男女共に功績残す 総合成績でも表彰台登壇!/全日本大学対抗選手権

2023.09.04


 8月25日から開催されている全日本大学対抗選手権(以下、インカレ)。2019年以来4年ぶりに長野県大町市美麻で開催されたロード部門では、女子からは昨年優勝の渡部春雅(政経3=駒大高)が出場。男子のエントリーはルーキーを含む8人。中距離が得意な選手から長距離を得意とする選手まで、明大の多岐にわたる実力を持つ選手たちが総出で表彰台を狙う闘いとなった。渡部はかつてないほどの強敵にぶつかり準優勝、男子は3人が入賞し9ポイントを獲得した結果、ロード総合3位という好成績を残した。

 

◆9・3全日本大学対抗選手権(長野県大町市美麻地区 公道周回コース)

▼女子ロード個人

 渡部――2位

▼女子ロード総合

 明大――2位

▼女子総合

 明大――4位

 

▼男子ロード個人

 村上――7位

 林原――12位

 中川――20位

 小久保――36位

▼男子ロード総合

 明大――3位

▼男子総合

 明大――3位

 

【女子】

 今大会でトラック競技において2種目で優勝した渡部だが、本来得意とする競技はロードである。そんな渡部にとってこのレースは絶対に負けられないカードだった。最大のライバルとなったのは今大会が最初で最後のインカレ出場となる小林あか里選手(信州大)。小林は現在、弱虫ペダルサイクリングチームというプロチームに所属しており、加えて2021年まではワールドチームに所属していた経歴を持つ。他校の選手たちを突き放して独走ゴールするレースが多い渡部だが、学生離れしたスタミナとケイデンスを持つ小林に翻弄(ほんろう)され、渡部の成績は準優勝となった。

 

 13.4キロのルートを5周する今回のステージ。途中に斜度10パーセント超えを含んだ、多くの坂が取り入れられたコースである。レースがスタートすると、1周目の登りで早速集団は分裂してしまう。渡部を含んだ4選手が先頭で交互に引く展開となり、集団は急坂へと突入する。このまま4人の争いがしばらく続くかに思えたが、2周目途中の時点で既に渡部と小林が抜け出し、一騎打ちの形となった。2人の間に大きな動きがあったのは3周目の中盤。登り坂で小林がアタックを仕掛け、それに貼り付くことができなかった渡部は相手の単独トップを許してしまう。レースが進むにつれて2人の差は徐々に開いていき、最終的には小林に4分近くの差をつけられ2位でゴールイン。驚異の実力を持つ小林に、経験の差による圧倒的なレベルの違いを見せつけられたレース結果となった。

 

 春先から調子が優れないことが多かった今シーズン。それにも関わらず渡部は1人でトラック、ロード双方において表彰台に上がる偉業を達成。明大自転車部に女子ロード総合準優勝という輝かしい結果をもたらした。「学内外を問わず彼女を助けてくれる人が周りに多くて、非常に感謝をしている」(本間滋監督)。そんな渡部はゴール地点と表彰式ではいつものように明るい笑顔を見せていた。準優勝という結果に終わった今回のロード。内にはおそらく悔しさも秘めているだろう。しかしこの苦い経験は、渡部をさらに上のステージに連れて行ってくれるはずだ。常に成長し続ける明大クイーンに、これからも目を奪われずにはいられない。

 

【男子】

 男子ロードは予想外の結果となった。メイン集団で初めは足を温存していたロードを得意とする3選手。レース途中でメイン集団の一部が先頭に後に追いつき、前にプレッシャーをかけていくと予想をして戦略を練っていた。しかし蓋を開けてみると、先頭集団をコントロールしていた日大が勢いそのまま逃げ切ってワンツーフィニッシュを決める結果に。そんな予想外の状況の中でも先頭に食らいついた選手や初出場ながら完走した選手の姿もあり、チーム明大はロード総合3位という高順位につけた。

 

 明大は1周目から先頭に飛び出してレースをコントロールしようとしていた。一番に飛び出したのは永野昇海(理工2=横浜平沼)。「100~130キロを逃げに回って、個人か集団で明大が何人か入って来てくれるところまで耐える役割だった」(永野)。3周目から先頭に小泉響貴(政経2=浦和北)も合流し、逃げる先頭は8人で構成されていた。明大2人、日大3人、他大学3人で構成された逃げは、メイン集団に差を詰められるどころか徐々にスピードを上げ、追走からの距離を広げていった。この状況はレースが折り返しを迎えても変化することはなく、3人交代で先頭を引く日大のハイペースに流れを持っていかれてしまう。永野・小泉も必死に日大から遅れを取らないよう脚を回すが、7周目手前で小泉は先頭から遅れてしまう。永野も9周目途中でドロップ。対して、メイン集団は動きをなかなか見せなかった。「もっと集団が早い段階で分かれて前にアタックすると思っていたが、先頭に追い付く気が途中で既になくて予想外だった」(林原聖真・法2=倉吉東)。メイン集団内の激しい争いの結果、明大からは村上裕二郎(営3=松山工)が7位、林原が12位、ルーキーの中川延太(法1=奈良北)が20位入賞という結果となった。 

 

 最終的に明大は9ポイントを獲得し、ロード総合で3位という功績を残した。「打合せ通りにレースを作れたが、日大が強かった」(本間滋監督)。明大としては理想のかたちでレースを終えることができた今大会のロード。トラックで総合4位だった明大は、ロードの活躍によりインカレ総合3位と、5年ぶりの表彰台登壇に成功した。「総合成績で表彰台に上がることが我々の目指しているところだから正直に嬉しい」(本間監督)。去年から今年にかけて、総合成績で表彰台に絡めることが増えてきた明大。インカレは代第1回王覇者でもある。来年も“古豪・明大”の名をインカレでとどろかせてくれるに違いない。

 

[成田美彩子]

 

試合後のコメント

本間監督

――男子は4年生がいないチームでしたが、1年間通していかがでしたか。

 「昨年の4年生が抜けた後、その分去年からも下級生でしっかり走っていたので、そんなに不安なく迎えられました。むしろ来年もっと層が厚くなると思うので楽しみです」

 

――野中龍之介(営4=法政第二)を主将に据えた今年のチームはどのようなチームでしたか。

 「最高のチームでした。普段の生活、練習からリーダーシップを発揮してくれた4年生だったのでそこがよかったと思います」

 

永野

――自身の良かったところを教えてください。

 「村上の足を休ませることができて、7位に乗せて入賞させることができて良かったと思います」

 

――来年の目標を教えてください。

 「来年は自分がメインでポイントを取ることができるように仕上げて、ロードと全体で総合優勝できるように貢献したいです」

 

林原

――今後の課題を教えてください。

 「学連で一番足がある選手にならないと厳しいと日大を見ていて感じたので、脚力を付けることが一番優勝につながると思います」