
森川が圧巻の優勝! 明大拳士の活躍光る/全日本学生個人選手権
学生個人の頂点を決める今大会。見事、明大の森川征那(文3=三井)が優勝し、頂点に立った。「ケガしていたので心配していたが、痛みもなく、ちゃんと勝つことができた」と不利な状況でもきちんと調整して勝利を収め、強さを示した。全国からの猛者たちが集う大会で明大の拳士たちが活躍を見せた。
◆10・29 第38回全日本学生個人選手権(パロマ瑞穂アリーナ)
▼男子の部
森川――1位
井上、越智――ベスト8
大川、土屋――4回戦敗退
長倉、山田、大谷――3回戦敗退
▼女子の部
市川――3回戦敗退
「試合をするにつれてどんどん動きがよくなっていった」(森川)。その言葉通りの試合運びとなった。明大対決となった準々決勝は越智通友(営3=明大中野)との一戦。「練習で結構やっていて、お互いの手の内は分かっていた」。試合は互いに得意とする組を狙いに行く形で3分間を過ごすが、1本も入らず。判定の末に、森川の勝利となった。「1番勝てるだろうなという試合に持っていけた」と、接戦を制し準決勝へと進出を決めた。
迎えた準決勝、対戦相手の新垣颯太(同志社大)とは「高校生の時に一度敗退し、7月の全国大学選抜選手権で勝利している」。およそ2分間、互いに出方を見るような静かな試合となった。森川が蹴りを中心に果敢に攻めに出るも、なかなか1本に繋がらない。会場も静まり返り、誰もが固唾(かたず)を飲んで試合の行方を見ていた。すると残り時間1分1秒、一瞬のスキを突かれ相手の1本が入る。静寂を切り裂くような1本は、試合の空気を掌握するかのよう。森川も反撃にでるものの、刻々と時間が過ぎる。誰もが相手の勝利を確信したが、残り時間3秒、森川が「持ち前のパワーで投げることができた」と、投げからの抑え込み面突きで1本が決まる。残り時間わずかな中でのどんでん返し。「攻める姿勢で戦うことを意識していたのが功を奏した」と、判定にもつれ込んだ試合は森川に軍配が上がった。
決勝戦の相手は前田悠登(龍谷大)となった。準々決勝では、総合選手権で2位に輝いた井上晴陽(法3=三井)をも倒した選手。「身長を活かして打撃で攻めてくることは分かっていたので、下に潜り込み持ち上げて投げる方法を取った」と、体格で劣る相手に対しても臆することはない。自身の得意とする組み技に持ち込んだ森川は強かった。投げから相手の動きを封じると、膝蹴りで1本。そこからも流れを相手に譲ることなく、前にせり出る。1本を決めたわずが10数秒後、再び相手の空いた胴に潜り込む。持ち上げて押さえに入り、胴に膝蹴りを入れ1本。わずが30秒にも満たない決勝戦で、明大の森川が見事、学生個人の王者の座に着いた。
冷静に相手のクセを分析し、自らの得意分野に持ち込みクレバーな試合を見せた森川。総合選手権では2位に輝いたものの、強者ゆえに研究を重ねられ今回はベスト8となった井上。一般入部の選手でありながら、粘り強い試合を展開しベスト8にまで残った越智。明大の拳士たちは、全国の猛者が集う個人戦であっても、その強さを発揮した。次なる舞台は昨年度、3連覇を逃した全日本学生選手権(以下、府立)。野村メイジ最後の戦いで優勝旗奪還へ。拳士たちの行く末から目が離せない。
[中川美怜]
試合後のコメント
井上
――結果を振り返っていかがですか。
「悔しいです。9月の総合で2位って結果を出して今回結果出さないとあれまぐれやって言われると思いましたし、第1シードにも置いてもらったのはやはり大会側からも期待されていると思うので僕が絶対優勝しないとなっていうのはありました。やっぱりトーナメント見た時にここが1番壁かなっていうところで負けちゃったので、あそこは素直に自分の弱さかなって思います」
――今後に向けてどういう課題が見つかりましたか。
「試合中にいかに冷静になれるかってことが僕の課題だと思います。この間の総合の決勝でもそうですし、先に1本取られてからパニックになってることが多く、自分のイメージ通りにならない時に焦っていることが多いんで、いかに自分の頭を冷やして、心は熱く、頭は冷静にっていう言葉は大事にしてやっていかないと、もうずっと変わらないと思います」
越智
――大会を振り返っていかがでしたか。
「こういう大きい大会に出るのが自分的に初めてで、いい経験になればいいなと思いつつも、一応優勝目指して頑張っていたので、できるだけ上位に行けたらいいなと思って挑みました。目標としていた森川と戦うってことが達成できたのでよかったと思いつつも、同点で負けちゃったので悔しい思いがあります。」
――府立に向けての目標をお願いします。
「自分はレギュラー入るか外れるかのギリギリのところなので、とりあえずレギュラーに入れたらいいなっていうのと、府立で勝ち続けて、決勝でその試合に出られたらいいなって思っています。レギュラーに入ったら、勝ってチームの士気を上げられるような選手になりたいなって思っています」
森川
――優勝という結果を振り返っていかがですか。
「足をケガしている状態で挑んで決勝戦まで行けるとは思ってなかったので、まだまだ捨てたもんじゃないと思いました。去年は尊敬する元キャプテンの木村柊也(令4文卒)先輩(令4文卒)が僕に勝って優勝して、来年は絶対に優勝してみせるという気持ちでこの1年間頑張ってきたのでとても嬉しいです」
――府立に向けての意気込みをお願いします。
「取り返すのはもちろんのことですけど、目標を高く持つというか、自信のある練習をして、自信を持って試合をしてもらいたいし、自分でもしたいと感じてますね。1番は自信を持って舞台に立てるかどうかっていうのが大事なので、そこを目標に頑張りたいと思います」
市川由奈(法4=関東学院)
――最後の個人戦でしたが、振り返っていかがですか。
「4年生として最後個人戦で2回戦敗退って形で終わっちゃったのはすごく悔しいですけど、これから社会人になってからも拳法を続けようと思ってるので、まだチャンスはあるかなと思ってます。個人戦というよりかは、来週とか来月の団体戦で自分の力を発揮できるようにまた練習していきたいなと思ってます」
――ご自身の良かったところはどこですか。
「全体的に落ち着いてできたかなって思いました。2戦目は組みの強い相手なんですけど、私は組みが苦手で、組まれたらもう終わりって思っていました。けれど割と耐えることができて、やはり落ち着いていたからこそ耐えられたし、1本面で取ることができたので、そこが良かったかなと思います」
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