
持ち味発揮のFS 佐藤、住吉が表彰台入り/木下トロフィー争奪大会
11日~12日にかけて京都府で行われた木下トロフィー争奪大会。明大から選手権男子には佐藤駿(政経2=埼玉栄)が出場し、シーズン初戦を総合2位で終えた。選手権女子に出場した住吉りをん(商2=駒場学園)はSP(ショートプログラム)から順位を上げて2位、江川マリア(政経2=香椎)は4位につけた。
◆8・11~12 木下トロフィー争奪大会(木下アカデミー京都アイスアリーナ)
SP2位発進の佐藤。FS(フリースケーティング)はヴィヴァルディの『四季』より『冬』がメインに用いられる。始まりは弦楽器の単旋律を全身で奏でるように滑り4回転トーループを見事に決めると、続くトリプルアクセルからのコンビネーションジャンプも着氷。3本目には4回転フリップを降り、リンクサイドからは拍手が湧き起こった。曲調が明るくなり、4回転トーループと3回転トーループの連続ジャンプを含む2本の連続ジャンプを鮮やかに決めた後、『冬』の情熱的なメロディと共に力をみなぎらせた振り付けで魅せ続ける。盛り上がりのやまない終盤、残すエレメンツも目いっぱいに滑り切った。演技後には「体力があれば最後の方も全力で滑れたと思う」と、フィジカルの強化を挙げジャンプと表現の両立を意気込んだ。
今試合で4回転フリップはエッジエラーの判定となったが、練習に取り組んできた4回転ジャンプについて「フリップとループはいい感じになってきているのでこの調子で引き続き練習できたら」と話した。ジャンプ以外にスケーティングの向上にも努めている佐藤。前向きに高みを目指す姿から、見応えある精度の高い演技に期待が寄せられる。
(写真:ポーズを取る住吉)
SP4位から気迫の演技で追い上げを図った住吉。冒頭、ダブルアクセルからの連続ジャンプを確実に決める。4回転トーループは両足着氷となり「空中で軸が少し外れたかなと思い、締め続けられなかったのが悔しかった」と振り返った。続くスピンやジャンプはミスなくまとめ上げ、後半には2本の連続ジャンプを着氷させる。7本目のフリップで惜しくも回転が乱れたものの、最後まで生き生きとした表情を見せ鳥が羽ばたいていく世界観を力強く体現し切った。FS2位の得点を出し、表彰台入りを果たした。
メンタル面の強化に励む中で、練習や試合に落ち着いて臨めるよう1日の始めに座禅を取り入れる住吉。今大会の翌日からは、げんさんサマーカップ(以下、げんさん)に出場し実戦の経験をコンスタントに積んでいく。住吉の目指すプログラムの完成形が現れるまでの過程にも注目だ。
(写真:丁寧な滑りを見せた江川)
SP2位の江川はシルク・ド・ソレイユの『O』を舞った。演技前半、連続ジャンプを予定していた3回転ルッツが単独になったり3回転ループに乱れが見られたりもした。だが「自信がある」とするダブルアクセルと3回転トーループの連続ジャンプを確実に決め立て直しを試みた。出場した先月のアクアカップで出た課題を踏まえ「勢いを落とさずに滑る」ことを目標に挑み、後半でもスピードを失わずに自身の思う演技を表現した。それでも「もう少しできるなと思う部分がある」と、さらに洗練された演技を求めていく。
表現面のみならず、アクアカップ後に3回転ルッツの跳び方をやや変更した江川。実戦から改善を重ね、プログラムの仕上がりやジャンプ成功の確実性を上げる意欲を見せた。質の高いプログラムを目指し研鑽(けんさん)を積んでいく。
世代のトップを走る選手たちも集まり、シーズンの本格化を前に弾みをつける大会となった。それぞれが目指す演技や見据える目標に向かって、常に前へと進む明大勢。次戦以降で見られる変化を心待ちにする。
[守屋沙弥香]
試合後のコメント
佐藤
――シーズン前にスケーティングの練習にも取り組み、感じたことや新しく得た気付きはありますか。
「今までスケーティングの練習をやってきてはいましたが、また一から基礎の基礎からやるとなったときに、本当にバッチテストでいうと初級とかのスケーティングだったりも難しいなと感じて、まだできていないものもたくさんあるのだなと改めて実感することができたので、これからも引き続きスケーティングの練習をやっていきたいなと思っています」
――SP、FSを通して1試合終えて、調整したいと思ったところはありますか。
「まずは体力ですね。体力があればもっと最後の方も全力で踊れたと思うので体力をつけて、そこからスケーティングをやって、ジャンプがはまればいいなと思います」
住吉
――演技を振り返っていかがですか。
「演技全体としてはアクアカップよりも最後まで体力ももって力強くできたかなと、自分で良かったところかなと思っているのですが、4回転が空中で軸が少し外れたかなと思って開いてしまった、締め続けられなかったのが悔しくて、そこはげんさんで何がなんでも締め続けて降りようというのは思いました。それ以外は割とまとめられたのは良かったかなと思います」
江川
――今回の構成は先月のアクアカップから変わりましたか。
「本当はルッツ+トーループを冒頭に跳ぼうとしていたのですが乱れてしまって、後半に、そこで失敗したらアクセル+トーループを跳ぶというのは練習からやっていたので、そこは練習通りにいけたので良かったかなと思います。ルッツはアクアカップが終わってからエッジに気を付けて跳ぶようにしていて、少し跳び方も変えたりしていたので、試行錯誤中といった感じですが、シーズンの本選くらいまでにはしっかりと形になりそうだなという感じがするので安定させたいです」
――シーズンに向けてはどこを修正していきたいですか。
「まずはSPもFSももっと余裕をもって挑めるくらいジャンプを安定させていきたいです。絶対に跳べるだろうというジャンプが増えた気がするので、自分は特にアクセルトーに自信があるのですが、どのジャンプも質よく跳べるようにしていきたいと思います」
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