思って入部しました」

 

――ご出身は宮城県ですが、東京に出てきて苦労したことはありましたか。

 「コロナっていうのもあって、外にも出られないし授業も行けないので寂しさはあったんですけど、でもその分部活に入っていたので困りごとも部活の人たちがいてくれたおかげで解決はできました」

 

――1年生の頃は新型コロナウイルスが流行し始めた時期でしたが、活動に支障はありましたか。

 「入学する前の3月から一応部活には参加していたんですけど、すぐにコロナの影響で(休止になって)、入学しての6月ぐらいまではずっと宮城にいて、部活も活動できなかったので、オンライン上でのミーティングだけでした。7月以降は監督のおかげで活動を再開することができたので、そこからたまにコロナがはやり出したら人数を少なくして活動することはあったんですけど、基本的には活動はできました」

 

――明大のヨット部に入部してみて、入部前とのギャップはありましたか。

 「学生主体っていうのは最初から分かっていたんですけど、会計の部分など何もかも学生でやるっていうのはびっくりしましたね。運営って言っても、部活の方針だったり練習メニューだったりっていうのまでは想像ついたんですけど、お金のやりくりだったりっていうのは、想像していなかったのですごいなって思いました」

 

――入部してからの目標などあれば教えてください。

 「1年生の頃は勝ちたいっていうのは大前提にあったんですけど、それよりももう練習についていくのに必死でした。特に1年生の時は元々ポジションが違って、470級のクルーをしていたのでレースに出るっていうことと女子インカレで優勝を目指して先輩と一緒に乗っていました」

 

――下級生の頃、目標としていた先輩はいましたか。

 「1個上の今村紗栄先輩(令5商卒)は目標にしていました。今でも仲良くしてくださっていて、すごく小柄でポワポワしていて何を考えているか分からない先輩なんですけど、ヨットに乗ったらもう切り替えがすごくて、自分の意志を持っていて男の選手にも負けないぐらいの負けん気で、そういうところを尊敬しています」

 

――4年間で大きな挫折はありましたか。

 「挫折はいっぱいありました。私はポジション変更をしたんですけど、元々470級クルーで、そこから470級スキッパーになりました。1年生の11月、4年生が引退してすぐくらいからスキッパーをやったんですけど、本当にできなくて。スポーツ推薦として入ったので、なんとか戦力になりたいと思うんですけど、思ったようにはいかなかったです。スキッパーを始めて最初はすごいチームにも迷惑かけたし、どうやって付いていこうっていうのばかり考えたので、つらい時期ではありました」

 

――4年間で一番印象に残っているレースはありますか。

 「印象に残っているレースは紗栄先輩と一緒に出た全日本女子インカレです。それでは唯一、あの全国という舞台でトップ4を取れたので、すごく思い出に残っています」

 

――つらいこともある中で、どのようなことをモチベーションにしていましたか。

 「モチベーションはいっぱいあるんですけど、私は部活も全部楽しみたいって思うので、 小さいことをモチベーションにしていました。また、高校の時の顧問の先生にずっと連絡取らせていただいたりもしたし、それこそ家族にも東京まで出させてもらって好きなことやらせてもらっているっていうのだったり、身近な先輩とか監督とかもですし、今の自分があるのもそういう周りの人たちのおかげなので、そういう周りの人たちのために 自分も頑張りたいっていう思いが強かったです」

 

――練習や大会の前に何か息抜きなどはしていますか。

 「息抜きは、人と話すことです。私は結構緊張しても、人と話してなるべく緊張ををほぐすっていうのはしていました」

 

――チーム内で競争意識はありましたか。

 「特に私は3番艇と4番艇争いのポジションにいたので、4年生になって最初のレースに出られなかったんですけど、練習の中でもやはり常に全艇ライバル視は持ってやっていました」

 

――3年生までの結果についてはいかがですか。

 「はっきり言えば全然納得できるような結果は残せてはないんですけど、やはり3年生まではずっと先輩と乗っていて、先輩に依存しすぎたなっていう部分があるので、そこは今思えばもっと自分の意思を持っていればよかったなと思います」

 

――今年度、最上級生になってからの1年間を振り返っていかがでしたか。

 「最後の1年間は、最上級生としてって堂々と言えるようなものではないんですけど、後輩と乗って自分が主導でヨット乗るっていうのが、4年になってようやくっていうこともあったので、最初はちょっと大変だったんですけど、やっぱ改めてヨット楽しいなって思った1年でもありますね。そうやって自分の考えで前を走った時は、めちゃくちゃ楽しいなって思いました」

 

――最上級生として意識していたことはありますか。

 「なるべく弱音を吐かないことですね。やはり4年生がマイナス意見を言ってしまうと、 そういう雰囲気の部活になってしまうので、4年生になってからは何事もとにかく楽しむっていうのを心掛けていました」

 

――今年度は4年生が6人と少なかったですが、同期内でコミュニケーションは取っていましたか。

 「そうですね。人数が少ない分めちゃくちゃコミュニケーションを取っていて、毎合宿で同期ミーティングがあって、時にはけんかしたり言い合ったりしていました。人数が少ないので距離も近くなって、6人で意見はめちゃくちゃ言い合えるような関係でしたね」

 

――同期はどのような存在ですか。

 「もう本当に同期はこのメンバーでよかったって私は本当に思っていて。休日も一緒にいたりとか、プライベートでも部活でも本当に相談に乗ってくれたりとか、間違ったら間違っているということを教えてくれたりとか、自分の存在を肯定してくれるというか。大切な存在です」

 

――今年度のレース結果はいかがでしたか。

 「思ったようにできないレースがすごく多くて、うまくいっているなって思うレースも途中でノーレースになってしまったりとか、インカレで言えば大事な場面で沈(注:艇が沈んでしまうこと)してしまったりとか、そういうことがあったので本当に詰めが甘いような1年間でしたね。例えば、全日本個人選手権の予選、関東学生個人選手権も自分的には軽風の雰囲気ですごく調子良かったんですけど、最終日の(風が)吹いてきたあたりでちょっと崩してしまってギリギリ行けなかったり。そういう自分の甘さが出た1年間でした」

 

――後輩はどのような存在ですか。

 「私は後輩にも支えてもらっていたので、どちらかっていうと4年生として引っ張らないといけないんですけど、自分が引っ張っているつもりでもよくよく考えたら後輩がいてくれるからこそ、今の自分の活動ができていると思う瞬間が結構多かったので、本当に後輩がいての私だなと思うような1年間でした」

 

――明大に入って一番成長できたと思うのはどのような点ですか。

 「自分の意見を言うっていうことですかね。高校と違って決定権が全員にあるから、吉田監督は基本的にあまり口出さないんですよ。それは違うだろうっていうこと以外は口出さないので。決定権が部員全員にあるので、そこでいかに自分が主張していくかっていうのがすごく重要であるなって思いました。特に学年が上がるごとにそれは強く思っていたので、なるべく自分の意見は言って納得いく結果(を求めて)、言わないで終わるよりも言って議論したいなって思うようになりました」

 

――明大ヨット部の良さ、魅力はどのような点ですか。

 「スポーツ推薦だけが引っ張っていくというよりも、それこそ私の代の主将も一般生ですし、そういうこと関係なくみんなで協力して強いチームを作ろうとしていくという集団がいいなと思います。あとみんな基本的に明るいので。ミーティング終わってみんなでご飯食べる時とか、すごく賑やかになったりする時間とか、私は好きでした」

 

――引退してから今の後輩たちを見ていていかがですか。

 「私は結構引退してから後輩たち数人とご飯に行ったりとかして話とか結構聞くんですけど、今の3年生の話聞いたりとか2年生の話聞いたりとか、いろいろな立場の意見を聞きました。やはり最初は組織の始まりなので正解が分からない状態で大変そうなんですけど、これからまだまだ時間はあるので、ゆっくり自分たちなりの正解を見つけて頑張ってほしいなと思います」

 

――ありがとうございました。

 

[佐野悠太]

 

◆安藤 彩葵(あんどう・あき)商4、塩釜高。160センチ