(女子)住吉が準優勝 昨シーズンからの確かな成長見せる一戦に/げんさんサマーカップ

 8月11日から始まったげんさんサマーカップもついに大会最終日を迎えた。選手権女子FS(フリースケーティング)が行われ、SP(ショートプログラム)1位の住吉りをん(商2=駒場学園)、16位の堀見華那(商3=愛知みずほ大瑞穂)が出場。両者が迫真の演技を見せ住吉が総合2位、堀見が総合22位に入った。

 

◆8・11〜14 げんさんサマーカップ2023(木下カンセーアイスアリーナ)

 

 (写真:観客の声援に応える住吉)

 SPは自身の納得いく演技で首位発となった住吉。最終滑走となったFSでもその好調ぶりを示した。演技冒頭のダブルアクセルと3回転トーループの連続ジャンプをきれいに着氷。2本目の大技、4回転トーループは惜しくも両足着氷となり、回転不足を取られるも「(ミスを)すぐに置いて、次のスピンに集中して入ることができた」。昨シーズンから大きく構成を変更したプログラムであったが持ち味である伸びのあるスケーティングは健在。高精度のスピンやステップとともに残る5本のジャンプも全て着氷。演技終了後には何度もうなずき、納得のいった様子を見せた。

 

 11、12日に行われた木下トロフィー争奪大会に出場した住吉は4日連続での実戦となった。「気持ちを切らさずに今日までしっかりやり抜けたのは評価してもいい」。それぞれの演技で昨シーズンからの成長を実感するとともに、約1カ月後に迫るブロック大会へ向け課題も明確になった。多くの大会に出場し、常に上のステージを目指し続ける住吉。その活躍に期待せずにはいられない。

 (写真:笑顔を見せる堀見)

 今シーズンから新プログラム『La La Land』に挑む堀見。青と黄色のグラデーションが印象的な新衣装でリンクに登場した。演技冒頭は優雅な旋律に乗りながら、堂々かつしなやかに氷上を舞う。直前の練習で調整不足となっていたジャンプではタイミングが合わずミスが出るも「心を込めて滑ることができた」という表現面では、コレオシークエンスやイナバウアーを中心に観客の視線を集めた。演技終盤にアップテンポに転調した場面では、観客から自然と湧き起こった手拍子に乗りながら、生き生きと滑り切りその応援に応える演技を見せた。

 

 堀見にとっては今大会がブロック大会前最後の一戦となった。「単発の練習ではなくプログラムの中で跳べる練習をたくさんやって、ブロック(東京選手権)ではいい演技をしたい」。実践で手応えを得たスピンの精度を中心に昨シーズンの悔しさを晴らしたい。

 

 勝負のシーズンインが約1カ月後に迫る中、選手それぞれが収穫や課題を得ることができた今大会。大勢の観客の歓声や拍手の中での演技は確実に選手の力となったはずだ。喜びや悔しさ、さまざまな思いを力に変え選手たちは挑み続けていく。

 

[冨川航平]

 

試合後のコメント

住吉 

――総合2位という結果ですが率直な感想をお願いします。

 「SP1位だったところから一つ順位を落としてしまったことに関してはほんの少し、お肉がないとか(笑)。2位って一番悔しい順位だなというのはあるのですが、自分の演技自体は昨シーズンよりはるかに成長しましたし、その成長を自分で感じることができたので、順位にはそこまでこだわらずに率直に喜べるかなと思います」

 

――回転へのこだわりはありますか。

 「昨シーズンは転ぶことでプログラム自体の流れが失われてしまっていました。転ばないところを念頭に置くとどうしても、途中で開いてしまって回転不足というのが数試合続いているので、来週の東京夏季大会では転ぶかもしれないのですが、しっかり締め切るというところで前進したいなと、この2試合で学びました」

 

――昨シーズンからプログラムを継続しているからこそのアドバンテージはありますか。

 「曲は耳にも体にも染み付いている曲なので、動きは変わってもすんなり動けるというのはあります。そのおかげでジャンプに入る前も無駄に動きに左右されるとかがなく、一つ一つのエレメンツに集中できるというところが既にこの段階でできているというのはシーズンに完全に入った時にもっと動きやすくなると思うので、そこはいいところかなと思います」

 

堀見

――FSの演技に関して、以前の実戦からの1カ月半はどのように練習してきましたか。

 「とにかく曲をかけて、終わった後にFSを中心に練習して通し練習をとにかくたくさん練習してきましたが、この大会はSP落ちがあるのでそこをしっかりとやらないとFSに行けないので、ここ1週間はSPをずっとやっていました。SPは自信を持って挑むことができたのですがFSは名古屋の試合(みなとアクルス杯)が終わった後の練習でもジャンプがなかなかはまる回数が少なくて、練習がもう少し必要な感じです」

 

――演技前にどのような目標を持って挑みましたか。 

 「名古屋の試合がほぼシングルみたいな感じで終わってしまい、何も得ることができなかったのでとりあえず締めようと思っていました。最初のループ2本は練習で跳べていたのがあって、最初の三つのジャンプはどうしても降りたいなと思って挑んでみましたが、あまりうまくいかなかったです」

 

――演技終盤は観客の方の手拍子に合わせて伸び伸び滑っているように見えました。 

 「最後の盛り上がるところはジャンプも何も残っていなくて踊りまくるだけなので、拍手もしっかりと聞こえました。でも体力が残っていなくて、ステップでレベルを取らないといけないのですが、全然踏めなくて足が動かなかったです」

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