
(男子)全日本開幕 SP佐藤5位、大島20位発進/全日本選手権
21日、長野市ビッグハットにて全日本選手権が開幕した。初日は男子SP(ショートプログラム)が行われ、明大から大島光翔(政経3=立教新座)、佐藤駿(政経2=埼玉栄)が出場した。佐藤は89.80点で5位、大島は66.89点で20位でスタートを切った。FS(フリースケーティング)は23日に行われる。
◆12・21~24 全日本選手権(ビッグハット)
曲がかかると力のこもったまなざしでSP『Libertango』を滑り始めた佐藤。4回転トーループと3回転トーループの連続ジャンプ、4回転フリップ、トリプルアクセルの3本を予定構成通りに着氷させた。表現でも魅せ、最後のスピンを回り始めたところで観客からの拍手が沸き起こった。小さく拳を握り締めリンクを後にした。だが、89.80点の得点に佐藤の表情は明るくはなかった。演技後には「自分の中では良かったと思ったのですが、エラーを取られてしまって駄目だったのかな」と、4回転フリップでエラーを取られたことを口にし、静かに悔しさをにじませた。「やるべきことはやったので、あれ以上のフリップはないと思っているので、悔しさもあるんですけど、次につながるいいSPだったなと思っています」。今回の演技で得たものを次につなげる意欲を見せた。
(写真:今までとは違ったキャラクターも付いた衣装で臨む大島)
ダークな黒を基調とした衣装を身にまとった大島のSPは『The Super Mario Bros. Movie』。冒頭のトリプルアクセルは着氷を決め1.49のGOEを引き出す。続く3回転ルッツと3回転トーループの連続ジャンプは、トーループの着氷が乱れた。生き生きとした表情で演技が進むものの、後半の3回転フリップで着氷後に惜しくも乱れが出た。それでも魅せる心は貫かれる。自身の目の前にあったカメラにばっちりと目線を合わせ、耳なじみのあるスーパーマリオの楽曲に乗りながら存分に踊る。衣裳からは今までに付いていなかったファイアフラワーも顔を出し、目の離せない演技となった。キスアンドクライでも表情豊かに衣装を披露しながら、最後まで観客を楽しませた。演技を踏まえ「自分の今までの練習してきたことが出せなかったので、この悔しさと1年間このために頑張ってきた自分を信じて4分間頑張りたいと思います」とFSへの意気込みを話した。
決戦のFSは23日に行われる。佐藤は武器の4回転ルッツをはじめ、今シーズン磨きをかけてきた表現面にも注目が集まる。大島は「緊張を楽しむ」(大島)ことを心に留めながら力を出し切れるようにFSに挑んでいく。それぞれが個性を生かし、観客を引き込む姿に期待が寄せられる。
[守屋沙弥香]
試合後の囲み取材より
佐藤
――全体の流れや感覚としては
「そうですね、昨シーズンがあまり良くなかったのもありますが、今シーズンのSPはすごく良い形できているので、次はいつになるか分からないですが、SPを良い内容でできるように、楽しんでみたいと思っています」
――フリップでエラーが付いたことについて
「アテンション、毎回ついていたので、まさかここまでエラーがなくて、この全日本でいきなりエラーを取られたのも正直びっくりしています。エラーか……って。納得しているかと言ったら嘘にはなるのですが、結果は結果なので、自分でもフリップは課題だなと感じていたので、今大会でそれがはっきりしたというか、フリップが惜しいかなというのは分かりましたし、逆にこれをきっかけに、SPの構成とかもルッツに構成を上げたりとかループをやったりとか、今後できてくると思うので、プラスに捉えて頑張っていこうと思います」
大島
――今日の演技は何を一番大事にして臨みましたか。
「緊張を楽しむという思いで、本当に試合直前に昌磨君(宇野・トヨタ自動車)とお話しをして、話をしてくださって『緊張するんですけど、自分どうしたらいいですか』って。そうしたら、良くも悪くも緊張できれば、この現役中この独特の緊張を味わえるのは今だけの貴重な経験だと言ってくれて。そこで思いが吹っ切れて、一瞬一瞬を楽しもうと思いました」
――試合の前に宇野さんとその会話をされたのですか。
「そうですね、本当に直前のウォーミングアップの時だったのですが、本当にラフに話してくださって、本当に感謝しています」
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