(男子)圧巻の演技で佐藤がSP1位発進/東日本選手権

  全日本選手権(以下、全日本)への出場権を懸けた東日本選手権(以下、東日本)。明大男子からは3人が出場し3日にSP(ショートプログラム)が行われた。佐藤駿(政経2=埼玉栄)が1位、大島光翔(政経3=立教新座)が4位、松井努夢(政経4=関西)が10位と4日のFS(フリースケーティング)に向け、明大勢が好発進を切った。

 

◆11・3〜5 東日本選手権(テクノルアイスパーク八戸)

 まさに圧巻の演技だった。4回転ジャンプを2回取り入れる構成で挑んだ今大会。冒頭の4回転と3回転トーループの連続ジャンプを見事成功させ、GOE3.04の加点を記録。2本目の4回転フリップと3本目のトリプルアクセルも着氷。会場は佐藤がジャンプを決めるたびに歓声に包まれた。「練習で何回もノーミスできていて、本番では昨季から通してあまりいい内容のSPができていなかったので、自分の満足できるSPができた」。『リベル・タンゴ』の曲に合わせてキレのある滑らかなスケーティングを披露。終盤のステップシークエンスやスピンでもGOE1を超える加点が付いた。演技終了後、97.88というスコアのアナウンスに観客は大歓声。国際スケート連盟(ISU)非公認の大会でありながら大幅に自己ベストを更新し、堂々の1位につけた。「この試合を通して満足のできる演技ができるように頑張っていって、この試合からいい流れをつくっていけたらいいなと思う」とFSに向けて意気込んだ。

(写真:会場を盛り上げた大島) 


 「自分が思い描いた演技とはかけ離れた演技になってしまったので悔しい」と振り返った大島。冒頭のトリプルアクセルは華麗に着氷させ、GOE1.12の加点となる。しかし、2本目と3本目のジャンプでいずれも着氷が乱れてしまう。「『普段通り、普段通り』と抑え気味に置きにいってしまったジャンプになってしまった」。それでも演技中盤『The Super Mario Bros. Movie』の曲調が変わり観客が手拍子を始めると、笑顔でリンクを舞う大島。終盤は軽快なスケーティングで会場を盛り上げ踊り切り、SP4位につけた。SPで観客を楽しませた〝スタァ〟は「ノーミスで勝ちにいくスケートをする」とFSでの巻き返しを誓う。

(写真:ポーズをとる松井)

 

 足がガクガクするほど緊張したという松井。それでも「ジャンプをステップアウトやオーバーターンせずに降りられたのは成長」と3本のジャンプを全て着氷させ、拍手に包まれた。『This is Mine』に合わせ全身を大きく使って氷上を滑り観客を魅了。ステップやスピンも自身の納得のいく形で滑り切った。わずかながら自己ベストを更新し、10位につけた松井。FSでは「悪くない位置につけたので、不安にならずに思い切り出し切りたい」と語った。

 

 今回の東日本の上位8人が全日本での出場権を手にする。FSではさらにレベルの高い演技が求められることになるだろう。SPで圧巻の演技を披露した佐藤をはじめ、明大勢のFSに期待がかかる。

 

[堀口心遥]

 

試合後のコメント

佐藤

――演技を振り返ってみていかがですか。

 「6分間練習から調子が良くて試合への持っていき方が良かったなと思っています」

 

――試合への持っていき方で、いい調子につながったと思う部分はどういうところにありますか。

 「公式練習と6分間練習で跳び過ぎてしまったり跳ばなさ過ぎてしまったりということがあるのですが、今回はすごく調子が良かったのもありますが、程よい本数で終わることができて良かったのかなと思っています」

 

大島

――悔しい気持ちが強いということですが、具体的にどのような部分が一番悔しいですか。

 「エレメンツの面では普段の練習も含めて朝の練習まで本当に調子が良くて、曲かけ以外の練習でも1本も失敗しないくらい調子が良かったです。ジャンプの面では、自分も失敗すると思っていなかったのでそこで2本もミスが出てしまったのは悔しいのと同時に驚きという感じですね」

 

――今回の東日本はどのような目標を持って臨んでいますか。

 「まずは、SP・FSでノーミスという意気込みで臨んでいましたが、SPでふがいない結果になってしまいました。あとは具体的な順位で言うと表彰台を目指して頑張ってきました」

 

松井

――演技を振り返ってみていかがですか。

 「まずジャンプを全てそろえられたのはすごく安心しています。点数だけを聞いた時に、一応自己ベストだったのですが、もう少し点数が欲しいなと思いました。でもサルコウとトーループは難易度も低いジャンプだったので仕方がないと思っています。滑った直後の感想としてはあまりスケーティングが伸びやかではなかったかなと思いました。というのも、つまずいたところが多くて、出だし、最初のジャンプにいく前につまずいたことで結構パニックになってしまってその後も少しずつ危ない滑りがありました。そういうところで、スケーティングの点数が伸びにくかったのかなと思います。ステップやスピンも、しっかりレベルが取れているのか不安に思うところが多かったのですが、ジャッジスコアを見たら、ステップもスピンも一応予定通りのレベルが取れていたので、そこはすごくうれしかったです。それでも思っているほど点数が伸びなかったのは、スケーティングで出し切れなかった感がありました。取れるところはきちんと取れているので、これが今自分のできるベストなのかなとは思いますが、ジャンプが全て耐えた感じだったので、まだまだやるべきことが多いとは思っています」

 

――FSにはどのような気持ちで臨みますか。

 「SPでかなり緊張したけれどまずまずの内容だったのでFSではもう少し落ち着いて滑れるかなとは思います。FSもサルコウとトーループでしかトリプルを入れていないので、あまり欲を出さずに自分が今できることを淡々とこなせば少しは点数にもつながってくるかなと思っています。だから順位などはもう考えずに滑りたいです。SPでは10位という自分の中では射程圏内で悪くない位置につけたので、不安にならずに思い切り出し切りたいです」