
(女子)SP江川13位、住吉17位 FS進出決めるも悔しさ残る演技に/全日本選手権
年に一度の大一番である全日本選手権(以下、全日本)。大会2日目は女子SP(ショートプログラム)が行われ、明大から3人が出場した。江川マリア(政経2=香椎)が13位、住吉りをん(商2=駒場学園)が17位につけFS(フリースケーティング)進出を決め、骨盤の負傷がありながら試合に臨んだ本田真凜(政経4=青森山田)は28位でSPを終えた。
◆12・21~24 全日本選手権(ビッグハット)
全日本初出場となった昨年の悔しさを胸に、この全日本の舞台でリベンジを果たすため1年間努力を重ねてきた江川。淡い水色を基調とした衣装をひらひらとなびかせ、氷の上をよどみなく流れるように『River Flows in You』を舞った。全日本特有の緊張感の中、冒頭の3回転ルッツ、その後のダブルアクセルも着氷が乱れてしまう。「気持ちが揺れて弱い部分が出てしまった」。それでも終盤の3回転トーループの連続ジャンプはしっかりと降りることに成功した。昨年から成長した点に「ジャンプ以外の滑りの部分などを丁寧に、繊細さを出すことを意識した」ことを挙げ、その言葉通りスピン全てでレベル4を獲得。しかし直前の公式練習までで調子を最高潮に上げていただけに、演技終了直後は悔しげな表情を見せた。
(写真:インド舞踊をモチーフにした振り付けを踊る住吉)
真紅の布地にきらびやかなビジューが散りばめられた衣装を身にまとい、さっそうとリンクに上がった住吉。今シーズン、GPファイナルなど世界の大舞台での経験を積んで臨んだ全日本は悔しいスタートになった。1本目に予定していたダブルアクセルの回転が抜け、その後の連続ジャンプも崩れてしまう。「自覚して気を付けていた自分の心の弱さが、大舞台になった時にまた出てしまった」。それでも、緩急のある滑りやレベル4の評価を受けた美しいスピンで魅せ『Blood in the Water』のオリエンタルな世界へと引き込んだ。FSに向け「やってしまったことはしょうがないので、しっかり切り替えて力強い気持ちで滑り切れるように頑張りたい」と答えるその表情に笑顔はなく、厳しい表情を崩すことはなかった。
(写真:演技を終え感極まる本田)
本田にとって今年で9回目の出場となった全日本。予選から勝ち抜き自らの力で手にしたその舞台への思いは、大学ラストイヤーである今年は一層強かった。練習中に負った右骨盤の故障を公言していた中で「どんな内容でも最後まで心を込めて自分らしく滑る」ことを掲げ試合に臨んだ。コンディションを踏まえジャンプを2回転に変更することも考えたが「後悔しないように競技者として戦うことを選んだ」。回転不足を取られるなどしたものの、3回転ジャンプに果敢に挑んだ。一つ一つの所作を丁寧に、情感を込めて踊り、自身のスケート人生への思いを込めたプログラムである『Faded』を滑り切った。演技後は両手で顔を覆い涙を浮かべていたが、その表情はどこか晴れやかだった。
出場する選手たちそれぞれが異なる思いを持って挑む全日本。最も注目度が高く、国際大会への派遣も関わる大切な試合であると同時に、今シーズンの集大成としての一面もある。今年最後にベストな演技をして、笑顔で終えられることを期待したい。勝負のFSは24日に行われる。
[増田杏]
試合後の囲み取材より
江川
――今年も緊張しましたか。
「やはり緊張はしました。そのすごく緊張した中でどれだけ自分のベストを出すかというのがやはり大事だなとは思うので、切り替えて頑張りたいなと思います」
――中庭先生から送り出される時、何か言葉はありましたか。
「もう本当に、健介先生にはずっと『大丈夫』みたいな、そういう『大丈夫だから』って言葉を掛けてもらって。気持ちとしては本当にそれを自分に言い聞かせてという感じで滑りました」
――FSに向けての意気込みをお願いします。
「いつも応援してくださっている方々にもいい演技を届けたいなと思っているので、フリーは自分のいつも通りというか、ベストな演技ができるように頑張るので、応援よろしくお願いします」
住吉
――SPを振り返っていかがでしたか。
「この1年間頑張ってきたことが、しっかりこの試合に向けてきたんですけど、本番で自分の弱さが出てしまってそれが出せなかったのですごく悔しいです」
――ジャンプがかみ合わなかった原因は何だと思いますか。
「ジャンプ含めステップでつまずいたりもあって、全体を通して6分間練習はすごく良かったんですけど、いい感じの心の落ち着きを本番直前で失ってしまったので、それが演技全体に出てしまったように感じます」
――GPファイナルという大舞台を経て臨んだ全日本では、気持ちや空気感の違いをどのように感じていますか。
「去年よりも全然怖がったりすることなく臨むことができたし、ファイナルまで行って場数を踏めたことが大きいと思います。ファイナルという舞台の経験を積んだことはすごく大きいと思うんですけど、それを今日は発揮できなかったので、FSではその経験をしっかり出せるような演技ができたらなと思います」
本田
――演技の振り返りをお願いします。
「長いスケート人生の中でも一番悪いコンディションだったのですが、応援してくださったたくさんの方々に向けて最後まで心を込めて滑ることができたと思います」
――演技を終えて率直な気持ちを教えてください。
「今日はここをこうしていたらという気持ちが今の段階では本当になくて、スッキリとした気持ちです。ここまで頑張れた自分に言いたいこともないですし、悔いというのも何一つないので、ここまでたくさんたくさん頑張ってきましたし、少し自分を褒めてあげたいなと思います」
――ご自身のスケート人生への思いを込めた『Faded』を滑りながら思い返したことはありますか。
「本当にたくさんの方が途中でも声を掛けてくださったりとか、全部が聞こえてきて、9年目の全日本なんですけど、毎年特別な気持ちというのもありますし、何回滑ってもここをみんなが目指す気持ちも分かります。自分もその一人なので、最初にジュニア上がりで全日本に出られる年齢になった時から、大学4年生の今まで、一度も落ちることなくここで演技ができたということは自分の頑張ってきた成果だと思いますし、誇らしいです」
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