内閣総理大臣杯 清水が銀、菊地が銅と健闘/全日本大学選手権

2023.12.22

 様々な大会の上位入賞者のみに出場権が与えられる全日本大学選手権が大阪の地で開催された。大学レスリング界屈指の強者が集まるハイレベルな戦いに明大からは8人が出場。79キロ級の清水大輔(営3=鹿島学園)が準優勝、97キロ級の菊地一瑳(政経1=埼玉栄)が3位入賞と健闘を果たした。

 

◆11・18~19 全日本大学選手権(堺市金岡公園体育館)

▼57キロ級

 塚田――1回戦敗退

▼65キロ級

 曽野――1回戦敗退

▼74キロ級

 加藤――敗者復活戦1回戦敗退

▼79キロ級

 清水――2位

▼86キロ級

 岩井――1回戦敗退

▼92キロ級

 槇井――準々決勝敗退

▼97キロ級

 菊地――3位

▼97キロ級

 大浦――敗者復活戦2回戦敗退

 

 昨年度のリベンジを果たし、銀メダルをつかみ取った。79キロ級に出場した清水は初戦、試合開始10秒で4点技を決めると、グラウンド状態の相手にローリングで点数を重ねる。わずか30秒でテクニカルスペリオリティ勝ちを収め、次戦への切符をつかんだ。迎えた準々決勝、前半は一進一退の攻防を繰り広げる。清水のパッシブで相手に先制を許し、続く後半戦。開始45秒で左足を取られ、体勢を崩してしまう。そのままバックに回られ、ローリングで連続得点されるも、相手のスキを突き2点技に成功。ピンチをチャンスに変えてみせた。しかし、試合時間残り25秒の時点でポイントは2―5と試合展開はかなりの劣勢。そのまま敗北を喫すると思われたその瞬間、相手を場外に出し1点を追加すると、終了ブザーの鳴るわずか5秒前にタックルを仕掛け、逆転勝利。「(相手に先制されていたことが)いいプレッシャーになり、練習してきたタックルでしっかり逆転できたのでよかった」。見事決勝進出を果たした。

 2日目に行われた決勝戦の相手は高校時代にU-20世界選手権準優勝を成し遂げた強敵・神谷(日体大)。「相手の組手に付き合いすぎると体力がもたないことはわかっていたので、相手のタックルとか、上下の崩しに反応しすぎないようにと考えていた」。格上相手に攻撃を防ぐための作戦を練るも「やろうと思ったことができず、何もできずに終わってしまった」。後半開始30秒でテクニカルスペリオリティ負けを喫し、準優勝に終わった。実は昨年度の同大会で5位だった清水。「(準々決勝、準決勝では)チャンスをモノにできて勝ち切れたことが前回よりも成長できた部分だと思う」。昨年度から躍進を遂げ、銀メダル獲得に満足げな表情で今大会を終えた。

 

 一方、敗者復活戦へと進んだ菊地。敗者復活戦2回戦で戦ったのは植木(東洋大)だ。「高3のときに3連敗してて、絶対勝ちたいと思ってた」。そのリベンジを大学で見事に果たした。試合は膠着(こうちゃく)した展開から始まる。1点を先制すると、その後もローリングで2得点し、3―0と完勝。「同級生に勝てて3位になれたのは良かった。2位と3位の差は大きいんで、そこをもっと埋めたい」と謙虚にも3位という結果に満足せず、次戦での活躍を誓った。

(写真:敗者復活戦に勝利した菊地)

 

 「2日目に絶対残るって確信してたんで、その意識作りがあった」。初日の相手が決勝に進んだため、敗者復活戦へ挑むことになった大浦響(営2=山形市立商)。敗者復活戦1回戦の相手は立岡(天理大)。「緊張して体が動かなかった」ものの4―0で勝利し、2回戦へと駒を進めた。相手は全日本選手権で準優勝の実力を持つ藤田(日大)。序盤から相手のペースで試合が進むと、立て続けに背後を取られ、圧倒されてしまう。格上相手に2分30秒でテクニカルスペリオリティ負けを喫した。「来年のリーグ戦の時はレギュラー取って、主力メンバーとして勝てるように頑張りたい」と来年度に向けて決意を新たにした。

(写真:果敢にチャンスをうかがう大浦)

 

 2名の選手が表彰台入りを果たし、選手たちの活躍が光った今大会。しかし、団体としては入賞することができず、7位という昨年度の成績には届かなかった。「(今大会で)学生も勝ちにつなげるためには今までの練習だけではだめだということが理解できたと思うので、チーム全体としての底上げをしていきたい」(森陽保監督)。来月に行われる天皇杯全日本選手権(以下、天皇杯)に向け、選手たちはさらなる鍛錬に励む。

 

[石田聖、井手満菜]

 

試合後のコメント

森監督

――清水選手の今大会の活躍を振り返っていかがですか。

 「決勝については自分のレスリングができていなかったのですが、初戦だったり2回戦目は、清水のいいタックルが出せたり、飛行機投げが出るなど、普段から練習している技を出せたことはすごく良かったと思っています。大学2年の時にJOC杯(JOCジュニアオリンピックカップ)で優勝して、そこから芳しい成績は出せてなかったんですけど、今回決勝の舞台に立てたことは、評価できると思います。また、今回の結果で12月の天皇杯の切符も手に入れることができたので、1つのさらなる励みになるのではないかなと思います。これから残された天皇杯までの期間、今回の悪かったところも含めて、練習に活かしてほしいなと思います」

 

――大浦選手の今大会の活躍を振り返っていかがですか。

 「二ノ宮コーチや重量級の選手と練習している中で、少しずつ大浦のいいところが出てきていると感じていたため、今回の試合については、少しやってくれるんじゃないかなと思っていました。積極的な気持ちを持って前に出たことが、ポイントにつながって勝つことができたのではないかなと思っています」

 

――菊地選手の今大会の活躍を振り返っていかがですか。

 「二ノ宮コーチを中心として重量級の選手と練習していて、良い形で切磋琢磨(せっさたくま)できています。それが今回の試合に現れたのではないかなと思っています。また、高校の時からの事実上のライバルで、インカレ(全日本学生選手権)で上位にも入っている対戦相手に対し、菊地の良さを出すことができ、一泡吹かせてくれたのは良かったと思います」

 

清水

――今大会で見つかった課題や、今後強化していきたい点を教えてください。

 「自分から攻撃するのが後半になってしまったりと遅かったので、先制点を狙っていけるように練習していきたいと思います」

 

――天皇杯に向けて意気込みをお願いします。

 「格上、強い人がたくさん出てくると思うんですけど、練習してきたことをしっかり出して自分のためになる試合にしたいです」

 

大浦

――今大会で得られた収穫や課題を教えてください。

 「良かったのは2日目の1試合目で、後半右出しからの展開でポイント取れたことです。収穫は、差しからの展開を練習ではやっていたんですけど、どうしても強い選手が相手だと差すことがまず難しいことを今回の大会で感じました。差しにいくまでの、組手の展開を考えたいと思います」

 

菊地

――3位決定戦を振り返っていかがですか。

 「試合中は(相手の)プレースタイルが似ているので、常にプレッシャーを与えて相手がバランスを崩したところに攻め込んだりすることを意識してやっていました。高校時代に3勝3敗していた相手で、どっちが次勝つか、みたいなところもあったので、絶対勝ちたいと思っていました。勝てたのですごく嬉しいです」