
(男子)明大勢2人が表彰台へ 佐藤2位、菊地がジュニア2位/東京選手権
4年ぶりに有観客での開催となった東京選手権(以下、東京ブロック)。3日目はシニア男子、ジュニア男子のFS(フリースケーティング)が行われた。シニア男子は全日本選手権(以下、全日本)出場経験者が多く名を連ねるレベルの高い戦いとなった。総合2位に佐藤駿(政経2=埼玉栄)、7位に大島光翔(政経3=立教新座)、13位に松井努夢(政経4=関西)、24位に堀義正(商4=新渡戸文化)となった。ジュニア男子に出場した菊地竜生(政経1=目黒日大)は総合2位に入った。
◆9・22~24 東京選手権(ダイドードリンコアイスアリーナ)
SPを2位で発進した佐藤。大歓声に迎えられ、披露したのはヴィヴァルディの『四季』。演技冒頭の4回転ルッツで転倒してしまうが、直後のコンビネーションジャンプを華麗に決め勢いに乗る。曲を奏でているような繊細なステップと引き込まれる圧巻の表現力で観客を魅了すると、その後も力強い雰囲気の曲とともに佐藤の演技も最高潮に。最後は鮮やかなスピンで締め、多くの観客がスタンディングオベーションで佐藤を称えた。
次なる舞台は国際大会。「体力があれば最後ももっと全力で滑り切ることができた。アメリカ大会までにしっかりと調整できればいいかなと思う」。フィジカル面での課題を克服し、よりパワーアップした演技を見せてくれるだろう。
(写真:シニア男子総合7位の大島)
緩急のある演技で独創的な空間をつくりあげ、会場を沸かせた。披露したのは『ムーラン・ルージュ』。しっとりとした雰囲気で始まる曲に合わせ、3回転ルッツとトリプルアクセルを華麗に決める。中盤、曲の変化とともに大島の演技も180度変化する。静かさが特徴的であった所作は元気のある力強い所作へ。手拍子が鳴り響く中、軽快なステップを決めた。終盤には、壮大な音楽とともに華麗に舞う。〝スタァ〟にしかできない独特なパフォーマンスが多くの観客を魅了させた。
合宿時に起きたアクシデントの影響で2週間リンクから遠ざかっていた大島。ブランクを感じさせない堂々たる演技で東京ブロックを終えた。「伸びしろしかないと思っているので、次に向かってポジティブにいければと思っている」。大島のシーズンはまだ始まったばかりだ。
(写真:シニア男子総合13位の松井)
2年目となるプログラム『ファンタスティック・ビースト』を披露した松井。冒頭、印象的な音楽に乗せ魔法を描く振り付けでリンク全体を魔法世界に導く。ジャンプの面では「パンクの数が減ったことが収穫」と昨日のSPからジャンプを修正し、一つのパンクに収めた。中盤には晴れやかな表情でイナバウアーを披露し「今日はけっこう自分の中で満足のいくコレオシークエンスができた」と振り返る。自身の強みとする、一歩がよく伸びるダイナミックさと丁寧さを持ち合わせたスケーティングで魔法世界を演じ切った。
今シーズンに懸ける思いの強さは人一倍。全日本、インカレを目指して日々練習に励む。
(写真:シニア男子総合24位の堀)
今シーズン初FS披露となった堀。昨シーズンと同様、シルバーのラインが特徴的であるシックな衣装で登場した。開始早々、音源ミスで演技が中断し、緊迫した雰囲気が流れた。それでも「やりやすくなったな、みたいなのはあった」。会場の緊張感を味方につけ挑んだ。序盤の3回転サルコウとダブルトーループを決め勢いに乗ると、その後のダブルアクセルも着実に着氷する。そして、見どころである途切れぬステップを披露。後半は疲労のある足のコンディションの影響で、回転不足のジャンプや転倒が続き、理想とする演技ができなかった。
現在、足に疲労骨折を患っている堀。ヒアルロン酸注射を打ち、痛みを止めて今回出場した。ジャンプが満足に跳べない中でも最後まで懸命に滑り続けた。「今シーズンやってもう引退だし、できるところまでやろうと思った」。主将の覚悟は並大抵のものではなかった。
(写真:ジュニア男子2位の菊地)
ジュニアラストシーズンとなる菊地は最終グループに登場。演技冒頭、6分間練習では成功させていた4回転サルコウにスピードをつけて挑戦するも転倒。しかし、直後の3回転アクセルは速い回転で着氷させる。1月に先生が替わってから力をつけてきたスケーティングを生かし途中のステップでは音にはめて力強く滑った。終盤体力が厳しくなってくるところでは3連続のコンビネーションジャンプをきれいに決める。「ここで集中力を切らしてしまった」と最後のトリプルサルコウは転倒。二つの転倒に悔しさが残る結果となった。
「全日本に向けて4回転サルコウをしっかり完成させていく」。自身の目標である、強化選手返り咲きと世界ジュニア出場に向けてさらに一段ギアを上げる。
本格的なシーズンの開幕戦となった今大会ではそれぞれが課題を見つけ、次戦へつながる一戦となった。「一人一人のサポートをしつつみんなで団結できるようなチーム作りをしていきたい」(堀)。結束力を高め〝チーム明治〟で大舞台へと挑む。
[髙橋未羽、堀純菜]
試合後のコメント
佐藤
――演技を振り返っていかがですか。
「ルッツを入れることができたのと他をしっかりとまとめることができたのは良かったかなと思います。ルッツは練習では全くやっていなかったのですが、今大会で、試合でルッツを跳ぶという感覚を取り戻して、次の試合ではしっかりと跳べるようにしたいと思います」
大島
――演技を振り返っていかがですか。
「跳ぼうと思ったジャンプはほぼ成功して、一つループだけダブルになってしまったのですがそれ以外は今日目標としていたジャンプはしっかりときれいにこなすことができたので良かったと思います」
松井
――ダイナミックな滑りに加えて丁寧に滑っている印象もありましたが、ご自身ではどのように感じていますか。
「一応、スケーティングの方ではある程度は評価してもらえているのかなと思っています。そこはより意識をしながら、自分でもジャンプに行くまでの助走のクロスとかあまり歩数を増やさずに、一歩でどれだけ滑れるかというのは意識しながら滑っていたりします。ただそれを意識し過ぎて、練習でもジャンプを端っこで跳んでしまう癖があって。今日もコーチから、リンクは大きく使えていてもジャンプが全て端っこだからという風なことを言われました」
堀
――今回のジャンプについて振り返っていかがですか。
「冒頭のジャンプが決まったのが良かったかなと思いますし、いつもダブルアクセルが回り過ぎてしまうことが多いのですが、SP、FSともに入ったのは良かったと思います。実は今、足を骨折していて。高校生くらいの時に2回疲労骨折していて、それがもう1回出てきてしまったみたいな感じで。ジャンプの調子よりも、どう力を抜いて痛みを減らして跳ぶかみたいなところが、今回のSP、FSではありました。割と練習でも跳べる時は跳べていて、うまく受け流せるところは受け流せていたところはあったので『まあできるか』くらいの気持ちではいましたが、やはり少し影響は出たのかなと思ってしまう節はあります」
菊地
――演技を振り返っていかがですか。
「悔しい気持ちが一番強くて、6分間練習で4回転サルコウを降りられていたので、本番で決めたかったという気持ちと、最後のトリプルサルコウは、サルコウ+アクセル+アクセルを決めた後に集中力を切らしてしまって、サルコウは集中力をそこまで切らさなくても跳べるという甘い気持ちが招いてしまった失敗だったのでそこも悔しいです。練習では4回転サルコウも高確率で決められていたので、まだ試合で決められていないのはやはりメンタルの弱さがあると思うのでそこを東日本までに強化したいと思います」
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