
男子団体、個人ともに悲願の優勝を果たす/全日本学生選手権
強豪・明大は再び大学弓道の頂点に立った。決勝では昨年敗れた因縁の相手・桜美林大を同中競射の末破り、8年ぶり10度目の優勝を果たした。個人では星山知慶(政経2=武雄)が優勝、増田皓太(理工2=富士宮西)が5位という好成績を残し、有終の美を飾った今大会。明大は11月に開催される伊勢神宮での全日本学生王座決定戦(以下、王座)への出場権を一番乗りで獲得することとなった。
◆8・21~23 第71回全日本学生選手権(グリーンアリーナ神戸)
▼男子団体
明大――優勝
▼男子個人
星山――優勝
増田――5位
13中以上が決勝トーナメントに進むことができる予選を14中という結果で通過した明大。そんな中迎えた決勝トーナメント初戦は強豪・日大との対戦だったが、この一戦が明大に弾みをつけた。16中-12中で危なげなく勝利を飾った明大は、2回戦で18中、3回戦で19中という高い的中率で準決勝へと駒を進めた。
2日目初戦、準決勝の相手は大東文化大。前日同様の正確な射を見せるかと思われたが、相手が高的中をたたき出している中明大は16中で射を終える。相手が外さないと敗退が確定するという張り詰めた空間であったが、結果は16中-15中で明大の勝利。「正直ここまでかと思ったが、以前まで明治になかった粘り強さが今年はあって、それを生かすことができた」(星山)。この1本差での接戦で流れは明大に傾いた。
そして迎えた決勝戦。対戦相手である桜美林大は前年の同大会、全国大学選抜で連敗を喫し何度も悔しい思いをしてきた相手だ。相手は準決勝で18中と絶好調であり、厳しい戦いが予想された。予想通り両校とも互角の戦いを続け、結果は18中-18中。同中競射にもつれ込む激戦となった。同中競射では相手に2本差リードの中、唯一の3年生である落前・小林樹生(理工3=国学院)と、今大会で個人優勝という活躍を見せた落・星山がプレッシャーの中しっかり的中させ、10本皆中という結果で見事優勝を飾った。
今回、主将の伊山優樹(政経4=東北学院)がメンバーから退き、チーム最年長となったのは3年生である小林。小林は今大会直前に調子を落としたという。主将不在のチームでの責任感、そして大会直前に調子を崩した不安感は計り知れないものだが、それでも小林は決勝トーナメント初戦から決勝の同中競射まで1本も外すことなく全てを的中させ、チームに大きな貢献をもたらした。試合後小林は「自分の中で全国優勝が目標でずっと練習をやってきたので、その目標を達成できてうれしかった」と歓喜の涙を見せた。
9月からはリーグ戦が始まり、11月には今回の優勝で獲得した王座が待っている。現状に満足しない明大は、これから始まる秋の舞台でも必ずや頂点に立ってくれるだろう。
[下元天花]
試合後のコメント
寺本裕明監督
――今大会の振り返りをお願いします。
「今大会、主将の伊山が出場するという選択肢もあったのですが、自分が出るよりも若手を出した方が勝てると彼が踏んで出るのを自重してくれました。そういう意味で言うとずっと固定したメンバーで来ていなくて、最終的にはこの形になりましたが、試合を重ねるごとに本来の強みと一体感が生まれてきて良かったなと思います。その中でやっぱり一番カギになるのは落ち前の小林が1本も抜かずに持ちこたえたことですね」
小林
――今回インカレ優勝を達成するまでに大変だったことはありますか。
「インカレ直前にすごく調子を崩して、これ出られないなとみんな思っていたし自分も思っていました。けどそこから死ぬ気で練習して、徐々にですけど調子を上げていってメンバーに食い込めたことが良かったです」
田中海斗(営1=国学院久我山)
――唯一の1年生での出場でしたがどのように感じましたか。
「練習で中っていても本番でうまくいかない人はそれぞれ原因があって、自分はその中でもなんとかしてくれるだろうという信頼をしていただけたことで、出していただけた。今大会で分かった課題を今後にもっと生かして練習に励みたいなという風に思いました」
増田皓太(理工2=富士宮西)
――今回優勝を達成できた要因は何ですか。
「みんなが楽しんだからではないでしょうかね。緊張で何もできなくなるところに比べて、ニコニコできたことが優勝につながったと思います」
星山
――個人戦を振り返っていかがでしたか。
「全関東学生選手権で以前準優勝させていただいたのですが、その時についた自分の引き方をよく思い出しました。それと今回介添にいてくださった細川(凌平・営3=秀岳館)さんもたくさんアドバイスをくださりました。いい調子で運も味方につけて勝てたので、すごくうれしかったです」
若林優弥(農2=小笠)
――王座へ向けての意気込みをお願いします。
「今回の大会では1本外してしまいましたが、その1本で負けていた展開もあったかもしれないので、王座までに詰め切れるように努力して、1本も外さない選手になるというのが目標です」
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