
江川がSPから巻き返し総合優勝 男子は菊地が優勝/都民体育大会
都民体育大会は2日目を迎え、男女ともにFS(フリースケーティング)の試合が行われた。明大からはSP(ショートプログラム)1位の菊地竜生(政経1=目黒日大)、2位の松井努夢(政経4=関西)、女子はSP3位の江川マリア(政経2=香椎)と5位の堀見華那(商3=愛知みずほ大瑞穂)が出場した。
◆12・2〜3、10 都民体育大会(ダイドードリンコアイスアリーナ)
江川は前日のSPでは本領を発揮できず3位からのスタートとなった。「SPの失敗は、メンタル的な問題が大きくて技術的なこと自体は問題なかったので、切り替えて自信をもって臨んだ」と気持ちを新たにFSの舞台へ。「マリアちゃんがんば!」という客席からの大きな声援と拍手を受け、にこやかに滑り出した。しなやかな上半身の動きと安定したスケーティングで観客を江川の『O』の世界観に引き込む。「落ち着いて跳ぶことができた」と冒頭の3回転ルッツを成功させ、続く五つのジャンプを見事着氷。跳び上がってから着氷するまでの飛距離が長く、ブレのないジャンプでその実力を示した。最後のサルコーは「最後のジャンプだと思って力が入り過ぎてしまった」と惜しくも転倒。それでもSPからの追い上げを見せ1位に輝いた。
本人は「順位以上に、SPとFSを合わせることができなかったのが一番悔しい」と振り返る。江川にとって今大会は全日本選手権(以下、全日本)へのステップとしての役割もあった。今回の大きな収穫を糧に、いよいよ大本命の試合へ挑む。
(写真:笑顔で踊った堀見)
FSは鮮やかな青とスカートのフレア部分に黄色を取り入れた爽やかな衣装の堀見。黒く大人っぽい衣装のSPとはまた違った魅力で『ラ・ラ・ランド』を踊る。プログラム構成の難易度を上げ臨んだ今回は「とにかく逃げないで攻めようという気持ち」で挑んだ。試合前に入念にジャンプの動きを確認し、気持ちを整える。6分間練習でも何度もジャンプを跳び感覚をつかむ姿が見られた。冒頭の3回転ルッツでは転倒してしまったが「最初のルッツやループは、しっかり締めることができた」。跳ぶジャンプの種類が増えたことで見応えのあるプログラムとなった。そして堀見の一番の魅力である演技中の笑顔は今回もきらきらと輝いた。「体力が最後までもたなかった」と振り返ったが『Someone in the crowd』の盛り上がりに合わせたフィナーレでは観客の手拍子も誘い、華やかにステップを踏んだ。
(写真:力強い演技をした菊地)
「前日のSPでの失敗をFSでは成功させたい」。菊地は強い意志を持って最終滑走に登場した。6分間練習では何度もジャンプを確認していたが、本番では冒頭の4回転サルコーから失敗。ジャンプでのミスを連発し「ミスを引きずって良くない演技をした」と悔しさを見せた。
勇ましいリズムを刻む音楽に乗せ、大きなジャンプとスピードあるスケーティングで迫力満点の滑りを見せる。そして曲調が変わる中盤では静かなメロディーに合わせる演じ分けによって、強弱のある滑りとなった。シニア仕様のこのプログラムは、菊地の鋭い表情と力強いジャンプをより引き立てる。シニアの枠での経験を積み、深みのある演技を見せる姿に一層期待がかかる。
(写真:深いスケーティングを見せた松井)
「出番を待っている間も深呼吸をたくさんしていた」と緊張感を見せた松井。「絶対にジャンプのパンクだけはしたくない」と語っていたが、冒頭のトーループから失敗。続く3回転サルコーと2回転トーループの連続ジャンプは成功させた。ジャンプでの惜しい失敗はいくつかあったが『ファンタスティック・ビースト』の世界観は最後まで演じ切り、試合後は「やってしまった」と少しの悔しさの中にも明るく前向きな表情を見せた。
そして、試合後にファンの方から花束をもらったという。「僕が中学や高校生くらいの時から見てくださっていて、最後の試合にも来てくださっていたのが感慨深くてすごくうれしかった」。ずっと続けてきたスケートの大会は、ファンや両親、コーチが見守る中、総合3位で表彰台に立って別れを告げた。
各選手がそれぞれの目標に向かって努力を重ねている。結果や順位にとらわれず、技術や反省点を生かし今後のさらなる成長に期待がかかる。
[新村百華]
試合後のコメント
江川
――FSの内容はいかがでしたか。
「前半はよく動いていたのですが、だからこそ後半の動きのもたつきが目立ってしまうので、もっと後半を強化しないといけないなと思いました」
――全日本への意気込みや目標を教えてください。
「全日本ではSPもFSもしっかりそろえて、昨年のリベンジをしたいです」
堀見
――演技を振り返ってみての感想を教えてください。
「体力が最後までもたなかったなという印象です。やはり、難度も上げたし転んでしまったのでそこが体力を奪われてしまった原因だと思います。でも、新しい事に挑戦したことで課題も見つかったので、いい試合でした」
――総合5位という結果はどのように受け止めていますか。
「結果については、実力通りというかもう少しジャンプが決まれば上にいけたなという感じです。もっと上位を目指して、ジャンプをしっかり成功させられるように頑張りたいと思いました」
菊地
――シニア仕様のプログラムでしたが、表現面などで意識したことなどがあれば教えてください。
「東インカレ(東日本学生選手権)で初披露でしたが曲が途中で止まってしまったので実質今回が初披露でした。身体の上下の動きを意識していました」
――次戦に向けての目標を教えてください。
「インカレ(日本学生氷上競技選手権)に向け気持ちを切り替えてベストな演技をできるよう頑張ります」
松井
――演技を振り返ってみていかがでしたか。
「ジャンプが全て入らなかったのは惜しいところではありますが、コレオシークエンスも滑れたし、最後も体力は残っていたから最後のステップも動けたのでそれは良かったかなと思います」
――最後の大会への特別な思いはありましたか。
「試合後にファンの方が花束をくださったのですが、それが本当にうれしかったです。そこで少し終わりという実感が湧きました。僕が中学や高校生くらいの時から見てくださっていて、最後の試合にも来てくださっていたのが感慨深くてすごくうれしかったです。それをいただいた時は少し泣きそうになりました」
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