2年ぶり準優勝 強豪・東海大に勝利も決勝で敗れる/全日本学生体重別団体優勝大会  

2023.11.01

 初戦を勝利で収め、迎えた大会2日目。この日一番のヤマ場は準々決勝の東海大戦。3-2で勝ち上がると勢いそのままに準決勝・日大にも5-0と快勝。しかし決勝では筑波大の勢いを止めることができずに敗北するも2年ぶりの準優勝を飾った。

 

10・22全日本学生体重別団体優勝大会(ベイコム総合体育館)

明大――準優勝

 

 2日目初戦の3回戦、山梨学大には3-1と好調な滑り出しとなった明大。次の準々決勝では数々の大会で優勝を果たしており、2年前の同大会決勝で敗れた因縁の相手・東海大との対戦となった。先鋒は光岡岳人(商3=大牟田)。「実績のある選手が相手だったが、チャンスはあると思っていた。そのチャンスを逃さないように意識した」。互いに相手の出方をうかがいながらの組み合いで始まったが、集中力を切らさなかった光岡は一瞬のスキを突き、体落で技ありを獲得。そのまま10秒間、がっちりと抑え込み一本勝ちを収めた。次鋒・竹村虎之(政経3=大成)は序盤から寝技で勝負を仕掛ける。途中、投げられる場面も見られたが場外だったために有効にはならず危機を免れた。その後は足を掛けられないように慎重に攻め、技ありを獲得。そのまま合わせ技で一本勝ちとし、2連勝の良い流れを作った。しかし「光岡の一本勝ちの流れに乗ったおかげで勝つことが出来た。先鋒が引き分け、もしくは負けていたらこの結果とは逆に大敗を喫していたと思う」(竹村)と、勝利の立役者の1人は謙虚に試合を振り返った。

 

 続くは2人の流れに乗りたい五将・松原咲人(政経2=大成)。激しい組み合いから始まるも、あえなく払腰で一本負けに。その後の中堅・甲木碧(政経2=木更津総合)、三将・伊澤直乙人(政経1=習志野)は五将戦で東海大に傾きかけた流れを共に粘りの柔道でなんとか引き分けに持ち込んだ。そして2-1で迎えた副将・森健心主将(政経4=大牟田)。開始から守りに入る相手に序盤は攻めあぐねる。それでも森が攻め続け、相手に2つ目の指導を引き出した。そして終盤残り1分、相手へ3つ目の指導。そのまま相手の反則負けとなり、明大の準決勝進出が確定した。大将・大久保竜之介(政経3=延岡学園)は一本負けを喫するも3-2となり明大の勝利。2年前の雪辱を果たした。

 

 準決勝の相手はゴールデンスコア(GS)の激闘の末に桐蔭横浜大に勝利した日大。東海大戦で勢いづいた明大は圧倒的な強さを見せ5―0で勝利した。この試合が初出場となった中堅・福永夏生(政経4=崇徳)は「絶対にポイントを取ってチームの流れを途切れさせず、後ろにつなごうという気持ちで挑んだ。ワンチャンスを生かせて良い一本勝ちができたと思う」(福永)と明大での最後の試合を振り返った。

 

 2年ぶりに迎えた決勝の舞台。その相手は準々決勝で天理大、準決勝ではパリ五輪内定の斉藤率いる国士舘大にもGSの末に勝利し勢いに乗っていた筑波大。先鋒・光岡がまさかの一本負けを喫し暗雲が立ち込める立ち上がりに。次鋒は朝廣隆翔(商4=延岡学園)。「光岡が敗れ、チームに流れを引き戻さなければならなかった」と意気込むも相手を崩すことができずに引き分け。五将・松原は互いに積極的に攻めあうも一瞬のスキを突かれ一本負けとなった。これで完全に筑波大のペースとなってしまった。中堅・甲木も袈裟固で一本負け。この時点で3―0となり優勝は遠のいた。三将・伊澤が巴投げで技ありを獲得し勝利を収めるも最終的には4―1と完敗に終わった。

 

 4年生にとっては最後の大会となった今大会。「全国大会の団体戦での準優勝は5回目だが1度も優勝したことはない。あと一つ勝ち切るということがどれだけ難しいことかを誰よりも知っているつもりだった。決勝ではチームを鼓舞、奮起させることができただろうという後悔が残っている」と悔しさをにじませた森。しかし「他大学にはシニアで活躍する選手、オリンピックに出る選手など有名な選手がたくさんいるが、私たちには1人もいない。それでも少数制の強み、団体戦の良さを生かしてみんなよく頑張ったと思う」と、仲間の奮闘もたたえた。準々決勝で2年前の決勝で敗れた東海大に勝利を収めるも悔しい準優勝となった。来年こそは悲願の優勝を成し遂げたい。

 

[阿部倖明]

 

試合後のコメント

――準決勝と決勝の振り返りをお願いいたします。

 「日大戦はチームの勝利が決まっての試合だったので、個人戦のつもりで試合をしました。自分の強みである左手が存分に出せた試合だったと思います。筑波戦は寝技を逃してしまったことが反省する点です」

 

――4年間を振り返っていかがですか。

 「なかなか勝つことができない4年間でした。いろいろな壁にぶつかり、不安と向き合い『もうダメなんじゃないか』と思うことも何度もありました。こんなに弱い自分が休んでいる暇はないと思い、何も考えずに練習したり、トレーニングしているうちに突然うまくいくことがあったりと小さいことの積み重ねが大事だということ気づけました。これからの柔道人生において役に立つことだと思っています。精神的にも柔道でも成長できました」

 

朝廣

――準決勝と悔しい結果になりました。

 「無差別団体では3位という結果に終わったため、今回こそはと臨んだ試合でしたが準優勝という結果に終わりとても悔しいです。内容も4―1と大差で負けてしまい完敗だと感じました」

 

――4年間を振り返っていかがでしたか。

「たくさんチームに迷惑をかけましたが、多くの経験を積ませてもらい最後には日本一も経験することができました。チームの目標である団体日本一にはあと一歩届きませんでしたが本当に大きく成長でき、感謝しかないです」

 

竹村

――東海大戦にはどのような気持ちで臨みましたか。

 「1番超えなければいけない高い壁だと思っていました。各体重に日本を代表する選手が多く、1点を取られてしまうと取り返す事は困難になります。そのため、トーナメントが組まれた時から監督とともに新井道大選手が出てくると予想し、対策を立てていました。3年生として、団体戦のメンバーとして引き分け以上でなければならないと覚悟を決めて試合に挑みました」

 

――今年度の振り返りをお願いいたします。

 「今年は自分にとって飛躍の年でもあり、無念の年でした。多くの団体戦の試合があり、ポイントゲッターとしての力を発揮する事ができた半面、全日本学生優勝大会では3位、全日本学生体重別団体では2位とあと一歩及ばず敗退してしまっています。個人戦でも予選では勝つ事が出来ましたが、全国の舞台での精神面の弱さがはっきりと出てしまいました。今年は多くの収穫があり、課題を見つける事ができた有意義な年となりました。最後に講道館杯(講道館杯全日本柔道体重別選手権)があるので自分の力を試して今年の良い締めくくりにしたいと思います」

 

福永

――今年度の振り返りをお願いいたします。

 「今年は去年、おととしと負けてきたチームに勝つことができ、チームのみんなが大きく成長できました。同級生、後輩たちが自分以上に強くなったと思います。団体戦で全国優勝できずに悔しい結果となりましたが団体戦を楽しく戦うことができました」

 

――4年間を振り返っていかがでしたか。

 「この4年間、試合に出ても勝てなく、チームメートに迷惑をかけることが多かったです。それでもチームメートの応援が力になり、楽しい団体戦を経験することができました。この最後の1年が自分自身1番成長できたと思います」

 

光岡

――大会を振り返っていかがですか。

 「関本(賢太・商3=習志野)が直前で体調を崩すなどアクシデントはありましたが、全員でそれをカバーして決勝まで進めたのはよかったです。チームも勢いがあったので優勝できると感じていましたが甘かったです」

 

――準優勝と悔しい結果になりました。

 「決勝では先鋒戦という大事な場面で負けてしまい、相手に勢いをつけさせてしまいました。とても悔しいですが、来年必ず優勝します