
大島と内藤がワンツーフィニッシュ 快挙達成も悔しさ残る結果に/全日本学生選手権
ボードセーリング学生日本一を決める全日本学生選手権(以下、インカレ)が開幕した。明大は昨年度のインカレ王者・内藤紳之介(法4=アサンプション国際)を筆頭に男女合計12人の選手が出場。最終日は悪条件のためノーレースになるなど、沖縄の自然に翻弄(ほんろう)されるも大島春哉(商4=佐倉)が優勝、内藤が準優勝。レディースでも戸田千晴(文3=駒場)が4位入賞と快挙を成し遂げた。
◆11・15~17 全日本学生選手権(沖縄県国郡字奥間海岸沖)
▼メンズクラス
大島――1位
内藤――2位
蓮田――11位
森――13位
長田――14位
神田――21位
遠藤――35位
伊藤――50位
阿部――57位
▼レディースクラス
戸田――4位
岡――8位
坂井――40位
インカレの舞台は沖縄県北部にある奥間海岸(以下、オクマ)。真っ白な砂浜と透き通った海に、予選を勝ち抜いた男女150人が集結した。明大からは男子9人、女子3人の選手が出場。昨年度のインカレで優勝を果たしている内藤や、関東支部予選を2位で通過した大島など上位入賞に期待がかかる中、1日目のレースを迎えた。
「初日の2レースを終えて暫定1位で、4年生としてもキャプテンとしても優勝したいという気持ちが芽生えた」(内藤)。スタートダッシュを決めたのは昨年度インカレ王者の内藤。今年度は主将としてチームの底上げに尽力してきたが、1レース目から2位、1位、1位と圧倒的な実力を見せつける。4レース目に道具の破損によりリタイアとなるも、最低順位はカットできるため初日を1位で折り返した。大島も「いつも1日目のどこかで大きく点数を落としてしまうけど、それがなくてホッとした」とこれまでの課題を克服。最終レースで1位を取るなど徐々に順位を上げていき3位につける。さらにレディースでは、大会前に6キロの減量と体を仕上げてきた戸田が奮闘。第1レースでトップを取ると、その後も上位をキープし暫定1位に躍り出るなど、初日から明大勢の躍進が光った。
初日で上位を独占した明大であったが、2日目はオクマ特有の環境に苦戦する。第6レースで内藤、大島の順でワンツーフィニッシュを決めるなど、午前のレースまでは内藤が首位、大島が2位と上位を独占。レディースでも戸田を含めた3人が23ポイントで同率1位と激しい争いに。しかし「午後の1本目は午前と違った風向になっていて、午前通りに走っていたら逆になってしまった」(大島)。第7レースで内藤、大島とも順位を大幅に落としてしまう。最終レースでは両者ともに1桁順位で終えると、合計が内藤と大島がそれぞれ49ポイント。ポイントでは同率1位になるも、大会規定でこれまでの最低順位の高いほうが上位となるため内藤は初日のリタイアが響き、大島が首位へ。戸田は「1位にずっといるプレッシャーがあった」と第7レースで22位と今大会での最低成績を取ってしまい4位へ順位を落とした。
「3日目の風(強風)は明治としても僕個人としても得意な風域だったので、本音を言うとレースをしたかった」(内藤)。最終日は風速8メートルを超える強風と、白波が立つほどの荒れた海に抗えず無念のノーレースに。結果的にはメンズでは大島、内藤がワンツーフィニッシュ。レディースでも戸田が4位入賞という結果で幕を下ろした。また、これまで明大レディースを引っ張ってきた岡朋加(情コミ4=日大藤沢)は序盤からオクマの海に苦戦。「優勝から遠ざかっているという現実を受け入れられず辛かったけど、先輩たちからのメッセージが心の支えになった」と最終レースでは3位と今大会の自己ベストを出し、総合8位で大会を締めくくった。
「正直なところ最後までやり切って終わりたかったし、本当に勝ったという感じはない」(大島)。大学から競技を初め、4年で日本の頂点に立った大島であったがやりきれない思いを口にした。というのも、大会前に大島は「1年生で始めた頃から、推薦で入った内藤とインカレという舞台で一緒に走りたいと思っていた。優勝とかよりとにかくその気持ちが一番強い」と常に前を走り続けていた内藤とのレースを誰よりも待ち望んでいた。また「今回のレースも、1レースを除いて全て内藤の方が先にゴールをしていてまだまだ勝てないなと思った」と今回の優勝を素直に喜べない思いがある。快挙達成の裏で、自然を相手に戦うボードセーリングならではの悔しさが残る大会となった。
「残りの試合は団体戦しかないので、あとは一緒に頑張るしかない」(大島)。これまではライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)してきた内藤と大島。日本のトップに君臨する2人が団体戦で手を取った時、一体どのような結果を目にすることになるのだろうか。3カ月後に行われる団体戦に向け、また6連覇という明大記録のさらなる更新にますます目が離せない。
[倉田泰]
試合後のコメント
内藤
――大会を終えての率直な感想をお願いします。
「まず、もちろん2位で終わって悔しいです。それでも今回キャプテンとして大会に挑んで、2月末にある団体戦でそこで優勝することやチームを強くしていかなくてはいけないと考えていた。インカレの個人戦という舞台で後輩に抜かされたいってくらいの思いがあったので、後輩に教えることを優先してやってきたので、今回の結果を踏まえてみんな早くなっていることが実感できて良かったです」
――道具が壊れるアクシデントについてはいかがですか。
「最初、会場で道具が壊れた時は、一言で言うと終わったなと思いました。でも、道具が壊れて船に助けてもらっている中でまた違った視点でそのレースを見ることができました。その時にやっぱり46のセールナンバーつけた後輩だったり、同期たちが一生懸命頑張っている姿を見て、こんなことでくよくよできないなと思って、それから気持ちを切り替えられました」
――優勝された大島さんについてはいかがですか。
「同期ということで初め入部した時は本当にいろいろ教えたりして、4年になって戦いたいって思っていたので、本当にそれが実現して正直びっくりもしているんですけど、やっぱり大島はやってくれるなって思いました」
大島
――どのような大会にしたいと考えていましたか。
「インカレがラストで、この沖縄の海でウィンドをするのもラストだったので、とにかく悔いの残らないように体調管理とか準備だけは万全にして、楽しんでやろうとは思っていました」
――初心者の状態から日本一までたどり着いて、1番大切だったなと思うことはありますか。
「初心者だったので、とにかくいろいろな人から聞くことが大事だなと思っています。僕が入部した時の4年生が池田さんだったり、その1個下の三浦さんだったりがインカレのチャンピオンだったので、その人たちにとにかく日頃の練習から聞くこと。また同じ逗子でやっている慶応の先輩とかからもいろいろなアドバイスをもらったりしました。とにかく人と関わって、たくさん面倒を見てもらうっていうことが、初心者の自分には大事だったと思います。メンタル面に関しては、日頃の練習で大会のことを考えるしかないなと思っていて、練習だからといって走れなかったら、走れなかったで終わりにするんじゃなくて、大会だったら自分はどうしたらいいのかっていうのを常に考えてやったことで、メンタル面を鍛えられたかなと思います」
――大島さんの中で内藤さんはどういった存在ですか。
「入部した時からずっと、僕たちは先輩と一緒に練習できない時から先輩と一緒に練習していますし、1年生の時からインカレっていう舞台で入賞して、去年は優勝もしているので、自分にとってはすごい大きな存在です。ずっと一緒に4年間やってきたチームメイトでもあり、恩師でもあり、ずっと一緒にやってきて内藤についてきて本当に良かったなと思います」
岡
――これまでレディースを引っ張ってきた存在として、今後レディースがどうなっていってほしいですか。
「レディースの時代がこれからもずっと明治で続いていって、もっと強くなってくれればすごくうれしいですし、今いるレディースにも頑張ってほしいなって思います」
――男子の団体戦について一言お願いします。
「明治は今5連覇をしてきて、その重圧もあってメンバーはそのプレッシャーを背負いながら戦うと思うので、大変だとは思うんですけど、明治の伝統をまた1個下の代につないでいけるように頑張ってほしいなって思います」
戸田
――大会を終えての率直な気持ちをお願いします。
「減量もちゃんとして、マックスから6キロ落として。もうやれることは全部やって、会場に来ても2日間とも朝一番にセッティングしたりとか全部やってきたので、レースを走れる自信はありました。緊張もしつつ臨んで結果、入賞できたんですけど、2日目の午前まで1位で、そこから落ちたことはまだ悔しいところもあるので、来年は絶対優勝できるようにしたいです」
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